望遠鏡の清掃

今日は良い天気。

この眺めはいつものお散歩コースの一場面ですが、南アルプスが額縁のように望めるお気に入りの風景の一つです。

さて今日は天文ドーム40cm望遠鏡のお掃除をしました。

スタパの40cm望遠鏡はシュミットカセグレイン型といって、カセグレイン型と呼ばれる反射望遠鏡の前面にシュミットレンズ(以下補正板といいます)と呼ばれる(一見限りなく平面ガラスに近い)レンズが付いています。

このため望遠鏡の中はあまり汚れないのですが、補正板の表面は埃や花粉が積もったり、それが結露したりとかなり汚れます。

ここ2年くらい清掃していなかったのでかなり汚れています。

また汚れにくいといっても補正板の内側は開業以来15年間掃除したことがなかったので、だいぶ汚れが着いてきました。

シュミカセ型望遠鏡の場合、補正板を取り外すのは自己責任になってしまうので、できるだけ外さないことにしてきたのですが、そろそろ限界になって来ました。

また中央にある副鏡のセルもガタつきが出ていて、望遠鏡の向きにより像がズレるという問題も出てきたので、思い切って取り外して清掃することにしました。

補正板は厚みが1cm以上もあるのでそれだけでもかなり重くて、取り扱いには細心の注意が必要です。

直径40cmのガラス板をムラ無く拭くのはかなり難しいです。

あまり丁寧に磨きすぎてレンズにキズをつけてもいけないので多少のムラには目をつぶって、とりあえず観測に支障の無いレベルにしました。

拭きムラや、埃はご愛敬として、かなり綺麗になりました。

夜になって光軸修正をしたり、サブスコープとの光軸合わせをしたりと、天文ドームにいる時間がやたらと長い一日でした。

今日はいつもの遊星号ではなくサブスコープ(EDアポD102/f660mm)にて撮影しました。

わりとシーイングも良かったので、遊星号とはひと味違う写りになっています。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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望遠鏡の清掃 への11件のフィードバック

  1. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、補正板の清掃、すごいですね。

    私もシュミカセは使用していますが、使い続けるにあたって一番の悩みは補正板の清掃です。ブロアーでチリを吹き飛ばすと言ってもそんなことではとても追っ付きません。一番良いのが補正板を外してさらに副鏡も外してニュートンの主斜鏡のように水洗いすることだろうと思いますが、よほど自信がない限り、出来ません。勿論私はそんなこと絶対にできません。補正板を外すことさえ大変な難易度です。戻すときに少しでも回転させたりしたら、まず間違いなくアスを生じてしまいますし、もうそうなったらお手上げです。
    したがって私は補正板の上から拭き掃除のみです。スプレー式の強力なブロアでゴミをできるだけ取ってから、鏡筒を補正板が上になるように固定して、無水エタノールとキムワイプで、軽くなでるように拭くのみです。無論完全には吹けないし拭きムラも残ります。結果は気休めレベルですので、かえってコーティングを痛めたディメリットの方が大きいかなと思ってしまいます。

    オーナー様、補正板を安全に外す方法をお教えいただけたら幸いです。これさえできればもっと綺麗な状態でシュミカセがが使えるのに、出来ないゆえにかなり汚れた状態で甘んじて使っているのが現状です。

  2. スタパオーナー のコメント:

    小澤様

    いつもありがとうございます。

    シュミカセの補正板清掃はシュミカセ遣いの悩みの種ですね。

    私もよほど汚れない限り手をつけないことにしているのですが、埃や花粉が積もったところに結露が繰り返され少し拭いたくらいではどうにもならない状態で、写真でご覧の通りかなり激しく汚れていたので重い腰を上げました。

    40cmの補正板外しは購入して15年間で初めてのことです。

    かなり重くて危険を伴うことが判っていたので、問題があるのを承知でずっと我慢してきました。

    でも数年前から補正板の内側にカビ状の汚れが発生しだし、徐々に広がり始めていて、あまり放置すると拭いても取れなくなってしまう恐れがあったことと、副鏡セルの固定が甘くなってガタが出てきてしまい、鏡筒の向きにより像がズレ、光軸も狂うという二つの問題を解決するため、初めての補正板外しをしました。

    40cmでの補正板外しは初めてでしたが、C8(以前所有していました)とC11についてはこれまで何度か外した経験がありました。

    私が最初にC8を入手したのはもう40年近く前のことで、当時は有楽町の輸入教材業者「光洋」の取り扱いでした。

    当時のセレストロンの製品は「日本人をなめてるのか!」といいたくなるほどのクオリティーで、2回交換して3本目もダメだったのですが、それでも前2本よりはまともなデフィラクション像が見えたので、あきらめて自分で調整することにしました。

