今日は雲が多いものの昼間は良い天気。
(夜は曇ってしまいましたが・・・)
トンボがたくさん飛んで、この時期はあちこちに停まっているのですが、油断をすると散歩中のリードを持つ手にも停まってくるほどです。
日に々々季節の色が変わる楽しい時期です。
さて今日も「ゼロ星」シリーズを続けます。
第4章 星空観察の実習
4-4. 望遠鏡を覗くとき作法
星空観察会などで望遠鏡を覗く機会がやって来たとして、さあ実際に覗くときの注意点をまとめておきます。
「ただのぞけば良いんでしょう」と思う方もあるかもしれないのですが、実は望遠鏡をしっかり、ちゃんと覗くのは意外に難しいものなのです。
4-4-1. 作法その1:望遠鏡には触らない
何も注意点を言わずに望遠鏡を「さあ覗いてみて下さい」とゼロ初心者(特に子供さん)の多くは接眼部をガッツリ掴んで覗こうとします。
中には潜望鏡のように両手で掴んで体重をかけて望遠鏡を動かしてしまい、せっかく導入している天体をどこかへ吹き飛ばしてしまう強者もいます。
これまでにもお話ししたように望遠鏡は高倍率で見るので、見える範囲はとても狭いのでほんの少し動かしただけで見る方向が大きく変わってしまいます。
また手で触れただけでも見えている天体はブルブルに揺れて良く見えなくなってしまいます。
身体を安定させるために望遠鏡の三脚に捕まって、、、なんて言うのももってのほかです。
公開天文台クラスの大きな望遠鏡なら少しくらい触ってもビクともしない場合もありますが、屋外で三脚に載せられたレベルの望遠鏡では原則として望遠鏡には一切触れずに眼を近づけて見るのが基本です。
またそのレベルでは周囲を人が歩くだけでも望遠鏡が振動を拾って揺れます。
望遠鏡の周りでは静かに移動しましょう。
4-4-2. 作法その2:眼はできるだけ近づける
望遠鏡を覗くとき眼はできるだけ接眼レンズの中央に近づけて見るのが基本です。
このとき接眼レンズから出る光の向き(光軸)に眼の角度が合っていなければいけません。
ベストな位置に眼を置くことができると視野円と呼ばれる綺麗な円の中に望遠鏡の視界が見えます。
中央から少しでもズレるとブラックアウトといって、下の写真のように接眼レンズの中全体をうまく見ることができません。
また接眼レンズから眼が離れると、下の写真のように本来見えている視野のほんの一部分しか見ることができません。
この場合、眼の位置がほんの少しズレるだけで真ん中にあるものが下のように脇にずれて見えたりします。
赤道儀で自動追尾をしている場合にはできるだけ中央に対象を入れてご覧頂くようにするのですが、ときおり「ああ、右の方ですか?」などと覗き方が悪いのを自ら白状してしまう人がいるので気をつけましょう。(上の写真では視野の左上のほうしか見えていないので中央のものが右下に見えています。)
また接眼レンズによっては目を近づけすぎても周辺がケラレて見える場合があります。
視野円が綺麗に見えるベストな位置に眼を置けるように心がけて下さい。
望遠鏡に触れずに眼を接眼レンズの中央に近づけるという作業は実は意外に難しいのです。
観察会などでは未就学の幼児さんではかなりの確率でうまく覗くことができないことが多いです。
また中年以上の女性や高齢者で思い込みの激しい方の場合、柔軟に眼の位置を調節できずにうまく覗くことができないこともあります。
でもちょっとコツをつかめばだれでも見ることができますので、根気よく見られるようになるまで頑張ってください。
4-4-3. 作法その3:網膜の使い分けを積極的にする
望遠鏡を覗くときに3-2節で解説した眼の知識が非常に重要になります。
特にシリーズ(12) 3-2-2節で解説した「中心視」と「周辺視」の使い分けがとても重要です。
惑星や二重星を見るときはできる限り眼の視線中央で凝視するように見ると、漫然とみるだけでは見えなかった細かい模様や、近接した二重星を分離して見ることができます。
また微光星や星雲・銀河などを見る場合には「周辺視」の体得が必須とも言えます。
視野の端で漫然と眺める技をぜひ身につけて下さい。