今日はドンヨリ曇り空。
でも雨にならなかっただけでもヨシとしましょう。
さてペンション仲間から「捨てようと思っている望遠鏡があるのだけれど、スタパさん、いります?」とお声がけを頂きました。
カビだらけでガタガタだよ~・・とも言われました。
この手のお話しの場合、ほとんどが三流品のスクラップである場合が多いのですが、よくよく話を聞くと「高橋製作所」という表示があるそうでした。
それならばと取りにうかがうと、そこにはすでに不燃ゴミの袋に密封されたタカハシの往年の名器、FC65+スカイキャンサー式赤道儀(1983年製)が有りました。
確かに対物レンズはキャップが無くカビだらけ、赤道儀もガタガタ、ドロドロでしたが・・・・・
赤道儀や三脚は清掃してネジを締め直したらほぼ問題ないレベルに使えそうです。
メーカーに確認したところ性能の100%復帰は難しいかも知れないが、とりあえず修理は受け付けてくれるとのこと。
鏡筒は近日中に修理に出したいと思います。
タカハシの製品はとにかくお高いのでなかなか手が出せず、スタパには1台も無かったのですが、少し嬉しい拾い物をした感じです。
さて今夜は夜になって晴れ!!
月がかなり明るくなっているので星見という感じではありませんが、昼間曇って夜晴れるという、とても嬉しいパンターンになりました。
オーナー様、こんにちは。
今では65ミリというスペックは見なくなりました。あの当時は屈折は60ミリがアマチュアの定番であり、学生から社会人まで幅広く使われていまして、その上になると76ミリから80ミリとなり、一気に高級化し高価になるためなかなか手が出せない存在となっていました。
その意味で65ミリというのは魅力でしたね。80ミリには届かないが60ミリよりも確実に優越感に浸れる、この5ミリの差は実際の光学敵地論値の差よりも、我々アマチュアにとってはずっと大きい違いでした。
タカハシのものはまず、3枚玉セミアポが出て、次に80ミリのセミアポ、そしてフローライトと進化して行ったのですが、蛍石の供給元はCanonオプトロンでしたか、ちょっと記憶が曖昧ですが確かこの年代のものはホタル石そのものにはコーティングが施されていない時期のものだったと思います。相方のレンズの性質によるのかどうかわかりませんが、長期使用(または保管)のものはレンズに曇りが生じたものもあったように記憶していますが、オーナー様がアップされた鏡筒のレンズはカビのみで、曇りは見られないように見えます。
またこの頃の対物レンズにはセルにスケアリング光軸調整ネジが120度間隔に3対設置されていてこれだけでメンテ上の安心感が得られたのです。当時はアクロマートでも上位機種になればほぼ必ず設置されていました。これも時代を感じさせますね。
小澤さま
いつもコメントをありがとうございます。
当時は6.5cmのことを憧れを込めて6半と呼んでいました。
バイク乗りの憧れである750ccの大型バイクが7半と呼ばれるのと同じようなイメージでこう呼んでいたのだと思います。
当時は8cmの望遠鏡にはとても手が出ないけれど6.5cmならいつかは手に入るかもという感じもあったかも知れません。
そんな思い入れもあるので、何とか蘇らせてあげたいと思った次第です。
さすがにとても柔らかいといわれるフローライトのレンズを自分でメンテナンスすることをあきらめ、メーカーにレストアしてもらおうと、今日修理に出してきました。
さすがにすでに原器がないので磨き直しは難しいようですが、コーティングが飛ぶことを覚悟すれば観察にそれほど大きな支障が無いくらいにはできそうだとのことでした。
2ヶ月くらいの修理期間がかかるそうですが、楽しみに待ちたいと思います。
オーナー様こんばんは。
あれこれ思うことがあり、またコメントしてしまいました。
あの頃の6cm屈折についてはオーナー様おっしゃる通り、我々のスタンダードでした。
しかし最近度肝を抜かれる6cmフローライトがタカハシから出ましたね。これを最初に見たときは性能云々の前にその値段に驚愕してしまいました。ファインダーにバンドプレートを、全部オリジナルのもので揃えると、おおよそセレストロンのC-9が買える値段です。驚いたと同時にこのメーカーのフローライトに対するこだわりの凄さを感じました。執念に近いものを感じます。
思えば世の中のアポクロマート屈折がほぼEDになりかわってからもタカハシはフローライトの火を消さなかったと言うことなのでしょう。エコガラスをフローライトと組み合わせる技術を確立し、長焦点の7.6cmから、10cmを復活させ今度は超マニアックな6cmです。やはりこれは国内でフローライト屈折の草分けであると言う自負なのでしょうか。
ところで最近ではボーグからも10.7cmのフローライト屈折が登場しました。これらは徐々にフローライトブームが再び巻き起こってくる兆候なのかも知れませんが、もしそのようなことになればやはり火付け役はタカハシということになります。
一方、ED屈折ですが、これは最近では素材競争という感じがします。2枚玉、3枚玉、4枚玉など光学レイアウトは様々ですが、いずれも日本ではSDと表現されることもある、オハラs-FPL53や、FPL53と言った最高級ED素材を使っているかどうかが、勝負のポイントとなっている様に感じます。これは、国産、中国製いずれにも言えますが、確かに性能的にはどんどん向上しているのは確かだと思います。しかしその度に値段も向上してゆくのが気がかりなところでもあります。いまや、屈折望遠鏡も行き着くとこりまで行き着いた感があり、逆に昔のものが恋しくなることさえありますね。