    3本目のダメなところは主鏡と補正板の平行が出ておらず光軸を完璧に合わせられないところでした。

    補正板セルを取り外してセルの傾きが変えられるよう取り付け穴を広げて、主鏡と補正板の平行が取れるようにしました。

    怖いもの知らずで良くやったとは思うのですが、結果はそこそこ見える鏡筒に仕上がりました。

    そんな事もあり、小型(28cmまで)の補正板外しはわりと気楽にやっていました。

    当時の補正板とセルのあいだには薄いコルク片が挟んであるだけで、補正板を外すとこにこれがバラバラと落ちてしまい、かなり焦った思い出があります。

    幸いコルク片を元通りに戻すことができて、復元はできました。

    さて補正板外しのコツですが・・・(この先はあくまでも自己責任ですが・・・)

    ・鏡筒を真上に向けてものぞき込んで作業ができる高さの低い架台に取り付けます。

    ・鏡筒を真上に向けて補正板固定リングを外します。(外す前にリングの位置関係を復元できるようマーキングします。またリング固定のビスがどのくらいのトルクで締まっているか、緩めたり締めたりして締まり具合を感覚的に掴んでおきます。)

    ・リングが外れたら、補正板とセルの位置関係を復元できるようマーキングします。(リングの影になる部分にマジックで描きます。)

    ・セルと補正板のあいだにコルクなどのスペーサーがあれば、これも位置関係を見失わないようにマーキング(または記録)しておきます。(養生テープなどで仮止めするのがベターです。)

    ・補正板(副鏡セル)を抑えたまま、鏡筒をゆっくり真下方向に回転させ補正板をソッと外します。(このときバランスの急変で鏡筒が急激に回転してしまうことがあるので充分に注意をします。) 補正板がセルに貼り付いていることがあるので、その場合はだましだまし外します。

    補正板の回転方向の位置合わせやスペーサーの位置合わせをきちんとすれば、意外に光軸はキッチリと元に戻ります。

    補正板を扱うときは細心の注意を払うのはもちろんですが、綺麗な手袋をするのが良いです。

    以上、備忘録を兼ねて記してみました。

  3. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、
    非常に詳細なコメントをいただきとてもありがたく思います。

    さすがに40cmと言う最大口径のシュミカセを使いこなしていらっしゃるだけあって、清掃の具体的な方法だけでなく今まで気がつかなかったシュミカセ特有の 問題点まで明らかにしていただき、感謝です。

    そう、補正板の裏面ですね。ややもすると補正板のおもて面を光にかざし、反射光を 見ながらコーティングの状態やよごれの程度を確認することばかりに専念し、補正板の裏面や、主鏡の状態にはほとんど無頓着でした。ところが、考えてみればシュミカセというのは開口部は直径たった3cmちょっとの接眼 部しかありません。屈折も同じですが、鏡筒の太さと接眼 部の比率で言えばシュミカセの方がはるかに大きいため、より鏡筒内部に湿気をためやすいです。主鏡や副鏡、補正板内部がカビやすいということが、改めて認識できました。

    それゆえに、安全に補正板を外すことができれば光学系のすべての空気接触面を清掃できることになります。お教えいただいた方法は、非常に実践的で私にとって役に立つ方法です。実行してみようと思っております。あくまでも自己責任であることは言うまでもありません。

    私は今までC11を使っていましたが、その重さに耐えかねて最近ではC9.25に機種を替えました。今回購入したC9.25は、やや個性の強い個体で、光軸調整にややクセがあり、慣れるまでにちょっと時間がかかりそうです。また、焦点内外像を詳しく見るとわずかにアスが認められます。がしかし、これは軽微なものなので実害は無いと思います。実際の惑星像ですが、このところシンチレーションが安定せず、まだ評価できる段階にありません。

    とにかく、補正板洗浄と言うハードル の高い行為を決断させていただいたこと、改めて感謝いたします。

  4. スタパオーナー のコメント:

    小澤さま
    つたないコメント返信を評価頂きありがとうございます。
    少しでもお役に立てて快適に機材を使えるようになれば何よりです。
    私の場合、曇って見え味が悪くなってしまった機材をストレスを感じながら使い続けるより
    「ダメ元でやってしまえ~!」といったノリですので、決して真似をお薦めするものでないことは
    ご理解下さいませ・・・・・。

  5. イーグルくん のコメント:

    洗浄液は何をお使いでしょうか、差支えなければどうか教えてください。C8で補正板の内面にカビのような汚れ付着の見える中古品を入手して、使おうとしています。数10年前のコーティングのないオレンジ鏡筒C8の場合や最近のマルチコートC8の場合では洗浄液は違うのか、有機溶剤を使って良いのか、レンズ専用洗浄液で汚れは落ちるのか、に関心があります。 Web サイトと Youtube では、1.国内サイトではアルコールなどの有機溶剤、2.海外サイトでは純水に洗剤など(界面活性剤が入っている)、3.珍しいところでは国内で自動車フロントウインドウの油膜取り(コーティングなし版)で実施、の紹介各例を拝見しました。

  6. スタパオーナー のコメント:

