ラプトル60の小改造

今日は曇りのち夜になって雨。

ゴールデンウィーク突入ですが、今日は畑仕事。

スタパ周辺で霜の心配がなくなるGW明けに作物の苗を植え付ける準備です。

さてスタパには入門用望遠鏡であるラプトル60が2台あります。
(ラプトル50も2台ありますが、うち1台はほとんどラプトル50の面影が無いほど改造しています。)

ラプトル50・60はスタパで販売しているので見本として1台は純正のまま置いていますが、1台は改造用としていろいろバージョンアップしています。

もともと素性の良い望遠鏡なのであまり改造しなくても良いのですが、本気で使い出すとどうしても31.7mmサイズの接眼レンズが使いたくなります。

純正では24.5mmサイズの接眼レンズと天頂ミラーが付属しますが、高倍率にしたいとか、眼鏡使用でも覗きやすいハイアイの接眼レンズが使いたいという場合には、付属の31.7→24.5変換アダプターを取り外すだけで31.7mmサイズの接眼レンズが使えるようになります。

ただし31.7mmサイズの接眼レンズや天頂ミラーは少し重量が大きいので確実に鏡筒の前後バランスが悪くなります。

これを解消するために筒先側にオモリを取り付ければ良いのですが、どうせオモリを追加するなら、接眼部側にファインダーを追加してしまおうということで、純正の覗き穴式照準を取り付けているネジを外して、ドットサイトファインダーを取付けて見ました。

筒先のオモリには100円ショップの筋トレコーナー(?)にある250グラムの手首・足首用ウエイトを巻き付けます。

ただ巻き付けるだけだと鏡筒の上下で動いてしまうので、鏡筒側にベルクロテープを貼り付けておきます。(写真の白い部分、ベルクロの雄雌を間違えないように!!)

ウエイト側のベルクロテープを少しずらして留め、鏡筒側のベルクロテープにも泊まるようにすれば任意の場所でウエイトを固定できます。

昨晩このセットでお月見をしてみましたが100倍くらいまではなんの問題も無く気持ちよく観察することができました。

ラプトル60を使いこなすときに特に重要なのは上下の摺動硬さを調製するノブの締め付け具合です。

締め付けすぎると動きが渋くて追尾が難しくなり、ユルすぎると上下角によって鏡筒が勝手に動いてしまいます。

シーソー式経緯台なので天頂方向に近づくにつれ手前に落ち込むこーメントが大きくなるため、厳密には鏡筒の上下角により締め付け強度を調整する必要があります。

この辺のところは実際に使いこなして身体で覚えるしか無いですが、使いこなせるようになれば中途半端な微動付きの機種より安定性が高く軽快に楽しめるようになります。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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ラプトル60の小改造 への13件のフィードバック

  1. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、

    鏡筒バランスウエイトの工夫ですね。手軽に安くできて素晴らしい工夫だと思います。

    上下軸のネジテンションの締め具合は仰る通りなかなか難しいですね。接眼部の重さ次第ではこの様な鏡筒前部におもりをつけるのはとても効果的だと思います。

    それにしてもこの鏡筒、光学性能が良いです。私は鏡筒バンドをつけて強度の高い経緯台に載せて観望することが多いですが、シーイングさえ良ければ5mmのアイピース、140倍でも十分鮮明な惑星像を楽しむことができます。4mm、175倍でも像が破綻しません。7mm、100倍くらいの中倍率では、長焦点アクロマート屈折特有の非常にシャープな像を堪能することができます。
    値段を考えると驚異的ですね。

  2. スタパオーナー のコメント:

    小澤さま

    いつもありがとうございます。
    眼鏡必須の身体になるとどうしてもハイアイの接眼(=31.7mm径)が欲しくなり、必然的に鏡筒バランスウエイトが必要になると言う構図です。
    もちろん前後移動可能な鏡筒バンドを用いて別の架台に取り付ける方がマニア的には手っ取り早いですね。
    そういう意味でラプトル50のほうはすでに原型をと留めないほど改造しているのですが、60に付いてはあえて純正の架台・三脚を活かす形でのリノベーションを画策しています。