その意味も含めて今回のオーナー様の65mmフローライト屈折のレストアは歴史的に見ても大変素晴らしいことだと思います。もし実用的に使えるレベルまで復活したら、この手の物は今やとても貴重なものとなると思います。
小澤さま
私個人としてはフローライトであろうとEDであろうと素材にはあまり拘りはないです。
良く見えればそれで満足なんです。
今回はたまたま市の「燃やせないゴミ」の袋に入れられて、捨てられる直前の望遠鏡を「捨てるなら頂戴します」と引き取ったのが縁です。
壊れた望遠鏡を見ると、直さずにはいられない性分が身についてしまったもので・・・
以前、某大手光学メーカのレンズ設計者のお話しを聞く機会があったのですが、
曰く、フローライトは自然の物なので品質管理が極めて難しく扱いづらいもので、
設計値どおりに作ってもどうしても性能のばらつきが出てしまうことが多い。
EDレンズのほうがばらつきが出ないのでトータルで見ると、EDレンズのほうがお奨めなのだが
特に日本人はフローライトをありがたがる傾向が強いので困ったものだ・・・
ということでした。
どうも天文業界はカメラレンズ以上にフローライト信者が多いような気がします。
重箱の隅をつつくのが大好きなごく一部のマニアに煽られて、無理矢理品質管理を厳しくして(=素材メーカーを泣かせて)、やたらと高価な物を作って・・というのも楽しいことなのかも知れません。(もちろん私には理解できないですが・・・)
プロじゃなくて、コンテスト入賞を狙う気もない私としては、6cmフローライトよりC-9のほうが好きですね。
ピンバック: スタパの貸出用望遠鏡 -その5- | スタパオーナー八ヶ岳日記
「某大手光学メーカのレンズ設計者」の方は明らかな嘘をついています。
蛍石レンズ素材は純度を高くしなければ、光学レンズに使うほどには透明にできないのと、限られた条件でのみ製造できる結晶構造なので、EDレンズより屈折率のバラつきはむしろ小さい素材です。むしろEDレンズの方がバラつきが大きく、ロットごとに「修正設計」しなければならないのは常識となっているくらいです。これは大昔からです。
アメリカの望遠鏡会社のTECでは、EDレンズのバラつきがあまりに大きいのと、屈折率選別品を購入すると非常に高価になってしまうことから、最新のレンズはフローライトに変更したくらいなので、話はむしろ逆です。
件の設計の方が、一体何の意図があってこのようなネガティブキャンペーンというか都市伝説を流布したいのか知る由もありませんが、自社で採用しない言い訳をしたいのでしょうか?
そもそも自然素材の蛍石はレンズには使わず、厳密な温度管理のもと結晶生成したものしか使えないので、バラつく理由はほとんど無い素材です。
ちなみに、知人の現役の天体望遠鏡レンズ設計者(T社ではないです。むしろライバルだった会社)は、「下手にEDレンズを使って苦労するより蛍石のほうが遥かに品質も安定していて、価格も鏡筒廻りより安いのに驚く。」と言います。「EDは、バラつきが大きく管理が大変。」と。復活した元カールツァイスの会社でも蛍石を標準に採用しているくらいなので、悪かろうはずはない素材が蛍石です。(某社のEDトリプレットが高価なのは、性能指定の選別EDとしているためもあります。オハラではランク別に価格が異なるのです。同じ銘柄のEDだから性能が同じとは限らないです。)
n2068ddさま
コメントありがとうございます。
この手の情報というのはなかなか素人には伝わってこないし、時間の経過で少しずつ変わる部分もあると思うのでとても参考になります。
光学製品所有者の皆さんは、「こうだからああだ。」と一元的に優劣をつけたがる傾向がありますよね。「ナノなんとかコートだからヌケが良い」、「APOなんとかだから収差が少ない。」などなど、メーカーの売り文句にすっかり洗脳されてしまいます。雑誌社などのレビューにしても多分にバイアスがかかっていて、とても客観的とは言えないものがほとんとです。その評価は独り歩きして都市伝説を創り上げています。そうしむけるメーカーも中にはあるでしょうね。
大口径反射と小口径屈折の優劣はいつの世も議題になって、永遠に終わることがありません。
たとえば、明るさ。実際のところ鍍金の反射率はそれほど高くなく、新品同様で95%内外、劣化して80%になるのは良くあります。反射面が2面あると80%劣化品だと、64%程度です。カメラメーカーが反射望遠を止めた理由は、その鍍金の反射率がどうしてもネックになったためと言います(キャノンに在籍していた高野栄一さんの説明)。下手をすると50%くらいまで落ちてしまうそうです。ベストな対策は銀コートしてコーティングし、マンジャン鏡にして空気にさらされないようにするしかなく、クェスター鏡のようにコストが上昇してしまう。ただ、口径が倍あると、4倍明るいですから、それが半分になってもまだ2倍明るいので、大口径の反射はやはり明るいことには違いはないですが。
コントラストは、中央遮蔽が由来するもの、ミラー特有の散乱が悪さに由来するもの、そして製造精度に由来するものなどで、実MTFを計測すれば類推できます。よくできた屈折はMTFが反射より高いので、光が拡散せず淡い星雲が良く見えますし、惑星の模様もはっきり見えます。50cmのドブソニアンでは明瞭には確認できない馬頭星雲が6インチのAPO三枚玉ではよく確認できるという例も普通にあります。2インチの屈折でも、倍率を低くして射出瞳を大きくすれば、星雲が天体写真のように良く見えるものです。実際、5cmのファインダーで北アメリカも網状星雲も実際に確認しています(ファインダーは射出瞳が最大になるように設計させているので)。小口径屈折にはそれに応じた被写体や楽しみ方があるのに、それを切り捨てる風潮は、個人的には残念なことだと感じています。楽しみ方を知らないのだなと。