今日は一日中雲の中。
目の覚めない1日でした。
さて今日も「星座望遠鏡」レポートの続き(最終回)です。
さて昨日はどうしても双眼タイプでなければイヤだという場合以外は双眼望遠鏡が有利という話をしたのですが・・・
この星座望遠鏡の鏡筒のつなぎ目にはデザイン上とも思える赤いネジが切られています
このネジ40mm径P0.5というネジなので、ちょっと腕に覚えのある器用な方なら簡単に2個組合わせて双眼鏡に仕立て上げてしまうことが可能です。
(将来的には星座望遠鏡双眼化セットなどという部品がサードパーティーから販売されそうな気がしています。)
そうなると元々単価が安いので双眼化してもワイドビノやSG2.1×42を脅かす双眼鏡が誕生することになると思います。
マニアな人間はすぐに改造することを考える良くない傾向ですね・・・(閑話休題)
さて星座望遠鏡が単眼であることのメリットを少し語りたいと思います。
まずは双眼タイプに較べて圧倒的にコンパクトで軽いです。
気軽にポケットや鞄に入りますし、首からぶら下げても苦になりにくいです。
単眼なので当然ですが眼幅調整が不要でピント合わせも一眼のみですから本当にストレス無く気楽に使いこなすことができます。
眼幅が小さくて双眼鏡が奨められない小さな子供でも使うことができます。
(小さなお子さんの場合、眼幅が小さいので機器側の調整範囲外になることがあります。眼幅が合っていない状態で覗くと像がダブって見えて不快なだけでなく、場合によっては体調に悪影響を及ぼすこともあるのです。)
ほとんどのお子さんが眼幅調整や両眼の視度調整をしないまま(調整法が分からないまま)で使用していることを考えると、調整が最小限で済む星座望遠鏡はお子さん用として好適な製品ということができます。
望遠鏡を覗くという作業は実は小さな子供にとっては意外と難しいものなのですが、倍率が低くストレス無く覗くことのできる星座望遠鏡は最高のファーストスコープになると思います。
さてこの先はもうすこしマニアックに単眼のメリットを語りたいと思います。
視界の広さと周辺像についてなのですが、ガリレオ式望遠鏡で見かけ視界が広いからと目玉を上下左右に大きく動かして視野の端のほうを見ると、正面(=光軸方向)を見ているときよりも像が劣化してしまいます。
これは目玉を動かすことにより眼のレンズ(水晶体)が望遠鏡の光軸から外れてしまうためです。
目玉を動かしても水晶体が常に光学系の光軸中心にあるように調整すると像の劣化が緩和されます。
具体的には眼を動かす方向と逆に(例えば上の視野端を見るときには下に)瞳の中心をわずかに動かしてセンタリングをすると、ボケた像が大幅に改善されます。
双眼タイプでもその動作をすることは不可能ではないのですが、双眼ではどうしても眼の位置をきちっと決めて動かさないことが多いですし、両眼で光軸がずれないように上下左右に瞳中心を動かすのはかなり難しいです。
またもう一つのガリレオ式望遠鏡の性質として、瞳中心を光軸からずらすと、ずらした方向の反対側(例えば右にずらすと左側)にそれまで(視野の外側で)見えていなかった部分が見えるようになります。
双眼タイプでは上記と同様、瞳中心の移動をあまり積極的にしようという気にならないのですが、単眼だと「もうちょっと右・・」というときなどに、望遠鏡を振らずに自分の首をほんの少し左に振るという動作で視野外の対象を見ることができてしまいます。
手持ちの場合はあまり出番のない技なのですが、三脚に固定したときなどはかなり役に立つ方法です。
光軸ずらしのテクニックはアイレリーフが長いほど有利に使えるので、星座望遠鏡なら双眼化しても上手く使えそうな気もします。
もう一つ別の使い方を紹介しておきます。
天体望遠鏡のファインダーとしても使用されているドットサイトファインダーを、この星座望遠鏡で覗かせるという使い方です。
