双眼鏡で星空観察入門 (29)

今日は迷走する大型台風10号の影響か終日雨でした。。

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さて「双眼鏡シリーズ」です。

9.双眼鏡で楽しむ星巡り

9-6. わし座からはくちょう座への天の川クルーズ

いて座、たて座あたりの天の川を楽しんだら、双眼鏡をさらに上に振り、わし座、はくちょう座へと視界を移して行きます。

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いて座からわし座のアルタイル付近まではとにかく星が細かく、その数に圧倒されてしまいあまり「星列」を探そうという気がおきなくなる感じがします。
(その分星雲星団はたくさんあるのですが・・・)

双眼鏡での眺めはそれはそれで圧巻なのですが、大河の下流域が水量(星の数)は多いけれど、だだっ広くて風景の変化が乏しいのに似ている感じです。

ただ、ただ圧倒的な星の数を楽しめば良いと思います。

そしてわし座からはくちょう座あたりまで天の川を遡ると、ほんの少し風景が変わってきます。

ABK023 こぎつね座 コートハンガー星団(Cr399) 分類:散開星団、星列

わし座のアルタイルからはくちょう座のくちばしの星(アルビレオ)に向けて双眼鏡を振ると、ややアルビレオよりにとても特徴的な星列が視野に入ってきます。

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星の数が散開星団にしてはとても少ないですが星の配列がとても面白いです。

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6個の星がほぼ一直線に並び、その先に水滴がぶら下がるように星が並んでいます。

これを逆さまにしてみると、コートハンガーにも見えることから、そのままコートハンガー星団と呼ばれています。

6~7等星で形作られていますので、条件が良ければ都会でも見つけることができるかも知れません。

私が双眼鏡向けの星群・星列をたくさん紹介したいと思うようになったのも、この星列を見つけてとても面白いと思ったからです。

ぜひ見つけて下さい。

ABK024 はくちょう座 ガンマ星(サドル)周辺星群 分類:星群

わし座からはくちょう座方向に天の川を遡ると少しずつ星の粒が大きくなってくる感じがします。

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大河を遡ると少しずつ河岸に大きな石が転がっているかのようです。

はくちょう座のガンマ星は北十字の中心に位置する星ですが、この星の周りには小さなビーズをつなげたような星の並びがあります。

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暗めの星が多くて何かの形にこじつけるのが少し難しいですが、サドルから出発してぐるりとサドルを取り巻くように星が並んでいて面白いです。。

「はくちょう座サドル周辺星群」と呼びます。

ABK025 はくちょう座 デネブ周辺星群 分類:星群

デネブの少しケフェウス座より(天文ファンの方には北アメリカ星雲のあるあたりと説明したほうが分かり やすいかも知れませんが)この辺にもバラバラとばら撒いたような星群があります。
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普通の双眼鏡では有名な北アメリカ星雲を見ることは難しいですが、淡い銀河を背景にわりと明るめの星がバラバラとばらまかれていてきれいです。

ABK026 はくちょう座 30-31番星 分類:二重星

天の川クルーズをするときのポイントの復習になりますが・・・・

双眼鏡で天の川の中を見るときも、それ以外の場所を見るときも基本的に着眼点は同じで、特徴的な星群星列、面白い多重星がないか、星の色が楽しめないか・・・などを注意しながら眺めて行けばよいのです。

ただ、天の川を条件の良いところで眺めていると、あまりにもたくさん星がありすぎて、そういった着眼点がすっ飛んでしまい、ただただ見入ってしまうことが多いです。

特に星の色については漫然と見ていると、それほどハッキリ認識していないことが多いようです。

はくちょう座にはにきれいな色の対比が楽しめる双眼鏡向けの二重星がありますので紹介しておきます。(以前紹介した洋書「Binocular Highlights」にも紹介されている星です。)

その星は、はくちょう座31番星と30番星です。

位置はデネブの少し西側。

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双眼鏡で見ると明るい31番星が金色、やや暗い30番星が薄い水色に見えて80倍くらいで見たアルビレオ(はくちょう座のくちばしにあり色の対比か美しいことで有名な星です)に似た感じです。

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望遠鏡で見ると離れすぎていて面白くない対象で、双眼鏡で楽しむのにはもってこいの二重星です。

デネブ付近やサドル付近の濃い天の川のスタークラウドを楽しんだついでに少し双眼鏡を振って星の色を楽しんでみて下さい。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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