星座望遠鏡 -その2-

梅雨は明けたものの湿度が高すぎるのか今一つスッキリしない天候です。

夕方まではわりと良い天気だったのですがね・・・・

「星座望遠鏡」レポートの続きです。

製品の細かい仕様や使い方(概要)などはスコープテックのサイトをご覧頂くとして、ここではメーカーサイトでは紹介されていないような情報を紹介させていただこうと思います。

前回はこの製品の開発背景というか立ち位置のようなものを簡単に紹介したのですが、製品のアイカップを見ると・・・

「スコープテック ヒノデ」と表示されています。

つまり販売は現状では初心者向け望遠鏡のメーカーとして信頼の厚い「スコープテック」がしているのですが、その開発にはマニア向けの双眼鏡メーカーとしてファンの多い「日の出光学」が関わっているのです。

スコープテックも日の出光学も本当に良心的会社で、粗悪品を掴まされて困っている人やそのために興味を失ってしまう人を少しでも少なくしたいという考え方をしている会社です。

その2社が共同で開発した製品なのでダメダメなものを売りに出すわけはありません。

ただしこの星座望遠鏡は倍率がたった1.8倍というギネスブックに申請できそうなくらい量産型望遠鏡としては(多分世界一)低い倍率なので、製品の用途を理解したうえで使わないとガッカリしてしまうかもしれません。

人間の眼の性能(というより視覚システムの性能)というのはかなり複雑で、一時に広い範囲を見渡すことが出来る一方で、精神を集中するとかなり狭い範囲の詳細をズームアップして認知することが出来るようになっているのです。

なので2~3倍までの倍率だとパッと見たときには、ほとんどの場合あまり大きく見えているという感覚が得られないことが多いです。

冷静に望遠鏡有りとなして見比べればそれなりの倍率がかかっていることに気付くのですが、大きく見えるという期待をするとガッカリしてしまうのです。

スマホ写真:星座望遠鏡有り(右)と無し(左) こうやって較べれば明らかに大きく感じるのですが・・・

次に見える星の数についてです。

この星座望遠鏡の倍率は1.8倍なので眼の光が入射する瞳の大きさ(瞳径)も1.8倍になります。(通常、望遠鏡(ケプラー式)の集光力は口径に比例しますが、ガリレオ式望遠鏡では倍率に比例します。)

瞳の直径が1.8倍になると面積は3.2倍になるので、理論的には肉眼よりも3.2倍暗い(1等星以上暗い)星が見えることになり、星の数としては軽く2倍以上の数が見えることになります。

ただし見える星の数が増えても、倍率のぶん視界も拡大されているので、星の密度は裸眼の時とほとんど変わらないことになります。

つまり、望遠鏡だから凄く大きく、細かい星までドーンと見えるのだろう・・・と大きな期待を持って覗くと、とてもガッカリさせられることになる、そんな製品だと言えます。
もちろん冷静に肉眼の見え方と比較すると、確実に大きくなって細かいところがハッキリ見えていて、肉眼では見えなかった暗い星が見えて(都会でも)星座の形が分かるようになっていることに気付きます。

昨日も紹介したこのての低倍率ガリレオ式望遠鏡に総じて言える特性ですので、そういう機材なのだと理解したうえで使うのなら、それはとても、とても楽しい機材なのです。

感覚的には肉眼の延長上で眼球にブースターが追加された感じだと私は思います。

肉眼の延長上なので普通の(5倍以上の)双眼鏡で悩まされる手ぶれは全くと言って良いほど感じません。

急に視力が良くなって妙に良く見えるのがとても快感です。(続く)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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