今日は一日曇り空。
晴れた空が恋しくなります。
さて今夜も「ゼロ星」シリーズです。
第4章 星空観察の実習
4-5. 双眼鏡で星空を楽しむには
星空観察を楽しむときに手元に使い慣れた双眼鏡があると、楽しさが確実にステップアップします。
肉眼では全く見えない暗い星が視野一杯に見えたり、
天の川が明らかに星の集まりであることが実感できたり、
ボヤッと微かに見える塊が実は星雲や星団であったり、
「あれはUFO?」と見えたものが明らかに飛行機であることが分かったり・・・
などなど、肉眼の性能を大幅にブーストアップして見ることができます。
ここでは「星空を楽しむのにお薦めな双眼鏡」の具体例の紹介と「双眼鏡で何を見るか」という具体的使い方を2節に分けて解説します。
4-5-1. 星空を楽しむのにお薦めな双眼鏡
星を見るのに双眼鏡なら何でも良いというわけではありません。
(ここでは初心者が最初に手にすべき5万円未満の機種について解説します。)
あまり高倍率(10倍以上)のものや大きすぎるものはお薦めできません。
星空観察用の双眼鏡を選ぶときの目安として「ひとみ径5mm前後」を私は推奨しています。(ひとみ径=対物レンズの口径(mm) ÷ 倍率)
対物レンズの大きさに対して倍率が高すぎると視野内が暗くなり、淡い天体を見つけづらくなりますし、視界が狭く手ぶれも気になります。
10倍以上の双眼鏡(ズーム式含む)は使っていてあまり楽しい見え方はせず、出番があまりないので持っていても邪魔になるだけのことが多いです。
また対物レンズに対して倍率が低すぎても視野が夜でも白けて見えてかえって暗い星が見えなくなります。
双眼鏡には必ず「倍率 × 口径」(例えば6×30とか8×42)という表示が筐体のどこかに書いてありますので選ぶときの目安として下さい。
以下に具体的な口径クラス別のお薦め仕様とポイントを記します。
1)5×20~6×25 クラス(口径20~25mm/倍率5~6倍)
小型でポケットにも入るほどなので気がるに持ち歩けます
倍率が低く視野が広いので見たい対象を捕まえやすく、
手ぶれが気になりにくい
昼間や観劇など出番が多いですし、安価なので最初の1台として特にお薦めできます。
2)6×30~7×35 クラス(口径30~35mm/倍率6~7倍)
上記1)と下記3)の中間的性能。
取り回しが楽で、手ぶれの少なさ、導入のしやすさは1)に近く、
星の見え味は3)の上位クラスに近いですのでバランス重視の選択と言えます。
3)8×40~42 クラス(口径40~42mm/倍率8倍)
微光星の見え方、迫力などから考えると星空観察にはベストな機種。
やや大きいので持ち運びや取り回しがやや面倒になり始める。
手ぶれを抑えるためしっかりした保持姿勢が必要。
1)~3)のどのクラスを使用しても、肉眼だけのときとは全く違う世界が楽しめますが、やはり口径が大きいほうが満足度が高くなります。
でも口径が大きいほうが良いからといって、昔から天文用として奨められている7×50(口径50mm/7倍)は絶対やめたほうが良いです。
視野が白けて楽しい見え方をしませんし、実際上記の3)クラスよりも微光星が見えません。
またひとみ径5mmだからといって10×50(口径50mm/10倍)もあまりお薦めできません。
重さと手ぶれとの戦いになるからです。