ゼロから始める「星空観察」(24)

今日も気持ちのよい秋空

ここのところ夕焼けが綺麗な日が多いですね。

満開のコスモスとセットをスマホでパチリ!

今日も満天の星かと期待したのですが、この後薄雲が広がってしまいました。

さて今夜も「ゼロ星」シリーズです。

第4章 星空観察の実習

4-5. 双眼鏡で星空を楽しむには(続き)

4-5-3. 双眼鏡で何を見るか

本節ではどんな機種をどう使うかが分かったところで双眼鏡でどんな星や天体を見たら良いかを説明します。

もちろんとても星が綺麗に見えているときには、ただ覗いて星空を流すように見るだけでも充分見応えがあり楽しむことができます。

肉眼ではとうてい見えないほどのたくさんの星が視野一面にまき散らしたように見える様子は圧巻でそれだけでも本当に満足できます。

でもそれだけだと「わぁ~、きれい・・・」というだけで終わってしまい、わりとすぐに飽きてしまいます。(個人差はありますが3分~1時間くらいですかね)

事前にある程度の知識を仕入れて、いくつかテーマを準備して眺めると、より深く長く楽しむことができます。

実はかなりの天文マニアと言える人達でも(こういう人達はそれなりに凄い双眼鏡をお持ちのことが多いのですが)、意外にチャッ、チャッと見て「あぁ、きれい、綺麗、、、ホンじゃあ望遠鏡で見ようか・・」とか「写真を撮ろうか・・・」となってしまうことが多いです。

なぜそんな事が起こるのかと分析すると、(少なくとも日本では)双眼鏡で見て楽しめる天体を真面目に紹介しているガイドブックやネットサイトが非常に少ないからのように思われます。

ほとんどの場合、望遠鏡で見て楽しめる天体のオマケとして「双眼鏡でも見える」という紹介が多くて、「結局、望遠鏡がないとダメなの?」と思わせるようなコンテンツがとても多いのです。

そんなわけでスタパでは双眼鏡ならではという楽しみ方のできるコンテンツをまとめた別サイトを作っています。(こちらをご覧下さい)

細かい対象の内容はそちらのサイトをご覧頂ければよいのですが、ここでは双眼鏡ならではの星空の楽しみ方の基本を説明します。

1)星の色と瞬きを楽しむ(都会でも郊外でも)

星はそれぞれに輝いている表面の温度が違い、そのため見える色も微妙に違っています。
肉眼ではハッキリ分かりにくい場合も多いですが、双眼鏡で見るとかなりハッキリ分かるようになります。

明るい星を見比べて色の違いを見るのも面白いです。

チラチラ・キラキラと瞬く様子も観察すると楽しいです。

木星や土星・火星など惑星もそれぞれ微妙に色が異なるのですが、面白いことに惑星はほとんど瞬くことなく、ジトッと輝きます。

普通の星(恒星)との違いを見比べると不思議です。

また、0等星以上の特に明るい星(シリウス、ベガ、カペラなど)が地平線近くにいるときはぜひ双眼鏡を向けてみて下さい。

七色に色を変えながら輝いてとても綺麗に見えます。

2)小さな星座を探す(都会でも郊外でも)

星座の中には低倍率の双眼鏡であれば全体が視野に収まってしまうほど小さなものが意外に多くあります。

でも小さい星座は暗い星で構成されていることが多く、都会では見つけることができないのですが、双眼鏡なら都会でもかなり暗い星まで見ることができるので、視野内で小星座を見つけることができます。

円内は「や座」

都会では星が見えないとあきらめるのではなく、双眼鏡を使えばこんな暗い星座も分かると思うと楽しくなります。

3)重星を見る(都会でも郊外でも)

星の中には二重星とか三重星と呼ばれる、星同士が非常に接近して並んで見える部分があります。

望遠鏡で見ると離れすぎて面白くないけど、双眼鏡なら小さくまとまっていてかわいらしく見えるといった重星もたくさんありますのでぜひ眺めてみて下さい。

やぎ座の頭部付近、α、β、ともに重星です

4)星雲星団を見る(郊外向け)

星雲星団は望遠鏡で見た方がよい対象が多いのですが、望遠鏡で見ると大きすぎて全貌が分からず双眼鏡で見た方が楽しい対象も意外に多いです。

双眼鏡向けの散開星団 ヒアデス(左のV字)とプレアデス(右)

上の写真のようなメジャーなところ以外でも、ペルセウス座α星付近のMel.20やかみのけ座に広がるMel.111(Mel.はメロッテカタログの略号)など双眼鏡向けの散開星団があります。

また本当に空が綺麗なところでは、「ばら星雲」や「北アメリカ星雲」も双眼鏡ならではといった感じで見ることができます。

5)面白い星の並びを探す(都会でも郊外でも)

双眼鏡で星空を見ていると特徴的な面白い星の並び(星列)を見つけることがあります。

88個ある星座はすでにガッチリ決められてしまっているので、勝手に新しいものを作れませんが、双眼鏡で見つけた星の並びには自分で名前を付けることができます。

センスの良い名前を付けて広めることができれば一般名称になる可能性もあります。

少し有名なコートハンガー星団です

ぜひ面白い星列を探して見て下さい。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
カテゴリー: 天文関係, 星空 パーマリンク

ゼロから始める「星空観察」(24) への2件のフィードバック

  1. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、こんばんは。

    今回の双眼鏡シリーズ、これは素晴らしいです。別コンテンツも含め未だかつて双眼鏡の特徴及び天体観望用途としての使い方についてこれ程親切にこれ程詳しく書かれたものはあったでしょうか。

    今までも双眼鏡について記述したものは数多くありましたが、ほとんどのものが通り一遍の、別コンテンツでオーナー様おっしゃる「都市伝説」の1番目の望遠鏡の入門用としての立ち位置といったニュアンスのものが多く、どちらかというと読み流されてしまうような内容で、正しい使い方や知識が伝えきれていないものが殆どだったと記憶しています。

    特に、星列の観望用としてのツールとして双眼鏡を勧められたところは私の考えとぴったり当てはまり、思わず笑みがこぼれました。これはある程度強い光害のもとでも、双眼鏡ならではの最もおすすめの対象であり、本当に同感です。

    うーん、何回読み直しても素晴らしいです。

  2. スタパオーナー のコメント:

    小澤さま
    お褒めのお言葉と賛同をいただき嬉しい限りです。
    良い双眼鏡を持っているくせにあまり活用されていない天文愛好家が多いのはとても残念なことです。
    メーカーや教育的立場の方たちが双眼鏡向けのコンテンツ(観察対象)を充実させてこなかったことが、現状に繋がっているのだと思います。
    双眼鏡で星空を楽しむという文化を育てられてら良いなと思っています。

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