    イーグルくん さま

    お問い合わせありがとうございます。
    私はかなり前に購入した業務用のレンズ洗浄剤を使用しています。
    当時かなりよいと評判だったのでネットで購入しましたが、具体的にどんな素性の物であったかは忘れてしまいました。(すみません)
    個人的にシュミカセの補正板のお掃除は本当にどうにも我慢ができなくなるくらいまでしません。
    軽いカビくらいならほとんど気にならないくらいにきれいになるとは思いますが、自分で掃除するときは最悪もとに復元できなくてもしょうがないとあきらめるつもりで(=自己責任)でしています。

  7. ムネ のコメント:

    すみません、初心者の質問です。補正板のコルクのスペーサーが劣化してきたらどうすればいいのですか。とりかえられますか
    メーカーへ出すとしても費用がどのくらいかかりますか。ご教示ください

  8. スタパオーナー のコメント:

    ムネさま
    お問い合わせをいただきありがとうございます。
    まず、シュミカセの補正板を外しての保守・清掃はメーカー保証外ですので、あくまでも自己責任で行って下さいね。
    とはいえ私自身はこれまで一度もメーカーへ保守・清掃を依頼しことがないので費用がどうなるかは分かりかねます。
    それと申し訳ないのですが、コルクが劣化してスペーサーの役に立たなくなってしまったこともないので、取り替えたこともないです。
    このため劣化した場合どうするかというご質問にも適確なお答えができにくいです。
    まあ、私ならば似たような材質のものを探して適当な大きさに切って挟むかと思いますが・・・

  9. 小澤利晴 のコメント:

    ムネさま、オーナーさま、

    補正板のコルクですが、光学系のアソビの緩衝材としてある程度弾性もあり、素材としては悪くはないのかなと思いますが、やはりアメリカ発の望遠鏡だなと思ってしまいます。一言で言えば湿度の高い日本では劣化しやすいのではないかと。私も悩みの種の一つです。

    このような補正板のコルクの劣化やカビ対策として一番信頼がおけるのが、ドライキャビネットに鏡筒を放り込むやり方ですが、大きさの問題があるので限定的な使い方になります。

    思うに、日本の環境というのは、望遠鏡の保守という観点から考えるとあまりよろしくないのかもしれません。

  10. 小澤利晴 のコメント:

    とどのつまり望遠鏡と言うのは作る方も使う方も、基本は「妥協」なのではないかと思うのです。

    望遠鏡を始めた頃、ザイデルの5収差プラス色収差、レンズの組み付け、ニュートンリング、遮光、レンズの精度、鏡の精度、光軸、などなど、いろいろな知識を吸収し、それらが一つでもかけたらもうダメだくらいに思い、そう考えるとほとんどすべてが不合格品のように思えて無間地獄に入って行くという経験をした方は私だけではないと思います。特に私はひどかった。ようやく最近になって力が抜けてきた感があります。

    考えてみれば我々が手にすることができるのはアマチュア用の機材です。ですから、すべての条件を完璧に満たしているものなどありえないのです。シュミカセを例にとれば、ユーザーが調整できる部分は副鏡の傾きのみです。主鏡や補正板、副鏡セルの傾きはどうなのか。これはきちんとできている「前提」で、ユーザーは副鏡の傾きのみをせっせと調整します。ところが実際の製品はどうか。主鏡が傾いていたり回転していたり副鏡セルが傾いていたり補正板が傾いていたり回転していたり、大抵のものはこのような問題がわずかですがあります。

    でも、すべては星を見てどうなのかと言う事になります。そう、木星や火星が高倍率でよく見え、恒星はよく見ればわずかなアスがあるものの、一応点状に焦点を結び、シュミカセとしてのコントラスト、集光力、分解能をまあまあ満たしていて、総合的に使っている本人が満足できていれば、実際には多少の構造上の問題があり、最上の出来のものではないにしろ、そのユーザーにとってはこれは「問題がない」と言えるのではないか。それが「許容範囲」ということではないのかなと最近では思い始めています。
    以上、今使っている私のC-9の所見です。購入してから幾つかアラが見えてきて始めはどうしたものかなあと 悩んだ時期もありましたが、実際に星を見ると実によく見える。木星などは過去のシュミカセ中ベストの部類の見え方です。センタリングアイピースで見ると副鏡セル金具の傾きが確認でき、また、恒星を見るとアスがわずかに見える。アスの出方から主鏡もわずかに傾いている可能性もあります。が、実用上困るかといえばいずれもわずかなものなので、何も困らないという事になります。

    これと同じようなことが光学系の汚れや、部品の劣化等にも言えると思います。実際の星像に悪影響が出るまでは多少の事は気にしない、これが一つの機種を長く使う極意なのかなと私は最近では思っております。

  11. スタパオーナー のコメント:

    小澤様
    いつもながら豊富な経験に基づくコメントをありがとうございます。
    全くもってそのとおりで、望遠鏡も他の趣味の世界の道具と同様「妥協」あるいは「自己満足」の世界といえますね。
    そして一つの機種を長く愛用するためにはあまり細かいことを気にせずに、楽しむことを大切にして行くことが大切ですね。

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