買ってもOKな望遠鏡「RAPTOR50」 -その2-

今回は「スターライト・コーポレーション」の新商品「RAPTOR50」(ラプトル50)のインプレです。
前回は一言で「この価格でここまでの性能が有るとは思えなかった」という感想を書いたのですが、何回かに分けて細かくご紹介したいと思います。
ところで「RAPTOR(ラプトル)」というネーミングですが、恐竜の「ブラキラプトル」から来ているようです。体長2m程度とわりと小柄な恐竜ですが群れを作って集団で狩をして大きな恐竜も倒したと推測されています。映画「ジュラシックパーク」では悪役で登場するのでイメージが良くないですが、裏を返せば、もの凄く頭がよくてチームプレイができるということで人間にとって脅威になるわけで、そこまで考えると何となくこのネーミングの意味が見えてきます。
いずれ同社の社長、大沼さんのブログで語られることでしょう。

さて、今回はラプトル50の全体像を紹介したいと思います。

 外装箱は90×15×10cm、約2kgの卓上型でない望遠鏡としてはビックリするほど小さくて軽いものです。
箱の中は大まかに鏡筒、三脚、アクセサリーと架台の入った箱の3つに分かれています。
組立はいたって簡単、架台に三脚を一本ずつ長ボルトと蝶ナットで留めます。ただこのとき三脚の開き止めの向きがあって、間違えると脚が開けなくなります。木部を止めるビスが内側に来るように組立てます。

 また、組立はできるだけ明るいところで脚を倒した状態で仮組までするのが良いです。立てたままでやろうとすると、脚と架台の穴にボルトを貫通させるのが難しいのと、ボルト1本につき2枚のワッシャがついているのですが、ポトリと落として無くしやすいです。特に夜になって屋外で組立てようとすると苦労しそうです。
組みあがった三脚・架台に鏡筒を鏡筒についている2個の専用ナットで取り付けて出来上がりです。

慣れれば2~3分でできそうな作業ですが、見たい時にさっと見られるよう組立てた状態で脚を閉じてどこかに(絶対倒れないようにして)立てかけておくのがよいと思います。
組立てた状態でも1.5kg弱と小学校低学年のお子さんでも楽々持ち運べるものだと思います。

 主鏡(対物レンズ)は口径50mm、焦点距離600mmの分離式アクロマートで、第4面のみマゼンタコートが施されています。口径比F12とアクロマート式としてはわりと無理のない(性能の出しやすい)設定ですし、超高級なアポクロマートレンズを製作する工場の製品で、光学性能や光軸の全数チェックを実施しているそうです。

鏡筒内に2箇所、ドロチューブ内に1箇所の遮光絞を配置し、鏡筒内の黒色塗装は2度吹きするという、このクラスとしては信じられないほど徹底した迷光防止処理を施すことにより、抜けの良い像が得られるよう配慮しているそうです。
 鏡筒の長さは約590mm(最短寸法、フード込み)、重量は約470gととにかく軽いのが魅力です。ここまで軽いと何かいろいろといたずらがしたくなります。

鏡筒側面にはこの望遠鏡の特徴でもある天体導入用の簡易式照準が2箇所についています。

架台は微動装置なしのフリーストップ式。長さ約85cmの三脚の上に載ります。上下、水平のクランプを適度に締め、軽く動いてピタリと止まるよう調整して使います。

 アクセサリーは3個のアイピース(接眼レンズ)、天頂ミラー、取扱説明書(A4サイズ1枚白黒両面刷り)が付属します。

アイピースはK(ケルナー)20mm、F(両凸ハイゲン)12.5mm、F8mmで、3個のアイピースを使い分けることにより30倍、48倍、75倍の倍率を出せるようになっています。
ちょっと詳しいかたですとこのクラスのこの価格の望遠鏡に「ケルナー」がつくのかぁ、と驚かれるかも知れません。「ケルナー」というのは3枚のレンズを使用したアイピースで、昔は2枚しか使用していない「ハイゲン」や「ラムスデン」とは一線を画す高級アイピースだったからです。
このブログの「買っちゃダメだよ」シリーズで入手した望遠鏡には2枚玉以上のアイピースが付属していたのは1台もありませんでした。
望遠鏡というと、高倍率が偉いと思われるかたが圧倒的に多いのですが、一度に広い範囲を見ることのできる低倍率の方がずっと楽しく観察ができるものなのです。低倍率でハイゲンよりもクリアな広視界が得られるケルナーを、コストアップを承知でチョイスしてるというのは、このことだけを見てもこの望遠鏡がいかに良心的に企画されているかがわかります。

取扱説明書は簡単ですが分かりやすく書かれています。でもさすがにA4サイズ1枚の両面印刷ですので情報量には限りがあります。
星座も解からない、望遠鏡でどんなものを見たら良いかも解からないかたは、500円高くなりますが「星座早見盤、こども図鑑「月の観察」」付のセットか同ショップで扱っている「星空ガイドブック」(390円)を合わせて購入されると良いと思います。

以上、できるだけ客観的にラプトル50の紹介をしました。次回は実際に使ってみた性能に迫ってみたいと思います。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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