究極のミニスコープCELESTRON HUMINGBIRD7-22×50EDがやって来た(2)

今日は曇りのち雨の一日。

今日のネタも機能の続き、CELESTRON HUMINGBIRD7-22×50EDのレビューです。

昨日は外観や大きさについての話をしたのですが、今日は見え味を中心にお話ししたいと思います。

まずこのHUMINGBIRD7-22×50ED(以下HB50ED)はその名の通りEDレンズを使用しています。

このため安価なアクロマート式よりも色収差の少ないクリアな見え味となっています。

非常にコンパクトなことと傾斜型プリズムを使用していること、ズーム式接眼レンズを採用していることから実物を見るまで見え味については少し心配していたのですが、全くの杞憂でした。

一般にズーム式接眼レンズは低倍率側では見かけ視界が狭くなり、レンズ構成が複雑なため見え味が犠牲になりがちです。

このHB50EDも低倍率側の見かけ視界はかなり狭く40度程度(高倍率側は60度くらい)です。
せっかく低倍率でも実視界がそれほど広くないという問題はあるのですが、視界は大変クリアで視野周辺まで像の乱れがすくないです。

低倍率では全くと言ってよいほど色収差を感じることはないです。

星を見ても視野周辺のギリギリまでかなり点像に近い状態に見えます。

高倍率側ではわずかに色収差を感じるようになりますが同クラスのアクロマート式に比べればはるかに少なく、視野周辺までキリリと締まった星像が楽しめます。。

広視界を謳う安物の中には視野周辺の星像がボケボケなため微恒星が見えず、視野が広わりには星がたくさん見えていない場合があるのですが、HB50EDでは視野の端のほうまでびしっと星が見えて、見かけ視界の狭い低倍率側でも意外に快適です。

解像度もなかなか鋭く私が「夏の小三角」と呼んでること座のベガ、ζ(ゼータ)、ε(イプシロン)の部分を見ると・・・

イプシロンが二重星であることがわかるのはもちろんですが、三脚に取り付けて安定した状態では最低倍率でも二重星であることがわかります。

7倍から22倍という比較的低倍率で星空を楽しむのに大変優れた製品だと思います。

だがしかし・・・・、私があえてこのHB50EDを購入したのは単にEDレンズのコンパクトなフィールドスコープが欲しかったからではないのです。

実はこれ、ズーム式接眼レンズを外し、望遠鏡用の接眼レンズ(31.7mm径)が使えるのです。

通常フィールドスコープは排他的な性格が強く自社製のアクセサリー以外使えない場合が多いのですが、これは汎用性の高い普通の望遠鏡用の接眼レンズが使えるので、様々な倍率を使い分けることができるのです。

汎用の望遠鏡ほど合焦の範囲が広くないので、使えるレンズは限られますが、手持ちの接眼レンズで試したところ合焦しないのはごく僅かでした。

射出瞳の大きさと接眼レンズの焦点距離の関係から主鏡の焦点距離を計測したところ概ね175mm(F3.5)でした。

アクロマート式でF3.5だと天体望遠鏡としてはほとんど使い物になりそうもないレベルになりそうですが、EDレンズでどのくらい見えるのか試してみました。

上の写真では焦点距離2mmの接眼レンズをつけて約87倍となるようにしています。

この倍率で月を見るとややコントラストは落ちてきますが、視野いっぱいに見えクレータなどは十分に観察できます。

木星は2本の縞模様が、土星は輪がはっきりと見え、A環とB環の濃淡の違いが分かるほどです。

月を見る場合は焦点距離5mm前後の接眼レンズだとそれほどクリアさが損なわれず、クレーターもよく見えてちょうど良い感じです。

お出かけ用天体望遠鏡として十分活用可能です。

小型の写真用赤道儀と組み合わせれば、どこでも観察会用としても最小システムとして使えそうですし、このセットだと小さなカバンにも入りますので気軽に持ち歩けます。

国内で正規販売されていないのが残念ですが、いろいろ楽しめそうなミニスコです。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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究極のミニスコープCELESTRON HUMINGBIRD7-22×50EDがやって来た(2) への2件のフィードバック

  1. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、おはようございます。
    最近ミニスコープが流行っています。これらは完全な天体望遠鏡ですが、国産ものは非常に高いのでとても買う気になれません。現在、中国製の20cnニュートン鏡筒が税込み4万円前後で買える時代にいくら高性能とは言え50〜60mmの口径で税込み10万越えはどうなんだろうかと考えてしまいます。もちろん買える人が買えばいいという話ですが、私などはモバイル性を追求するならばいっそのこと数千円で買えるガリレオ式単眼鏡の方がいいのかなあとすら思ってしまいます。

    ご紹介のセレストロンのHB50EDは見た目完全にフィールドスコープですがアメリカンサイズのアイピースが使えるとのこと。これがいいですね。国内で販売されていないのが残念ですが、リーゾナブルな価格で入手できるならば非常に魅力的です。

  2. スタパオーナー のコメント:

    小澤さま
    いつもありがとうございます。
    HB50EDは米ドルで280ドルほどです。
    これを高いと思うか安いと思うかは意見の分かれるところだと思いますが、国産で同クラスのアポクロ鏡筒の価格を考えるとまだ安い方かと思います。
    あとは安心できる性能が確保されていればというところかと思います。
    私自身も半信半疑での入手でしたが、私が望んだ範囲の性能は確保されていたので少しホッとしています。
    防水性もあり、正立光学系であるため汎用性も非常に高いのでお出かけ用としてかなりいい線を行く製品だと思います。

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