ポルタの教科書 (ポルタA80Mfはこう使え) その9

今日は雪のち曇りのち雨

午前中は見事な雪景色でしたが、気温が高めで雨となり、除雪作業は必要なさそうな天候です。

例年だと気温が低く、すぐに溶けないのでサッサと除雪しなければと思うのですが、その気になりませんね・・・

さてポルタシリーズ、今日から新章、実践編です。

ポルタの教科書 第3章 ポルタで天体観測

3-1. ポルタA80Mfで何を観るか

ここでは具体的に何を観るかというお話しではなく、「観る」ための準備・心構え的なお話しをさせて頂きます。

私が子供のころ望遠鏡はまだ高級品で、口径80mmの屈折望遠鏡はハイアマチュアでないと持てない高価なもので「いつかは屈折80mm」と思えるような憧れのスペックでした。

口径80mmもあれば月や惑星、二重星、星雲・星団など入門用ガイドブックに載っている各種の天体がひととおり観ることができ、太陽黒点の観測をはじめアマチュア向けの観測がそこそここなせるし、実際にそれで観測を続けている人も沢山いました。

星雲・星団については空の条件により、大きな影響を受けるので都会では観られる天体は限られますが、条件の良い場所で使えるときは有名どころのM天体がそれなりに楽しめ、都会とは比べものにならないほど良く見えます。

今日では社会が豊になり、工業製品がコストダウンされて口径80mmの屈折望遠鏡であるポルタA80Mfが入門向けとして進められるほど入手しやすい価格になっています。

そんなわけで入門向けとはいえ充分なポテンシャルを持った望遠鏡なので、鉄板ともいえる月や土星はとても良く見えて充分に楽しめます。

使い始めてしばらくはそれだけでも充分とは思うのですが、でもそれだけ観ておしまいと言うのはもの凄くモッタイナイと思うのです。

でも困ったことに望遠鏡で見える範囲というのはとても狭いので闇雲に望遠鏡を振り回しても、面白い天体が視野に入ってくれることはありません。

一部の自動導入機能の付いた望遠鏡以外は自分で見たいと思う天体を導入しなければいけませんし、どんな天体が見られるのかを知っておくなどの知識がないと全くの宝の持ち腐れになってしまいます。(世の中にどれほど押し入れで眠っている望遠鏡の多いことか・・)

ただ少し厄介なのは月や土星などのとても良く見える天体以外については、観測場所の環境によって大きく見え方が左右されることと、同じ見え方でも人それぞれの感性により感じ方が全く変わって来ることが多くて何をお奨めしたら良いのがかなり難しいのです。

特に昨今ではもの凄い写りの天体写真をたくさん目にすることが多いので、望遠鏡で観てリアルタイムで眼に入る微かな光では失望してしまう人も多いので困るのですが、ある人は寄り添って輝く二重星の輝きに感動されますし、ある人はシリウスの並外れた明るさに感嘆したり、ある人はたとえとても微かでも何百万光年の光が見えたというだけで大喜びしたりと、人それぞれに琴線に触れる部分がかなり違うのです。

そんな事もあって自分の感性に合う対象やテーマを絞り込んで行かないと面白くないし感動もできないので長続きしません。

お奨めとしては入門向けの天体ガイドブックなどに掲載されている天体の中で興味をそそるものを端から見て行くとか、誰もが観察しやすい月の満ち欠けを追いかけ様々なクレーターや地形の見え方の変化を観察するとかテーマを絞り込んで行くのが良いと思います。

月・惑星がテーマならいつどこにその天体が見えているか調べておく必要があります。

星雲・星団や二重星がテーマなら自分の感性に合うガイドブックを見つけて、いろいろな星座の中にある様々な天体の情報を収拾することをお奨めします。

いずれにしても夜になって「星が綺麗だから望遠鏡で見てみよう」ではなく「今度晴れたらこれを望遠鏡で観てみよう」という事前の準備をしておきましょう。

単に「見えた」ではなく「観た」というスタイルで観察ノート(メモ)を残すようにすると、後々楽しめることが多いのでお奨めです。

望遠鏡は宇宙を旅する船みたいなものだと考えれば、船(望遠鏡)のオーナーであり船長であるあなたが行く先(何を観るか)を決め、航海日誌(観察ノート)を残すことが大切なことなのですね。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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ポルタの教科書 (ポルタA80Mfはこう使え) その9 への3件のフィードバック

