スタパ周辺は日に日に秋色が濃くなっています。
木々も(針葉樹でさえ)葉緑素がだいぶ少なくなっています。
今日の昼間は良い天候だったのですが・・・
夜は残念、霧に包まれてしまいました。
さて「ゼロ星」シリーズ、夏の星空解説がもう少し続きます。
第5章 四季の星空解説
5-4. 夏の星空解説 (続き)
5-4-3.ベガとアルタイル
わし座の主星アルタイルには飛ぶワシという意味があり、日本では彦星(牽牛)として有名です。星座絵の星の並びを線で結ぶと
この写真では右上に尻尾にあたる星、デネブがありますので、右下がくちばしということになります。
デネブというとはくちょう座のα星が有名ですが、デネブは単に尻尾という意味ですのでじつは結構あちこちにあります。
でも実際の夜空でわし座の星達をこんな風に結ぶのはかなり難しいです。
それもそのはず、元々のわし座はこんなに大きくなかったようなのです。
アルタイルが南中を過ぎるとβ、γがほぼ横並びになって、下のトビが飛んでいる写真のようなイメージになります。
そうこの三つの星の並びを飛ぶワシというイメージでわし座としていたのです。
日本でもこの三つの星の並びを犬飼星と呼ぶ地方があったり、牽牛には牛を引き連れる者という意味があって、左右の小さな星を牛に見立てていたのです。
星座発祥の当初は意外に小さな星の並びの目印が主体だったのかも知れません。
さてアルタイルはわし座の星ですから「飛ぶワシ」という名前でも全く違和感はないのですが、実は飛ぶワシのアルタイルに対して、こと座のベガは落ちるワシという意味があって、昔からアルタイルとセットで扱われていたのです。
こと座が西に傾き始めたときはこんなふうに琴が横倒しになったような配置になります。
ここでベガとε、ζだけに着目するとわりと目につきやすいV字形というか三角ができます。
ベガは織姫星としてもとても有名な1等星ですし、εもダブルダブルスター(二重連星)として有名な星で、ζも低倍率で楽しめる二重星であることから個人的には「夏の小三角」と呼んでいます。
でも西洋の昔の人にはこのV字形が獲物に向かって急降下しているワシに見えたので「べガ」(落ちるワシ)と名付けたのです。
秋になって西空に仲良く並んで沈んでゆく様子を見て、アルタイル(飛ぶワシ)とベガ(落ちるワシ)という名前がついたのでしょう。