天文趣味用カメラ三脚の選び方1

本節では2回に分けてカメラ三脚についての話しを書きます。

星の写真を撮ろうと思えばカメラを三脚に固定して写すのがこの世界の常識です。
(中にはその辺にカメラを転がして写してしまう強者もいますが・・・)

普通の風景と違って、星の光というのは極端に暗いので、通常よりはるかに
ゆっくりとシャッターを開放しておかなければなりません。

このため手持ち撮影では(手ぶれ補正機能があっても!)ブレてしまって、
星を点に写すことができないからです。

スタパのお客様の中にも、ときたまデジカメを手持ちでストロボを光らせて
夜空を撮影して「やっぱり写らない・・・」と嘆いている方もいますが、
少し冷静に考えて頂けると写らない理由は分かるのではないかと思います。

星を見ることを趣味にするようになると、固定撮影というジャンルの
天体写真を撮影しようと思うようになり、どうしてもしっかりした
カメラ三脚が欲しくなります。

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ちなみに上の天の川の写真はEosX2の30秒露光の固定撮影のものです。
しっかりした三脚の出番というわけです。

さらに星の軌跡を示すような長時間の露光が必要な写真を撮りたければ、
少々の風でもびくともしないくらいのしっかりしたものでなければ
星の軌跡がガタガタになってしまうのでなおさらというわけです。

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しっかりした三脚が1本あると、写真撮影以外にも双眼鏡を載せたり、
小型の望遠鏡を載せてフィールドスコープ代わりに使ったりと、
いろいろ便利に使うことができるので、余計にしっかりした三脚が
欲しくなります。

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で、スタパのカメラ三脚たちです。

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別に集めるつもりはないのですが、いつのまにか数が増えています。
ガラクタも多いですが、期待の新人、百戦の勇者もいます。

さて具体的にどんな物がよいのか少し解説したいと思います。

ひとことで言えば「長めで、ガッチリしたもの」ということになります。

「ガッチリしたもの」というのは、もう説明不要と思いますが、
カメラ三脚の場合、可搬(持ち運び)性を重視するものが多いため、
高価なものでも(高価なものほど?)、カーボンファイバーなどの高価な
材質の軽いものが歓迎されます。

しかし、いくらガッチリしていても、軽いと風などでブレやすいので、
わざわざストーンバックなどというものをぶら下げて、その辺にある
重いものを乗せて安定度を増す仕様になっていたりします。

いざ使おうと思ったときに適当な重さのものが見つかればよいのですが、
なかなか面倒であまり使われることはありません。

担いで歩くことがないなら、初めから重い三脚のほうが良いです。

次に「長めで」ということについて、

通常の三脚はやはり可搬性を考慮してできるだけ短くして、でも延ばせば
アイレベル(自分の目の高さ)まで高くできるというのが一般的な考え方です。

しかし天体写真をメインに考えると、どんなにガッチリした三脚でも
長く延ばせば強度が弱くなりブレが出やすくなるため、あまり長く延ばさずに
使うというのが業界の常識といえます。

よほど前景がうるさいとか、光が入るとか、天頂を狙うのにファインダーが
のぞけないなどという事情がない限り、三脚は延ばさずに使います。
(星を点に写したいと思えば、それほどシビアなのです。)

可搬性を考慮した段数が多くて短い三脚だと、(延ばさなければ)カメラの
位置が低すぎて、ファインダーをのぞくのが辛くなるので、段数が少なくて
初めから長い三脚を使うのが正しい選択だといえます。

あとは自分の使い方や感性の範囲(車で移動するのか、担いで山に登るのか、
体力や財布と相談したり・・・)で、できるだけ「長めで、ガッチリしたもの」
という条件にあったものを選ぶのが良いです。

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写真右は私が高校2年(40年以上前)のときに天文趣味用として購入した
百戦の勇士。

学生の頃は車を使えることが限られていますので、持ち歩くという使い方を
前提とした長さと重さで選定した機種です。

最近まで現役だったのですが、さすがにガタが出始めて、
「そろそろ新しいのを・・・・」 と思っていたところでした。

何と間の悪いことに、原村の星まつりで甘い誘惑に負けて購入したのが
左の三脚です。

車で移動、ほとんど担いで歩くことはないという前提でのチョイスです。

どうです?「長めで、ガッチリ」しているでしょ・・・

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