ゼロから始める「星空観察」(26)

今日は(昼間は)良い天気。

秋空に満開のコスモスが映えます。

さて少し間が開きましたが「ゼロ星」シリーズを進めます。

第4章 星空観察の実習

4-6. 星の動きを知ろう(続き)

4-6-2. 天球の動きと地球の動き

天球という概念がだいたい理解頂いたこととして、この天球上を星がどんなふうに動いて行くのかを考えて行きます。

ご存じのように地球は1日(24時間)に1回転(自転)しています。(基本的には太陽が南中してから次に南中するまでの平均時間が「1日=24時間」です。)

天球の中心で地球が1日に1回転することにより、見える天球も1回転しているように見えます。

天球から見て地球はとても小さな存在なのですが、それでもその地球上に住んでいる私たちから見れば十分すぎるほど大きな存在ですので、地球上に暮らしている限り地球が回っているというより天球が回っていて、太陽や星たちが東から昇り、西に沈んで行くのだと見立てたほうが分かりやすいですね。

そして一年(約365.24日)で太陽の周りを1回転(公転)しています。

1年で太陽の周りを360°回転するのですから、地球から見れば一年がかりで太陽は天球の中を移動して行くように見えます。

1年365日で360°回転するのですから、1日では1°弱、1ヶ月では約30°動くことになるのですが、当然ながら太陽が動くにつれて天球の中で昼間になる部分も移動して行くことになります。

ということは真夜中(0時)に真南に見える星座は、1ヶ月に天球上を(回転角で)約30°ずつ(地上から見ると西の空へ)移動して行くことになるのです。

ところで地球は1日(24時間)に1自転(360°回転)しているので、2時間では30°回転することになり、今夜22時に見える星空と、1ヶ月後の20時に見える星空とは、ほぼ同じ部分の天球が見えていることになります。

11月15日22時の星空 = 12月15日20時の星空

よく季節ごとに「夏の星座」とか「冬の大三角」とか季節にちなんだ星座や星の並びが紹介されるのですが(同じ日でも時刻によって見える星座は変わるので)、子供や普通の人が夜空を見上げる時刻(概ね20~21時)に南中する天球の部分を、その季節の星空と呼んでいます。

天球の動きを考えれば、「夏の星座」でも冬の明け方には東の空に昇ってくるので、夏しか見えないと思うのは間違いということになります。

4-6-3. 方角による星の動きの違いを知る

4-6-1節で述べたように、地球の北極・南極や赤道上だと比較的星の動きは単純で分かりやすいのですが、日本のように中緯度の地域での星の動きは少し複雑です。

見る方向によって星の動き方が変わって来ます。

この動きは天球を意識して考えると分かりやすくなります。

北天(北極星の回り)は天の北極を中心に星が反時計周りに動きます。

東の地平線からは右上に向かって星が昇ります。

真東から昇る星は垂直に対して、観測地の緯度と同じ角度で傾いて昇ります。

同様に真西に沈む星は垂直に対して観測地の緯度と同じ角度で右下がりに沈んで行きます。

また南中前後にいる天の赤道付近の星は、ほぼ水平に西(右)に動いて行きます。

これらの動きは天球の位置を示す経度と緯度に相当する赤経と赤緯の線を仮想的に想像すると判りやすいです。

天球が北極と南極を結ぶ軸(極軸)に沿って回転すると考えれば、全ての星は赤経方向に動くことになるのです。

自分が大きな地球儀の中心にいて、地球儀がまわるとある緯度・経度の地点がどのように移動して行くかというシーンを想像するとなんとなく雰囲気が分かるような気がするのですがいかがでしょうか?

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
カテゴリー: 天文関係, 星空 パーマリンク

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