日の出光学の双眼鏡 ヒノデ 8×42 D-1登場

今日は気持ちのよい青空が広がる一日

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日向はまだ少し暑いですが、一歩日陰に入ると気持ちのよい秋風が吹き渡ります。

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トンボたちは活動期の終わりが近いのかあちこちで羽根を休めているものが多くなっています。

さて「双眼鏡シリーズ」の連載中ではありますが、ユニークな双眼鏡メーカー「日の出光学」さんが久々に待望の新商品を出してくれたので紹介します。

今回の機種は口径42mm、8倍のダハ型「ヒノデ 8×42 D-1」です。

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同社がなぜユニークなのかというと「自分たちが欲しいと思う商品を造る」というコンセプトの会社なのです。

ですから他のの商品同様こちらも思い入れたっぷりな製品のようです。

どんな製品か、どんな「思い入れか」は同社のサイトに詳しく紹介されているので、ここではあえて書きません。

でも「8×42 ダハ型」というスペックは、実はこの業界では最大の激戦区で、大手の双眼鏡メーカーなら「松、竹、梅」と数機種のラインナップを持っているほどたくさんの種類の製品が販売されています。

そんな中であえて「天文用」と謳って発売に踏みきるあたりは、相当な自信があってのことだと思います。

同社にとってはフラッグシップともいえる最高スペックの機種なので「オールマイティー」と謳っても良さそうなのに「鳥用にはオーバースペックなのでもうじき発売の8×32にしてね」という、誠実すぎるともいえるコメントが付いていて笑ってしまいます。

実はこの機種、8月初旬の「原村星まつり」の時にヒノデさんのブースに近日発売ということで見本がおいてありました。

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私は「双眼鏡シリーズ」の連載がすでに始まっていたこともあり、お奨めの双眼鏡はどんなものが良いかを見極めたくて、出店各社の双眼鏡を片っ端から覗いてテイスティングしていました。

特に私自身「8×42」というのは「天文用」としてお奨めする最適仕様だと思っていたので、重点的に各社のこの仕様の製品を昼と夜(=星)でかなりしつこく見比べていたのです。
(この仕様の製品を置いていた会社はヒノデさんの他、ビクセン、ペンタックス、コーワ、セレストロン、五島光学、(参考品としてニコンもあった)などだったと思います。)

各社とも実売が4~5万円クラスはみなEDレンズを採用して、どれもそれほど不満なく良く見えるものでした。

そういう意味ではこのクラスの製品を入手しておけば、どれを購入しても星空散歩で不満に感じることは少ないと思います。

でも(10機種以上あったと思いますが)、その中で私が一番しっくり感じて、欲しいと思ったのが、ヒノデさんのD-1だったのです。(確かにニコンの高級機は良く見えましたけどね・・・、でもお値段が・・・)

その時はなぜそう感じたのかよく判らなかったのですが、昨晩、再度じっくり星を眺めて分かったような気がしました。

その理由は適度な視野の広さと、視野周辺までの星像の良さ、そして(日の出製品共通ですが)変な色づきがない抜けの良さのようです。

あまり視野が広いと、よほどの高級機でないと視野周辺の像が悪くなり星がボケて見えるのであまり気分が良くないです。

へたをすると見かけ視界の狭い同倍率の機種の方がたくさん星が見えたりします。

D-1の実視界は7.5°と、以前は天文用として標準的な双眼鏡とされていた7×50の一般的な実視界(7°前後)より広いです。
(以前ヒノデさんがポロタイプで出していた8×42(C-2)が6.2°の実視界でした。)

左:D-1 右:C-2 C-2もとても良く見える機種だったのですが・・・・

左:D-1 右:C-2
C-2もとても良く見える機種なのですが、D-1を見てしまうと視界が狭くて戻ることができなくなります。

D-1は8倍で、7倍よりも実視界が広いと言うことは見かけ視界もだいぶ広いわけですが、広角タイプに多い、カッ!と眼を見開かないと視野全体が見渡せないほどではなくて、自然な状態で視界全体が眼に入ります。(=ストレスを感じない適度な広視界)

そしてその視野のかなり端の方まで星像が大きく乱れずに焦点を結んでくれます。

厳密には視野の左右については9割くらいまでが点像、その先は緩やかにボケます。

上下については(プリズムの特性が絡んでいるようで)7割くらいのところから像がボケ始めます。

人間の眼というのは視野の端の方は解像度が低いですし、特に左右方向より上下方向には視界が狭いので上記のような見え方でもほとんど気になりません。

この視界の広さでこの見え味はかなり優秀なものと思います。

見かけ視界の広さと視野周辺像のバランスがとても良いので、パッと見で、すごくたくさんの星が目に飛び込んでくる感じがします。

また抜けが良いので星の色もとても自然に見えます。

ピントの合わせやすさとか、ホールドのしやすさ、ストラップの質なども手堅く、そつなくまとめられています。

昨晩は1時間以上星空散歩をしましたが、全くストレスを感じることなく快適に星見を楽しむことができました。(1時間も見ていると、こちらの集中力が続かないので・・・・)

価格も(送料・税込みで)4万円を切る設定なので、かなりお買い得だと思います。

同社が「天文用」と謳って激戦区に参入した自信のほどが分かった気がします。

余談ですが・・・

星祭りの会場ではこのD-1の見え味以前に「眼幅の調整ヒンジが堅いからNG」という意見の方がいました。

私的には「そこなの!?」という感じでしたが、人の好みというのは千差万別なものです。

第一印象でフィーリングの合わない品物はどもまで行っても気に入らないものになります。

上の解説はあくまでも私の個人的感想なので、購入するときは実際にご自分で触って・覗いて納得した上で決めることをお奨めします。

ちなみにそのヒンジの堅さについては製品版ではかなり良い感じに改良されていますのでご心配なく・・・

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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日の出光学の双眼鏡 ヒノデ 8×42 D-1登場 への5件のフィードバック

  1. 岩瀬みどり のコメント:

    おはようございます
    先日お邪魔いたしました岩瀬です
    八ヶ岳もなかなか晴れていないようですね
    こちらも晴れるきかいがあまりなく、教わった写真の練習があまりできません

    双眼鏡レポありがとうございます
    ヒノデさんの双眼鏡に「やった!」です

    比較させていただいて良かった二機のオリーブさんと絶版さんですが
    こちらの双眼鏡は
    オリーブの視野で 絶版の見え具合 ということになるのでしょうか?

    だとしたら うれしすぎです❤良いとこどり過ぎます

    岩瀬みどり

  2. 岩瀬みどり のコメント:

    オリーブさんの視野は… ちょっと違いますね

    「視野はオリーブさんよりで 見え具合が絶版さんに近い」 ということですか?

    に 訂正です(*^^*)

    岩瀬みどり

  3. スタパオーナー のコメント:

    岩瀬さま
    返信遅れ申し訳ありません。
    ご推察の通り視野はオリーブさん(B2:6×30)と絶版さん(C2:8×42)のオリーブさんよりで、
    見え具合は視野の本当に端の方以外は絶版さん並みと言うことです。
    コストパフォーマンス(値段と性能のバランス)を考えれば、女性用としてやや重いということを除けば
    星用としては今一押しの機種だと思います。
    ヒノデさんの場合、為替レートなどで価格がすぐに変わることが多いので、円高の今が買い時だと思います。

  4. 岩瀬みどり のコメント:

    ありがとうございます
    とっても参考になりました!

    すぐ注文しちゃうかもです☆

  5. ピンバック: 「双眼鏡で星空観察」入門講座(予告) | スタパオーナー八ヶ岳日記

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