5日ぶりに秋田から戻ってみると、風景や植物たちの状態が少し変化
していて、プチ浦島状態です。
高原大橋周辺はほんのり緑色になってきました。
カラマツ達のかわいらしい葉が伸び始めています。
この時期の自然の変化の早さには本当に驚かされます。
さて春の星座シリーズ、今日は「おとめ座」です。
かに、うみへび、ししと来たので「おとめ」になるわけです。
かに・しし・おとめは黄道12星座、うみへび・おとめは全天88星座のうち
大きな星座の1位・2位だからです。(・・・ってだからどうしたというわけ
ではないのですが・・・)
おとめ座は収穫の女神デーメテールをかたどっていると言われていますが、
人間型の星座(あえて人間型と書くのは星座の多くは神様ですので・・・)の
中では、もちろん一番大きな星座という ことになります。
(ちなみに三番目は北斗七星を包含するおおぐま座。)
で、この女神様、大きいことは大きいのですが、一等星のスピカ以外は暗い星が
多く天球上で星座の形を把握するのはかなり難しいです。
これがどうして女神様なのか、かなりの想像力を必要とします。
(私には出来そこないのクワガタムシのようにしか見えません。
自分の生まれ月が「乙女座」でもない限り「この星の並びが好きッ!」という
人はあまりいないのではないかと思います。
(おとめ座ファンの方ごめんなさい。)
さて一等星のスピカですが「麦の穂」という意味があります。
収穫の女神デーメテールが持つ麦の穂の穂先です。
麦の穂先というのはトゲがツンツンしていますが、このツンツンした状態が
「スピカ」という言葉の語源で、スパイクシューズやスパイクタイヤなどの
トゲ(=スパイク)と同じ語源になるそうです。
日本ではその白い輝きから「真珠星」と呼んでいる地方もあったそうです。
またうしかい座の1等星アルクトゥールスとセットで夫婦星と呼ばれることも
あったようです。
おとめ座の見所と言えばなんといっても「春の天窓」。
春の星座には天の川がありません。
春のこの時期は天の川(=銀河系)がちょうど地平線を取り巻くような位置関係に
見えているからです。
逆に言えば銀河系内にある星の光の影響を受けずに銀河系外にある天体の観測が
しやすいということになります。
つまりこの時期は銀河に天窓が開いたかのように宇宙の遠くが見渡せるという
わけで、春の天窓という表現が使われます。
宇宙には私たちの太陽系が属する銀河系と同じような星の大集団(系外銀河と
いいます)が何百億個もあるといわれていますが、この時期は春の天窓から
系外銀河をたくさん見ることができるというわけです。
しし座にもたくさんの系外銀河あることを紹介しましたが、系外銀河の総本山は
おとめ座からかみのけ座にかけてです。
系外銀河ってしし座のところでも書きましたが、見えるといっても、すっごーーく
遠くの天の川なので、肉眼で私たちの天の川が見えるようなきれいな空でなければ、
相当大きな望遠鏡を使っても見ることができませんし、きれいな空で大きな
望遠鏡を使っても天の川くらいの淡い明るさにしか見えません。
そういった意味では天体写真のように見えると思うと、スタパの望遠鏡で見ても
がっかりしてしまうかも知れません。
・・・と、事前に予防線を張ったうえでスタパでご覧に入れることのある
おとめ座の系外銀河をご紹介します。
まずはM84-M86付近。
3つの系外銀河が正三角形に並んでいるのがわかると思います。
よく見るとそれ以外にもいくつかの銀河があるのがわかります。
このあたりは「マルカリアンの鎖」呼ばれる銀河が鎖のように列をなして続いて
いるあたりで、M84-M86付近はその起点になる場所です。
100倍の視野の中にこれほどたくさんの銀河が見られるレアな場所です。
次はM104(ソンブレロ銀河)。
大望遠鏡で撮影するとメキシコのツバ広帽子(ソンブレロ)のように見えること
からこの名前で呼ばれていますが、目で見る限りはもっと細く見えます。
これらの銀河はスタパでも空の条件が良くないとよく見えない天体です。
見ることができたら「ラッキー!」と思ってください。