星景写真入門 その8

今日は梅雨明けを感じさせる高い気温と、青い空の一日でした。

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今日も「星景写真入門」が続きます。
4. 露光量の調節

4-2.  F値(=口径比=絞り)

カメラレンズでは焦点距離が同じであれば同じ受光素子なら写る範囲(画角)は同一になります。

ただし、焦点距離が同じでもレンズの有効径が大きければたくさんの光が受光素子に当たるので、同じシャッタースピードでも暗い星を写すことができるようになります。

焦点距離に対してレンズが大きいとか小さいとかの度合いを示す指標として「レンズの有効径」と「焦点距離」の比を口径比といいます。

正式には「F1:5.6」(焦点距離が口径の5.6倍の意味)といった表記をしますが、通常はこれを略して「F5.6」と表すことが多く、この数値を「F値」といいます。

F値は小さいほど(レンズの有効径が大きいので)「明るい」レンズといわれます。

F値が倍になると(例えば焦点距離50mmでF2がF4になると)、レンズの有効径は2分の1(50÷2=25mmが50÷4=12.5mm)になります。

有効径が2分の1になると言うことはレンズの面積は4分の1になるので露光量も4分の1になります。

同じ明るさに撮るためにはシャッタースピードを4倍にする必要があります。

そういう意味でもF値は小さいほど(明るいレンズほど)星空を撮影するのには向いていると言えます。

ところで通常のカメラレンズというのは最大の有効径のF値よりも有効径を小さくする機能(「絞り」といいます)が組み込まれていて、光の量(F値)を調節できるようになっています。

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通常は絞りは開いているのですが、シャッターを開いている間だけ設定したF値に絞りが出てくるようになっています。

最大の有効径のF値のことを絞りを一番開いた状態なので「開放F値」、撮影したときに設定したF値を「絞り値」といったりして区別することが多いです。

さてF値は明るければ明るいほど暗い星が写りやすいのですが「開放F値」で撮影するのが良いかというと、必ずしもそうではありません。

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上はフルサイズの一眼デジ(Eos6D)に20mm/F1.8のレンズを着けて開放に設定して撮影したものです。

次にF4.0に絞って露光量が等しくなるようにシャッタースピードを長くして撮影したものを示します。

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ブログサイズだと分かりにくいのですが、F1.8の方は四隅が暗くなる(周辺減光という)現象が起きています。

中央部の明るさ(天の川の写り方)はほぼ同じなのに、このレンズは開放だと周辺部まで光を確保することができずに暗くなってしまうという状態です。

中央部分を見せる表現手法として使える場合もありますが、F4に絞った方がスッキリした絵になっている感じがすると思います。

作品レベルの写真を撮ろうと思うと「開放」ではどうしてもレンズのアラがでてしまうことが多くてそのまま使えないことが多いです。(四隅の星像のボケが大きくなるなど)

星は点光源なのでレンズにとっては一番厳しい結果がでる撮影対象と言えます。

普通の風景や人物であれば全く問題のないレベルでも、少しでも収差があるとすぐに分かってしまうからです。

どのくらいのF値が良いかというのは、いろいろ撮って自分の好みを見つけてゆくしかありません。

追加説明(7/20)

F値の値のきざみは通常以下のようになっていて、1段階ごとにレンズの有効面積が倍(=露光量が倍)になるような関係になっています。

1 1.4 2.0 2.8 4.0 5.6 8.0 11 16 22

デジタルの時代になって、このきざみをもっと細かく設定できるようになっていることが多いですが、これが基本です。

開放F値よりも小さなF値には設定できないので、使用するレンズの開放F値が3.5であれば3.5からスタートします。

できるだけ開放F値の小さなレンズの方が星空写真には有利です。

でも、F値の小さなレンズは一般的に大きくて、重くて、高価ですし、本編で書いたように開放で使うと周辺減光や周辺の星像が大きくて・・・・ということもあるので事前によく確かめて入手するようにして下さい。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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