  1. T-Studio のコメント:

    記載されている内容、すごく大事なテーマですよね。
    記事はユーザー側の意識でまとめられていますが、この部分に関してはメーカーも意識を強く持ってほしいと感じています。

    私が天体趣味を再開したとき一番苦しんだのが、小学生の頃に見ることができた天体すら光害地域では探せなかったことです。(まともに星座すら見えない空では想像以上に大変な作業でした。)
    高額な製品は自動導入など進化しましたが、入門用で”対象を探しやすい”に配慮した製品がほとんどありません。今の技術ならDSCを廉価機器にも搭載したり、せめて目盛環などがついていればスマホアプリなどから探す方法もあります。正立ファインダーがデフォルトになっていれば少なくとも初心者の方がどこに動かしているか迷子になることもなくなると思います。(少なくとも対象が探せずに諦めるという最悪なシナリオは減らせるように感じます。)

    メーカーにはもっと入り口となる入門用の機材に”観る楽しみ”を提案できるような製品開発に注力してほしいなと感じています。
    (長文失礼しました。。この趣味再開してからずっと思っていたことだったので。。)

  2. スタパオーナー のコメント:

    T-Studioさま
    いつもありがとうございます。
    初心者が望遠鏡を使えるようになるまでに、実はかなりたくさんのハードルがあるように思います。
    でもそのハードルの数や高さは、人それぞれの環境や知識、スキルなどによって大きく変わることも事実です。
    例えばピント合わせひとつとっても、ある人は顕微鏡などを使い慣れていてサクッと合わせられるかと思えば、見本を見せて何度か練習してもらっても、なかなかカチッと合わせることができない人もいます。
    そうなると、どこまで詳しくわかりやすく説明したら良いのが、あまり詳しすぎても見てもらえないかも・・といった葛藤がメーカーや解説する側にはどこまでもつきまといます。
    私自身この連載を投稿しながらどこまで書くのかを模索しながら書いているので、この投稿では少し「使う側」に判断をゆだねる書き方をさせて頂きました。
    メーカーにももっと間口を広げて欲しいところですが、この時代ですからよりたくさんの方がそれぞれの思いや経験をネットに上げて、もっといろいろな情報が入手しやすくなると良いですね。

  3. T-Studio のコメント:

    オーナー様
    ご返信ありがとうございます。
    確かに天文は神話や占い、写真、観望、学問、観測など書ききれないくらい裾野がひろいですよね。
    かつては光学機器の製造大国だった日本だけに私が子供のころは天体望遠鏡に憧れをもつ子供も一定の割合でいたように思います。

    今も天文系のイベントなどでは多数人が集まるので興味がある人はいると思うのですが、空の状態が悪くなっていたり、他にも興味の対象が増えていると思います。
    それだけに入り口(入門機もそうですが、導く人も重要ですよね)の果たす役割ってすごく大事だとおもいます。
    私が、この趣味再開したころオーナー様が開業したり、プラネタリウムが流行ったり、某光学会社の社長のうんちくが聞けたりと恵まれた再スタートを切ることができたことが現在まで趣味が続いている要素になっていると思います。

    それに比べ入門機に関しては大分時代が進んだのに私が子供の頃と大差ない状況に感じていました。(高級機は至れり尽くせりですが。。なんか、提案性のあるチャレンジングな製品はお隣の国のほうが多いように感じます。。。)

    入り口はとても大事だと思うので、現状の日本のメーカーの入門機の扱いにもどかしさを感じていたのかも知れません。
    モノづくりの日本、頑張れ!ですね。
    (またもや長文失礼しました。。メールのほうが良かったかも。私文なので、コメントとして掲載しなくても良いですよ)

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