今日はやや雲の多いものの概ね良い天気
今夜も雲間に月が見える星空観察会となりました。
さて今夜も「ゼロ星」シリーズです。
第4章 星空観察の実習
4-2. 『望遠鏡』 買うべきか? 買わざるべきか?(続き)
4-2-3. 望遠鏡、実は驚くほど見えない
何とか知識も得て、良い望遠鏡に出会い、使いこなせるようになったとして・・・・
実のところ自分の望遠鏡で様々な天体を見ても、想像以上に良く見えなくてガッカリさせられることが多いです。
初心者向けといわれるレベルの望遠鏡で感動できるほどよく見える天体は「月」だけかもしれません。
人によっては(とても小さいですが)輪があることが確認できる土星や、肉眼では見えていなかった衛星や縞が見える木星などにも感動できることがあるかもしてませんが、その見え方はかなり頼りなくてハッキリしません。
それでも土星や木星はいろいろな天体の中でまだ良く見える方です。
星雲・星団と呼ばれる宇宙の名所と呼ぶに相応しい天体たちについては、かなり絶望的です。
基本的に星のガイドブックなどに紹介される天体の見え方は、星のとても綺麗に見える場所で見たときのものです。
月や惑星に付いては都会でも田舎でもそう見え方に違いはないのですが、星雲・星団については空のバックグランドが明るい都会と、暗い郊外とでは全く見え方が異なります。
都会では相当大きな望遠鏡を使っても良く見えない対象がほとんどです。
望遠鏡で星雲を見るとどのように見えるか具体例を紹介しておきます。
写真はスタパの40cm望遠鏡で撮影したオリオン大星雲(M42)です。
数ある星雲の中でも最もよく見え、写真にも良く写るものです。
この星雲を同じくスタパの40cm望遠鏡で見ると・・・
何となく上の写真の雰囲気に近い感じに見えますが、色はほとんど感じられません。
これを口径6cmくらいの望遠鏡で見ると・・・
といった感じで中心部の明るい部分しか見えません。
まだ、星雲の部分が見えればましなほうで、都会でこれを見れば星雲の部分はほとんど見えず、中央の星しか見えない場合もあります。
一番明るく、見えやすいオリオン大星雲でさえこの状態ですから、他の星雲がどのように見えるかは推して知るべしかと思います。
図鑑や科学番組などに出てくる写真は大きな望遠鏡で、たっぷり光を蓄積させた画像を用いるので、肉眼で見た生の光とは「全く別物」と思って見ないと本当にガッカリします。
また、郊外でも相当大きな望遠鏡を使わないと見ることさえできない星雲・星団も多いです。
いろいろな天体を見たいと勇んで買っても、こういった現実が待っているのです。
4-2-4. 望遠鏡、天体写真は茨の道
「望遠鏡を買って天体写真を撮りたい」という方をときおり見かけます。
望遠鏡を使って月の写真ならわりと簡単に撮れます。
月は天体の中でも特別明るくて大きいのでスマホやコンデジを覗かせるようにして撮るだけでもそこそこ写すことができるのです。
でもそれ以外、惑星ならとても小さいので拡大率を大きくしなければならず、その分暗くなるし、追尾しながら撮るのもたいへん。
星雲星団となると惑星などよりもさらに桁違いに暗いので、高感度のカメラ(少なくとも一眼デジカメ)が必要ですし、自動追尾の赤道儀式架台が必要になるなど、かなりの投資が必須になります。
もちろん機材の使い方、撮影した画像のパソコンでの処理などのスキルも必要ですので、ゼロスタートであれば相当の勉強が必要になります。。
軽い気持ちで踏み込むと、それが茨の道であることに気付くでしょう。
もちろんそれが(星の写真を撮ることが)大好きなことなら、楽しいハイキングコースくらいにし感じないかもしれませんが・・・
4-2-5. 望遠鏡、買う前にいろいろなものを見せてもらおう
もちろん望遠鏡については、とりあえず買って、いろいろ試行錯誤しながら勉強して好きになって行くということもあるかもしれません。
ここまで脅かして、それを承知で買うならそれはそれでOKだと思います。
きっと後悔せずに望遠鏡と付き合うことができると思います。
でも、もう少し買うのをまつことができるようなら、できるだけ沢山の機会を作り多くの望遠鏡を見せてもらうようにして下さい。
具体的には各地にある公開天文台や科学館などで開催される観察会や、各地でボランティアの方が開催する観察会などを探して参加すると良いです。
また「星まつり」と呼ばれるイベントにはマニアックな人達が望遠鏡持参でたくさん集まるので様々な望遠鏡で様々な天体を見せてもらうことができます。(そういうところに望遠鏡を持参する人達はだいたいは見せたがり屋なので、少し「よいしょ!」するととても親切に見せてもらえることが多いです。)
自分が欲しい望遠鏡や、星見のスタイルを見つけることができるかも知れません。