「ガリレオ望遠鏡の謎(ミステリー)」に挑む その6

今日は下り坂の天気予報・・・

でも昼を過ぎても良い天気。

ならば雨が降り出す前に!と、せっせと外作業をしていたら、頑張りすぎたのか植木の植え替え中に「ギクッ!」と腰を(かなり久々ですが)やってしまいました。

しばらくおとなしくしていたいと思います。

さて「ガリミス」の続きです。

シングルレンズの接眼で20倍のケプラー式とガリレオ式の望遠鏡を覗くと視界が圧倒的にケプラー式のほうが広く、ケプラー式の圧勝のような気がします。

160526KG_siya

上は昨日掲載した写真を一つにまとめたものです。(左の広い視界がケプラー式、右の狭い視界がガリレオ式です。)

でも、しつこくガリレオ式を眺めていると面白いことに気づきます。

(前にも書いたのですが)ガリレオ式は眼を接眼レンズに近づけて固定した状態では見える範囲は上のようにとても狭いのですが、眼の位置を上下左右に振るとそれに応じて見えていなかった下上右左が見えるようになります。

160525G_siya1_4

上の写真はスマホのカメラでカメラレンズを中心から少しずつ上にずらしながら写した写真を合成した物です。

少し眼の位置を動かしながらぐるりと見回すとはじめ見えていた視野円の上下左右に倍以上、つまり3~4倍くらいの視野角(面積は9~16倍)を良像範囲として見ることができ(写真で内側の円)、とりあえず見えるという範囲は5倍くらい(面積は25倍)の範囲を見渡すことができます。(写真では外側の円ですが、この範囲はケプラー式で一望できる視野角と大差ありません。)

この20倍のガリレオ式望遠鏡の視点固定での視界は月が半分しか見えないくらいのですが、視点を移動すれば月全体を充分に良像範囲として観察することができます。

ガリレオさんが実際に使っていた望遠鏡より倍くらい視界が広いのですが、ガリレオさんの望遠鏡でも視点移動により月全体をなんとか一度に見ることができるくらいの視野があったと推測できます。

ケプラー式の見え方は写真で見るととても良さそうなのですが、実はアイポイントがかなりシビアーで、少しでも眼の位置が悪いとブラックアウトしたり、視界が狭くなったりします。

ガリレオ式が接眼レンズに目を近づけてゆけば何がしか見えてくるのとはかなり違った、ちょっとよそよそしい見え方をします。

見えている像をよく見て行くと、ケプラー式の良像範囲は中心のごく一部のみで、周辺に外れるほどドンドンぼやけて行きます。

良く見える範囲はガリレオ式で見たときの視点固定で見える範囲の中くらいです。

ガリレオ式が視点移動をすればその3倍くらいの良像範囲があるのとは対照的です。

実際にこの2本の鏡筒で月を見てみました。

ケプラー式は月を中心に置くと、中心像は(低倍率の時と同じように)若干ガリレオ式より良い感じがするのですが、月の周囲には月の視直径の5分の1くらいの太さの青い色収差がぐるりととり巻き、月の周辺部はとても細かいところまで見えません。

一方、ガリレオ式は視点固定では月の半分くらいの範囲しか見えませんが、視点移動すれば望遠鏡を動かさなくても月全体を細かく観察することができました。

風景を眺めるだけならまだしも、天体観測をするためには良像範囲が広い方が有利です。

ガリレオさんがこの二つの方式を本当に試したかどうかは謎のままですが、私ならば迷わず天体観測にはガリレオ式を使うだろうと思います。

さてここまでは対物レンズに現代のアクロマートレンズを使用しています。

詳しい方が見れば、ガリレオ式に有利な設定のように思われる部分もあるかも知れません。

まあ望遠鏡(対物)は現代の物でもシングルレンズ接眼のケプラー式/ガリレオ式の同倍率の比較を大真面目にやった人もそう多くはないと思いますので、少しは参考になるのではないかと思います。

でもまだシングルレンズ対物での比較も予定していますのでお楽しみに。
(・・・って、そういう人はとても少ないとは思うのですが・・・)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
カテゴリー: 天文関係, 望遠鏡・機材 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください