双眼鏡で星空観察入門 (21)

今日もまたスッキリしないお天気

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夜にはまた雨でした・・・

さて今日も「双眼鏡シリーズ」。

今日からはいよいよ本シリーズの本編、双眼鏡で楽しむ星をエリア別に紹介して行きます。

夏も終わりに近づいてきましたがさそり座付近の星たちから紹介したいと思います。

9.双眼鏡で楽しむ星巡り

9-1. さそり座付近

まずはさそり座の中の日本の民話に伝わる星を双眼鏡で見るというテーマでお話をしたいと思います。

日本には西洋の星座のような体系だって全天を区切る星座という概念があまりなかったようです。

だれが見ても目に付く、形がハッキリしている星の並びについては民話があるのですが、全国レベルで統一された話というのはほとんどないのが実情です。

また、あまり大きな星座がないのも特徴かも知れません。

大きくてもオリオン座を鼓(つづみ)星と呼んだり、さそり座を魚釣り星(サソリ
の尻尾あたりを釣り針に見立てている)と呼ぶくらいです。

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北斗七星もおおぐま座のように広げて考えることはなかったようで、無理に
つなげて形を作り物語を着けるという発想や文化がなかったのでしょう。

ところが小さくまとまった特徴的な星の並びについては名前の付いている
ものが多くあります。

その典型はスバル(=プレアデス星団)や三つ星(オリオン座)などで、双眼鏡で
楽しむのにもってこいのサイズであることが多いです。

そんなわけで前置きが少し長くなりましたが、さそり座にある日本の民話に伝わる星を紹介します。

ABK001 さそり座α星 かごかつぎ星 分類:和星座

上の写真でアンタレスと左右の星で「ヘ」の字が作られますが、この部分を篭担ぎ(かごかつぎ)星と呼ぶ地方が多かったようです。

アンタレスは火星(軍神アレス)に対抗するもの(アンチ・アーレス)の意味から着けられた名前ですから、とても赤く見える星です。

アンタレスを中心にしたへの字から天秤棒につるしたカゴの荷物をフウフウいいながら運んでいる姿を想像したのでしょう。

またアンタレスの赤い色から酒酔い星と呼ぶ地方もあったようですし、色の濃さでその年の作物の収穫量を占う地方もあったようです。(色は年ごとに変わるわけはないのですが、南に低いので大気の影響を受けやすく、ある一定の期間の見え方を比較すれば吉兆に結びつけられたのかも知れません。)

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双眼鏡で見ると、この篭担ぎ星がすっぽり視野に収まります。

都会ではアンタレスでさえ肉眼で見るのが難しいかも知れませんが、双眼鏡を
使えば篭担ぎ星を見ることができると思います。

双眼鏡では肉眼で見る以上にアンタレスの赤い色を楽しむことができます。

こんな民話を思い出しながら見るのも楽しいものです。

ABK002 さそり座 球状星団M4 分類:メシエ天体

空の条件の良いところではアンタレスのすぐ右側に球状星団(M4)が見えます。
(星でないモヤッとしたものが見える程度であまり面白くはないですが・・・)

でも大きな望遠鏡で見るとなかなか見応えのある球状星団で、散開星団に近い見え方のバラバラとした球状星団です。

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中央やや下よりの星の集まりがM4、左下がアンタレス

見つけやすい星団ですので、覚えておいて損は無いM天体です。

ABK003 さそり座μ(ミュー)星 すもうとり星 分類:二重星、和名星

もう一つさそり座の和名の星を紹介しておきます。

最初の写真の丸で囲んだ部分にある星はさそり座のμ星で、3等星と3.5等星の
肉眼二重星です。

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肉眼で見える人はかなり目がよいと思いますが、双眼鏡ならあっさり二つに
見えます。

この星を「すもうとり星」と呼ぶ地方が多いようです。

明るさがわりと近い2星ですが、南に低く大気の揺らぎの影響を受けやすい
ので、それぞれがチカチカとして、どちらかが明るく見えたり、暗く見えたりと
明るさを明るさを競うように(相撲をしているかのように)感じられるところから
付けられた名前のようです。

双眼鏡で見ると相撲観戦がよりハッキリと分かります。(続く)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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