ゼロから始める「星空観察」(18)

今日は午後から天候が回復し爽やかな秋空が広がりました。

ススキの穂が金色に輝きだし青空に映えます。

今夜は久々に快晴の星空。

月が明るいのが少し残念ですが、クリアなので意外に暗い星まで見えました。

さて日食騒ぎでしばらく間が開きましたが「ゼロ星」シリーズの再開です。

第4章 星空観察の実習

4-2. 『望遠鏡』 買うべきか? 買わざるべきか?

ゼロ初心者から少しステップアップすると望遠鏡が欲しくなり「自分でいろいろな星が見られたら楽しいだろうな・・・」と思うようになることが多いようです。

でもあまり軽い気持ちで、よく考えずに購入してしまうととても後悔することになります。

ここでは望遠鏡を購入する前の心構えについてお話しします。

4-2-1. 望遠鏡、買っても何を見るか知識がなければただの筒

望遠鏡は肉眼で見るのとは異次元とも言える高倍率の世界を見せてくれるのですが、でもその分いちどに見える範囲は驚くほど狭いです。

80~100倍だと満月がほぼ視野いっぱいに見える

満月を見た場合、普通の望遠鏡では80~100倍も出すと視界からはみ出しそうな大きさに見えるのですが、月の大きさというのは5円玉を手に持って目一杯腕を伸ばしたときに5円玉の穴の中に収まってしまうほどの大きさしかないのです。

月は5円玉を持って手を伸ばしてみたとき穴の中に収まる

ですから「わーい!、望遠鏡を買ったからいろいろ見るぞ~ッ!」と勇んで外で望遠鏡を振り回しても、おいそれと面白い天体が視野に入ってくるわけではないのです。

事前に「あの星座のこのあたりに面白い天体があるので見てみよう」と決めてしっかりその方向に向けなければ、見えていたとしても気付かなかったり、面白さが分からず見過ごすことになります。

自分なりの面白い天体(対象)を知らないと、邪魔なだけのただの筒ですぐに押し入れの肥やしとなってしまいます。

4-2-2. 望遠鏡、使いこなすのは想像以上に難しい

1) 望遠鏡の視界は狭い

前述したように望遠鏡で見える範囲は驚くほど狭いです。

この狭い視界の中に目的の天体を導入するのには、かなりコツがいります。

昼間の風景と違って、見比べながら上とか下とかの調整はとても難しいです。(しかも望遠鏡は上下が逆に見えるのが普通ということもあり余計難しいです。)

鏡筒の上に着いている小さな望遠鏡(ファインダーと呼びます)をうまく使いこなせればそれほど難しくないのですが、事前に(できれば昼間のうちに)本体の望遠鏡と向きを一致させておく調整が必要です。

ファインダーを使いこなしていない初心者をイヤと言うほど見ています・・・・。

2) 星はドンドン動く

さて、何とか導入ができるようになったとして・・・・

星は日周運動でドンドン西に動いて行きます。

ちょっと油断しているとすぐ視野から出て行ったしまうので、少し長い時間観察を続けようと思えば星の動きに合わせて、チビチビ望遠鏡を動かして行く技を身に着けなければいけません。

3) ピントも重要

ところで望遠鏡でクッキリした像を見たいと思えば、精密にピント合わせをしなければいけません。

接眼レンズを交換すればピントが変わるし、厳密には人(視度の違い)によってもピントは変わります。

ピント合わせはとても重要なのですが、安価な望遠鏡ではちょっと触れただけでも視野がブルブル揺れてピント調整ノブを触っている間はとても落ち着いて見えません。

ノブをチョコッと動かしてはブルブルが安定するのを待って確認、またチョコッと動かして・・・・という作業を根気よく続けなければなりません。

4) 粗悪望遠鏡がまかり通る

悲しいことですが望遠鏡業界の実態として、とてもまともには使えない粗悪望遠鏡がごく普通に販売されています。

かつて出会った形ばかりで最強の粗悪望遠鏡

一生懸命使えるようにと練習してもうまく見えないときは粗悪品を掴まされたかもと疑って、詳しい人に相談した方が良いです。

粗悪品の多くは高倍率を売り物にしたものが多いです。(口径ミリ数の20倍以上の倍率を偉そうに謳っていたら疑った方が良いです。)

(続く)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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