9月に入っても何だか天候がすぐれません・・・
正直なところ、体力的には少し助かるのですが・・
さて、今日も眼の話しが続きます。
暗い天体をうまく見るには、視野を少しそらして視野の中心から離れた
ところにたくさん分布する桿体を使うという「ワザ」を説明しました。
それでは天体を見るときに「錐体」は全く役に立たないのかというと、
そんなことは全然ないのですが、今日のところは暗い天体を見るときの
ための話しをもう少し進めます。
暗い天体をよく見えるようにするためには、(当然ですが)眼を良く暗さに
慣らさないと(順応させないと)いけません。
明 → 暗 への順応を「暗順応」、暗 → 明 への順応を「明順応」といいます。
ここで注意しなければならないのは、明順応と暗順応とでは順応が落ち着く
までの時間が全く違うということです。
上の図は暗・明順応が飽和するまでの時間を示しています。
暗順応が落ち着くまでには20分以上かかるのに、明順応は1分くらいで
完了します。
明順応のスピードが速いのは急激に強い光を浴びたときに、眼が損傷を
受けるのを最小限にするためだと考えられていますが、本当のところは
よくわかりません。
暗順応のカーブで面白いのは、図中に「A」と「B」で示された2段階の順応が
あることです。
これは「A」の部分が錐体の順応カーブで、錐体の暗順応が飽和した後、
桿体の暗順応がさらに進むというように、錐体と桿体の順応スピードに
差があるために起こる現象です。
暗い星を見ようと思えば、「そらし眼」などのテクニックを使う以前に、
少なくとも5分から10分は暗さに眼を慣らしてやり、桿体が充分に
働けるようにしてやる必要があります。
さて、ここで裏技をひとつご紹介しておきます。
明順応と暗順応は(完全に切り離されているかは不明ですが)、左右の眼で
別々に進行します。
このため、できるだけ早く暗順応をしたいときは、明るい場所にいるうちに
片方の眼(きき目がよい)をつぶったり、黒い眼帯をかけたりしてやると、
先に暗順応が始まります。
暗い場所に移動したら、塞いだ眼を開くと、開けていた目より確実に
暗いものがよく見えます。
一時的に明るくして作業をしなければならないときでも、眼を塞いでいれば
塞いだ方は明順応しませんので、暗い場所に戻ってすぐに作業が始められ
ます。
この裏技、30秒でも1分でも効果があります。
天体観測のときには、かなり役立つ裏技ですので覚えておくと良いです。
眼の話しはまだまだ続きます・・・