超々!入門 望遠鏡光学 望遠鏡の原理を知る

今日は雨・・・ 雨の中ですがズミに続きヤマナシも満開です。

さて今日の「超々!入門 望遠鏡光学」シリーズは「望遠鏡の原理を知る」という
お題で、なぜ望遠鏡で遠くのモノが大きく見えるのかについて考えます。

昨日、一昨日の解説でレンズ「像」を作るということを理解頂けたと思います。

 

上は一昨日お見せしたレンズが像を作る概念図ですが、スクリーンに映し
出されたロウソクの像をルーペ(虫眼鏡)で見たらロウソクをもっと大きく見る
ことができると思いませんか?

ルーペの場合、焦点距離が短いレンズほど倍率が上がります。

例えば同じ虫眼鏡を2枚重ねて使うと、1枚のときより虫眼鏡としては倍率が
上がります。

これは1枚のときより2枚のときの方が光がより強く曲げられ焦点距離が短く
なっているからです。

昨日説明したように、像は焦点距離の長い方が大きなものになります。

ですから、前方に置くレンズ(物に対して近い方なので「対物レンズ」といい
ます。)の焦点距離をできるだけ長くして、像を拡大して見る眼に近い方の
レンズ(眼に接するレンズなので「接眼レンズ」といいます。)はできるだけ
焦点距離の短いレンズを使うことにより、高い倍率で遠くのモノが見えると
いうわけです。

でもスクリーンに映った像をルーペで見るためには自分の頭が邪魔をしそう
ですよね。

ただ、面白いことに上の図でスクリーンを取り払っても、「像」自体は
その空間に浮かんでいますので、対物レンズの光軸とずれないように
接眼レンズの光軸とピントをうまく合わせてやると、空中に浮かんでいる
「像」を接眼レンズでうまく拡大してみることができます。

 

(この図自体は概念を示すイメージですので、レンズの形状、ロウソクや像の
位置関係などは正確性を欠いていますので悪しからず。)

さあ、これこそが離れたところにある物を大きく見ることができる「望遠鏡」の
原理そのものというわけです。

「対物レンズ」が作った像を「接眼レンズ」で拡大してみるというこの形は、現状
使われているほとんどの眼視用望遠鏡の原型と言えるもので、ケプラー式と
呼ばれる方式です。

「対物レンズ」が作った像は逆さま(倒立像)で、それをルーペで見ているだけで
すから、ケプラー式望遠鏡は物が(当然ですが)逆さまに見えます。

双眼鏡やフィールドスコープなどで地上を見る場合には倒立像ですと、とても
使いにくいので対物レンズと接眼レンズ間に像を逆さまにするためのプリズムや
ミラーを入れて、正立像を作ります。(このへんについては、いずれ詳しく・・)

さて少し話しがそれますが・・・

上の図で対物レンズが作った「像」はスクリーンに映したり、ルーペで拡大して
見ることができる実体のある「像」です。

物に対してレンズをはさんで(レンズの後ろ側に)あるのですが、このような「像」
を「実像」といいます。

一方、接眼レンズをのぞいて中に見える拡大された像は、レンズの前側にあって、
のぞき見るだけで、「像」の実体に触れたりすることができませんので「虚像」と
呼ばれています。

「実像」と「虚像」、どちらが偉いとか正しいとかと言うことではなくて、
レンズを使って物を見るときの考え方を整理するのに必要な使い分けですので
覚えておいてください。

(続く・・)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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