ドットサイトファインダーは素通しのガラス上に発光点を投影し、この点と星を合わせることで望遠鏡で星が導入できるようにする道具ですが、当然ながら肉眼で見えない星は使えません。
そこでドットサイトダインダーと眼の間に星座望遠鏡を入れると・・・
しっかり発光点と向こうの景色が見えます。
星座望遠鏡を使えば1等級以上暗い星が見えるので、裸眼で使うときよりはるかにたくさんの星の導入に使えるようになります。
ほかにもいろいろな使い道がありそうでワクワクする製品です。
こんにちは、小澤です。
ここまでの4回のオーナー様のレポート、非常に興味深く読ませていただきました。
この単眼鏡の性能、使い勝手について非常にわかりやすくご説明いただきました。
これから購入を検討する人にとってはとても素晴らしい解説だと思います。
私の感想としては、やはりこの単眼鏡の最大の利点は光学性能もさることながら双眼タイプに比べ小さく軽いこと、そして値段が安いことと、思います。
もともとこの手のガリレオ式単眼(双眼)鏡の倍率は、口径から計算した最低有効倍率を大幅に下回っており 、光学理論的には40mmという口径が使い切れていないのですが、その目的はもっぱら広視野を確保するためです。その目的のために、色々と犠牲にしなければならない要素も多い中で、この単眼鏡はアイレリーフ、周辺像など、可能な限り犠牲を最小にした設計のようです。
この単眼鏡、使うときは両目を開けて使ってみたいです。もともと私は望遠鏡を 覗く際も両目を開けて覗いています。両目を開けたまま効き目(私の場合左目)を望遠鏡のアイピースに当てて天体を観察しているのですが、私自身は片目をつむってみるよりも疲れずストレスなく長時間観察ができます。望遠鏡のファインダーワークの際ももちろんこの方法です。両目を開けたまま効き目に方に意識を集中させれば良いのです。
以前私は天の川が見える暗い空の下、両目を開けて双眼鏡の片方のレンズだけを覗いて見た経験があります。その際に、バックの肉眼の視野に双眼鏡のレンズの、より多い、より詳細な星々が浮かび上がってきて思わずおおっと声をあげそうになります。望遠鏡のファインダーワークの場合も同様です。単眼鏡の場合も両目を開けて片目に集中する見方をすればきっとこのような感覚が得られるのではないかと想像します。
この製品、オーナー様おっしゃるように広く一般的なイメージとしての「望遠鏡」と捉えると全く違ったものであるため、人によっては「星座望遠鏡」と言う名称はどうなのか、意見の分かれるところではあると思いますが、安く、コンパクトで、光学性能も良いとなれば最高の超低倍率広視界星座観察スコープには違いないと思います。
それにしても、スコープテックさんのサイトにあるこの製品の詳細な説明には本当に感心させられます。特に星座線を消した時の見え味はわかりやすいです。肉眼がドーピングさせられた感覚が非常によくわかり、この画像だけで、何か30〜40年前の暗い夜空を思い出し、懐かしい気持ちにすらなりました。
小澤さま
いつもありがとうございます。
倍率や集光力、口径の関係など言葉足らずの部分を補完するコメントを頂きありがとうございます。
後発商品だけに性能面で既販売製品よりもかなり作り込まれている感じがしますし、単眼で割り切った使い方を提案することにより競合を回避しているように思います。
「単眼鏡の両眼視」確かに楽しい使い方かもしれません。(でもかなり修行が必要かもしれませんね。)
今度試して、修得したいと思います。
この「星座望遠鏡」はマニアックな人間ほど使い道をいろいろ思いつきそうな楽しい機材なのですが、やはり基本は都会で見える星が少なくて、星座をつなげられない場所で星座を見つけたいというニーズに答えるよう開発されたものです。
そんな思いもあってスコープテックさんもサイトを作り込んだのだと思います。
よりたくさんの方が星座を覚えるのに活用してくださると嬉しいですね。