コンデジで天体写真を撮ろうⅡ その24(最終回)

ダラダラと続いた「コンデジで天体写真」シリーズですが、天体写真に向いた
コンデジの選び方、望遠鏡と組み合わせて撮影する方法、処理方法など一通りの
解説が終わりました。

説明が不十分であったり、書き足りていないと思う部分もあるのですが、
一応今日で最終回とします。

デジ物の世界はまさに日進月歩ですので、今はハイエンドでないと写らない
ものでも、1~2年先には当たり前に写るようになることもあると思いますし、
この連載をしている間にも、ドンドン新製品が出て、天体写真が写せそうな
コンデジが出てきています。

そう遠くない将来には、S95で撮った以上の星景写真がエントリークラスの
コンデジでだれでも失敗なく撮れる日が来るような気がしています。

だれでも眼で見たとおりの風景が思い通りに撮れるというのが究極のニーズ
だと思いますので、それができるようになるまで進化し続けることでしょうし、
一眼デジのハイエンド機種のように目に見えないものまでも写し撮れるような
時代が来るかもしれません・・・

最後になりますがもう一度、天体写真が撮りやすいコンデジの条件を紹介して
終わりにしたいと思います。

・ISO感度が高いこと。 ISO3200以上が望ましい
・レンズの開放値が小さいこと。 F2.8以下が望ましい
・マニュアルフォーカス、または無限遠にフォーカスロックができること
・露光量のマニュアル設定ができること
・長秒露光ができること。 15秒以上が望ましい

本編の中で紹介したのは以上5つの条件ですが、以下の2つについても考慮して
おくと良いです。

・超広角は避ける。 35ミリ判換算で28mm以上の焦点距離を選ぶこと
  カメラレンズが広角だと接眼レンズも広角型でないと写野が小さくなり
  無駄(黒い部分)が多くなってしまいます。
  ズームして写野を大きくすることもできますが、ズームするとF値が大きく
  なる場合があるのでお奨めではありません。

・ズーム比の大きなものは避ける。 光学4倍以下が望ましい
  レンズは撮像素子側に焦点を結ぶ焦点(後方焦点といいます)と、レンズの
  前側に焦点を結ぶ仮想的な前方焦点があります。
  通常のレンズではどちらの焦点もレンズの外側にあるのですが、コンデジの
  焦点距離はとても短いので、レンズ構成が複雑でズーム比の大きなレンズ
  では、後方焦点はどうしてもレンズの外に出さなければ結像しませんが、
  前方焦点については(特に短焦点側では)レンズの外に出ない場合があります。
  前方焦点がレンズより前に出ていないと、接眼レンズのアイポイントの
  正しい位置にカメラレンズを置くことができず、大きなケラレが生じたり
  光軸合わせがシビアになったりします。

コンデジの進化の方向性としては、オールマイティーを実現するために、広角化と
高倍率ズームというのは正しい方向だと思うのですが、こと望遠鏡を覗かせる
という邪道(?)な使い方にはあまり向いていない方向です。

そのうち高級機ほど天体写真に向かないなんて時代が来るかもしれません。(完)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
カテゴリー: 天体写真, 天文関係, 望遠鏡・機材 パーマリンク

コンデジで天体写真を撮ろうⅡ その24(最終回) への4件のフィードバック

  1. EMI のコメント:

    スタパオーナーさま~
    シリーズ終了お疲れさまでした。
    コンデジで星の写真が撮れるなんて、わくわくして毎回楽しみに拝読しておりました。
    特に前回のRegistaxの記事を見て、『ひょっとして、私も 「こんぽじっと」ができるかも~v』
    と、夢が広がりました。
    雑誌に載るような写真は無理かもしれませんが、個人で楽しむ程度ならコンデジでも十分天体写真を撮るツールになり得るのですね~。

    辛いニュース、不安なニュースが多い中、このブログの記事と写真に、とても癒されるました。
    スタパオーナーさまの明るく負けない姿勢を、私も見習おうと思います。

  2. スタパオーナー のコメント:

    EMIさま
    いつも応援ありがとうございます。

    こういうコメントを頂くとホントに嬉しいですね。

    おかみがブログに書いていましたが、ただ「脳天気」なだけなんですがね・・・(^^;)

    さて、コンポジット意外に簡単ですよ~
    経緯台の手持ち撮影でもたくさんのカットを狙わなければ(例えば2~3秒分)
    Registaxで処理できると思います。
    ぜひぜひ挑戦してみて下さい。

    雑誌に載せようなんて考えないで、自分の機材でどこまでできるのか試すのも
    この趣味の楽しみ方の一つだと思いますので・・(^_^)

    EMIさまが最近購入されたコンデジも結構天体用に使えそうですので、レポートを
    楽しみにしています。

  3. Nikon 8cm のコメント:

    スタパオーナーさま

    とうとうシリーズの最終ですか。毎回楽しく読ませていただきました。特にRegistaxによる動画を用いたコンポジットは以前から興味を持っていたので、また詳しく紹介して下されば嬉しいです。
    ローライトを使っての撮影は私も以前から考えていたのですがS90では感度を調整することができず思うように使えないので、諦めていました。木村さんの写真を見ると私もS95が欲しくなってきました・・・・、これが6cmでの撮影!!と驚かされるばかりでした。S95に限らず今後のコンデジの進歩には期待するところ大です。

  4. スタパオーナー のコメント:

    Nikon 8cm さま
    ご愛読ありがとうございました。
    Nikon 8cmさまのブログをお手本に、もっとお手軽に、小さな望遠鏡で誰でもという方向に道筋を付けられればと思い連載しました。
    よいお手本があったからこそ連載記事が書けたのだと感謝しております。
    Nikon 8cmも期待されているようにコンデジの進歩はまだまだ続くと思いますので、その時のためにノウハウを蓄積しておければより楽しみになりますよね。
    各社から続々とライバル機がリリースされているS95ですが、天体向けの性能としてはまだまだトップクラスですね。
    値段がだいぶこなれてきていてお買い得感はありますが、そろそろ後継機の発売時期が近いのかも知れません。
    S90に比べてローライトの自由度はアドバンテージかも知れませんが、今のISO12800はあくまでも緊急待避的機能ですので後継機を待った方がよいかも知れませんね。
    Registaxについては機会がありましたらいずれもう少し詳しく書きたいと思います。
    お楽しみに・・・

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください