夏の星座 -その1- てんびん座

「夏の星座」シリーズ第1弾は「てんびん座」です。

てんびん座は星占いの星座でもあるので有名ですが、実際の夜空ではおとめ座と
さそり座の間にあって、明るい星の少ないあまり目立たない星座です。

おまけに梅雨時の今頃に見頃になるので、うっかりするするとあまり良く見ない
うちに西に傾いてしまうことが多いです。

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星の並びとしてはβ星(ズベンエスカマリ)とα星(ズベンエルゲヌビ)とσ星で
形作る逆「く」の字が目印になります。

今年はすぐ近くに土星がいるので見つけやすいかも知れません。

てんびん座は正義の女神アストレア(おとめ座は農耕の女神デーメテールという
ことになっていますが、このてんびん座と対で語られるときには都合良く
アストレアということになります。)の持ち物であるということになっています。

星座が確立された頃にはてんびん座に秋分点があり夏と冬を分ける中継点当たる
星座という意味でもその名にふさわしい星座だったのでしょう。

ところでてんびん座は今でこそ独立した一つの星座なのですが、古い古い星図
にはお隣のサソリが持つ天秤というような絵が残されています。

実際、β星のズベンエスカマリは北のツメという意味、α星のズベンエルゲヌビ
は南のツメという意味で、天秤をサソリが捧げ持っているというイメージが
わかると思います。

もともとさそり座というのはとても大きな星座だったようです。

確かに今のさそり座は尻尾ばかりが立派で心臓に当たるアンタレスより先の
ツメのあたりとても貧弱になっています。

暦を司る都合上、太陽の通り道である黄道を12の星座に分けなければならなく
なって、無理矢理てんびん座を作って、それでも初めのうちはサソリが不格好に
なってしまうのでサソリが天秤を持っている形だったのでしょう。

でもそのうち星座をきっちり分けないと困るようになって、サソリはツメを
失うことになったのでしょう。

正義の女神の持ち物にサソリは文字通り手も足も出なかったのでしょう。

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