双眼鏡で星空観察入門 (18)

今日は降ったり晴れたりの変な天気

160815hasi

でも夜は晴れてくれませんでした。

さて「双眼鏡で星空観察入門」、今日は

8.双眼鏡でどんな星空を見るか? の続き

8-2. 双眼鏡で見る星 「星群・星列」

「双眼鏡で星空を見るのは楽しい・・」ということを伝えたくて本シリーズを進めているのですが、実のところただ漫然と夜空を流してみるだけでは意外にすぐ飽きてしまいます。

先に紹介した双眼鏡向けの書籍(特に和書)はメシエ天体を主体とする星雲星団を見ることに主眼が置かれていて、双眼鏡で見て楽しいかどうかについてはあまり重要視していない感じがします。

例えば、こと座のリング状星雲(M57)は先に紹介した3冊ともに紹介があるのですが、双眼鏡で見ると・・・

110602M57

こんな感じで「ほとんど恒星と見分けが付かないが、存在は分かる。」という解説が付いています。(スタパで見てこの程度ですから都会では当然見えません。)

もっと大きな望遠鏡で見るとリング状に見えるんですよ・・・と大きな望遠鏡で撮影したリング状星雲の写真が掲載されていたりします。(2冊の和書)

M057_130711

確かにM57は超有名な天体ですので「双眼鏡ではこんなふうに見えるんです」という紹介が必要なのかも知れないのですが「だからもっと大きな望遠鏡を買ってネ」といわれているようで、少し寂しい気持ちがします。

もちろんいろいろな星雲星団の位置が双眼鏡で見つけられるようにしておけば、将来大きな望遠鏡を入手したときに、とても便利なことは確かです。

でも、見えたことだけを喜べるうちはよいのですが、存在がかろうじて見えただけで、場所を確認するだけの作業を延々と続けるのは、まるで修業のようで、ちっとも面白くないと思います。

プレアデス星団やプレセペ星団のように双眼鏡で見て楽しいと思える星雲星団はほんの一握りで、本の中で紹介されている天体の1~2割くらいなのではないかと思います。

意気込んでいろいろな星雲星団を見ようと思えば思うほどテンションが下がって、「やっぱり大きな望遠鏡がないとだめなんだぁ・・・」ということになってしまい、双眼鏡の楽しさがいつまでたっても分からない、(これまでの私のような)人ばかりが増えることになるのではないかと思います。

そんなわけでずいぶん前置きが長くなりましたが、そろそろ本題・・・

私が双眼鏡で星空を眺めていて、はまってしまったのは特徴的な星の配列や望遠鏡では視界が狭すぎて見ても面白くない大きな散開星団やスタークラウド(星が密集している場所)を探すことです。

特に特徴的な星の配列については、自分勝手に想像力を働かせて、配列を結びつけてミニ星座を作ろうなどと考えながら双眼鏡をのぞいていると、あっという間に時間が過ぎて行きます。

具体的にどんなものがあるかといいますと、

110602polaris1

これは北極星を双眼鏡で見た状態なのですが、先日紹介した「Binocular Highlights」(洋書)で紹介されているのが・・・

110602polaris

ダイヤの付いたエンゲージリングにたとえています。

まあ見ようによっては指輪に見えなくもないといった感じで、少し楽しくなります。

こういった星の並びを何かに見立てて楽しむという遊びを面白いと思えるかどうか好みの分かれるところかも知れません。

星雲・星団でもなくて(学術的に)何の意味もない星の並びをつなげて、何がおもしろいの・・・? という方も多いかも知れないからです。

でも欧米では「asterism」(アステリズム)といって昔から星を眺めるときの楽しみ方の一つになっていて、現代に私たちが使っている星座もアステリズムそのものでもあるのです。

つまり星座は肉眼で見て作られたアステリズムですが、これを双眼鏡を使って肉眼ではとても見えないような暗い星も含めてたくさんのアステリズムを作れたら、双眼鏡専用の星座を作れたら、双眼鏡で星空を見上げる楽しみがもっと広がるのではないか、というところを本シリーズのメインテーマにしたいと考えたのです。

ただ、本シリーズでそういった見所を紹介するに当たり「アステリズム」という言葉で話を進めようとすると意味が少し不適切だと思うことがあります。

アステリズムというとどちらかというと(星座がそうであるように)「星達を線で結んで意味のある形を作る」という定義になります。

でもそれに固執してしまうと、双眼鏡で夜空を流して見ているときに「うわぁ~」と歓声を上げてしまうような星の塊や、群れを紹介しにくくなってしまいます。

そんなわけで本シリーズでは特に意味のない星の群れの時は「星群」、意味のある星の並びが作れるときは「星列」と呼び、国内ではまだあまり一般的でない「アステリズム」という言葉を使わず、直感的に分かりやすい「星群・星列」という言葉を使いたいと思います。

これまでにも述べたように、双眼鏡というのはとてもパーソナルなものなので、星空を見上げてとても面白い眺めを見つけても、それをなかなか他の人に伝えたり、共有することが難しいです。

でも、ちゃんとしたファインディングチャート(案内図)を作り「この星座のこの辺を見るとこんな面白い星の並びがあるよ」という情報をデータベース化して行けば、双眼鏡で星空を眺めるときの楽しみを充実させることが出来るのではないかと思うのです。

本シリーズのメインテーマとしては「星群・星列」が中心になりますが、もちろん双眼鏡で見て見応えのある星雲・星団についてはメジャーなものも含め紹介して行きます。

紹介できる対象は多ければ多いほど良いのですが、当面の目標として一つの夜空(例えば今見上げている夜空)ごとに10個くらいの見どころを作っておくと、とりあえず名所巡りとして楽しめると考え、全天で50個くらいの対象を紹介できればと考えています。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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