    31.7mmを常用レンズ径とすることによりハイアイ接眼が使えるので高倍率が気軽に楽しめるようにます。
    小澤さんがおっしゃるとおりラプ6の鏡筒は高倍率にも充分耐えてくれる鏡筒ですが、より低倍率・広視界も楽しめるようになるメリットも大きいと思います。
    24.5mm径の接眼では見かけ視界40~45°程度の25mmが限界ですが31.7mm径になると見かけ50°の30mmが使用でき、視野面積は2倍以上広がるので使い勝手の良さが格段に変わるように思うのです。
    より広い範囲の倍率が使えるようにするための鏡筒バランスウエイトというわけです。

  3. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、私も31、7サイズで観望しておりますが、現在は私の自宅周辺では非常に空が明るいので、口径60mmでは観望対象はほぼ月と惑星のみ、となっておりまして、ハイアイのアイピースは使っておりません。オーナー様の夜空の環境がとても羨ましいです。

    かなり昔、30年くらい前には一時ハイアイの物を使ったことがあります。ペンタックスのXL、ビクセンのLVなどですが、現在のものと比べて性能に違いはあるでしょうか。特に視野中心部の解像度、周辺の星像などについてお教えいただければ幸いです。

  4. スタパオーナー のコメント:

    小澤さま
    眼鏡無しで観察ができるのならハイアイは不要ですね。
    惑星重視なら広視界も不要でオルソで充分ですね。
    ひと口にハイアイといっても性能はピンキリです。
    値段なりの見え味のものが多いですし、高くても中心像でオルソ並みというのは貴重な部類になると思います。
    広視界に特化したものは鏡筒との相性もあるので、これも一概には言いにくいですね。
    ただし個人的には周辺像まであまり気にするとストレスの原因になるので気にしない方が良いのではないかと思っています。

  5. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、ありがとうございます。
    周辺像まであまり気にするとストレスの原因になる、おっしゃる通りだと思います。
    眼鏡不使用で惑星中心ならばORや、PLで充分、これもその通りだと思います。

    実を言うと、最近では私も乱視が進み眼鏡が必要な状態なのです。とは言え、ハイアイのアイピースの選定が難しく、さらに値段も高いので新たに買う決心がなかなかつかず、致し方なく今の状況で行なっているというところが実情です。
    ハイアイの中にはブラックアウトしやすかったり、また中心像が惑星向きでないものもあるため、選定が難しいですね。どれを選べば良いかと言うのが課題となっております。

  6. 佐藤一郎 のコメント:

    スタパオーナー様
    スタパオーナー八ヶ岳日記を拝見しラプトル60小改造を拝見して感動しまた。素晴らしい日記です。私は天体望遠鏡を購入するのに初心者なのでyoutube&インターネットを参に検討しましたがメーカーが数多くあり迷ってたところスタパオーナー八ヶ日記を拝見してラプトル60を購入しました。
    何か小澤様とのやり取りが本当に参考になりました。最近では土星と木星を大きくハッキリ見たいのでSVBONY天頂ミラー31.7mm とuwシリーズ6mmを買いました。広角で凄く惑星も綺麗に見えます。
    前に小澤様とのやり取りの中でラプトル60で接眼レンズ4mmと5mmでも土
    星と木星がよく見えます。とのコメントがありましたがレンズメーカーの相性があると思いますのでハッキリ見えたレンズのメーカー等を教えて頂けたら幸いです。以前ラプトル60の接眼レンズは6mmまでは綺麗に見えますが4mm,5mmでは推奨しませんとメーカー側から回答がありました。参考までです。
    メーカーによりかなりバラツキがあると聞いております。よろしくお願いいたします。

  7. スタパオーナー のコメント:

    佐藤さま
    拙ブログの記事がお役に立ちましたようで嬉しい限りです
    ラプトル60で4mm、5mmの接眼レンズを組合わせると175倍、140倍と明らかにメーカーが推奨しない倍率になります
    製品のバラツキもありますし、手動経緯台であるラプトル60では相当熟練しないと視野に捉えることがという側面もあると思います
    ただスコープテックの製品は国産であり、かなり品質にバラツキは少ないのではないかと思うのと、60mmクラスのアクロマート屈折であれば口径mm数の3倍くらいまでは観る対象によっては意外に使えるというのが個人的な持論です
    ここで「観る対象と」ことわったのは、過剰倍率で使える対象が充分に明るい天体が前提になります(主に月、火星、木星や3等星以上の明るい二重星などです)
    星雲星団や暗い二重星では暗くなりすぎてかえって見えなくなります
    しっかり使いこなされているのであれば使えない倍率ではありますが、追尾はかなり忙しいですし、風などの影響もとても大きくなると思います
    できれば赤道儀に載せて見るのがお奨めです

    さてお奨めの接眼レンズですが、
    Sky WatcherのUWAシリーズが値段のわりには視界が広く、覗きやすく、そこそこの結像性能があると思います
    古典的なオルソやプルーセルも結像性能はクリアですが、アイポイントが極端に短く眼をこすりつけるような感じになります
    高倍率を使っていると日によって(あるいは望遠鏡によって)良く見える適正倍率が変わることがあるので予算があるならSVBONYのズーム式接眼レンズSV215もお奨めです
    8mm~3mmの範囲で焦点距離が可変できます
    メガネ使用だと少し覗きにくいですが、裸眼(orコンタクト)ならわりと覗きやすく、像も良いです
    ご参考まで

  8. 佐藤一郎 のコメント:

    オーナー様
    オーナー様の適格すぎるアドバイス。親切丁寧にご説明いただき本当にありがとうございます。
    接眼レンズ他すごく参考になりました。
    最近になって惑星の追尾が難しくなり検討してますのがラプトル60本体そのままで微調整経緯台を探してます。
    ミザールk型経緯台
    kenko new kds
    どちらも上下左右の動作が良いのですがラプトル60の雲台には取り付け不可能とか記載されてました。
    よってラプトル60現行のままで安価で微調整可能な経緯台がありましたら教えてください。
    何かオーナー様なら良い案が見つかりそうです。
    やはりラプトル60の架台は微調整が要らないくらいに高度設計されているそうです。

  9. スタパオーナー のコメント:

    佐藤さま
    コメントがお役に立てて良かったです
    さてラプトル60を別の微動付き架台に載せる方法ですがこちらの記事
    <https://star-party.jp/wp/2010/06/30/%e3%82%a2%e3%83%88%e3%83%a9%e3%82%b9%ef%bc%96%ef%bc%90%e3%81%a7%e9%81%8a%e3%81%b6/>
    にあるようにスコープテックさんの鏡筒バンド(現状ではアリガタレール付きのみ在庫ありのようですが)を用いるのが一番手っ取り早いです

    アリガタレールを鏡筒に直付けする裏技もありますがひと手間かかるので手法は本日(2025.07.06)のブログで紹介します
    ドリルで6mmの穴開けが必要ですが安価に改造が可能です

    微動付き架台ですが、ミザールk型経緯台、kenko new kdsはいわゆるシーソー型と呼ばれるタイプで鏡筒が天頂近くになると大きくバランスが狂い使いづらいタイプです
    (どちらかと言うとK型経緯台が安定しています)
    少し高くなりますがSVBONYのSV225はかなりしっかりしていてお奨めです(ビクセンのポルタⅡ経緯台に近いです)
    なおSV225miniとkenko new kdsⅡは天頂方向に向けることができないのでお奨めしません

  10. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、佐藤様、

    ラプトル60は、非常に優秀なアクロマート屈折です。
    以前書かせていただいたように、4mmや5mmのアイピースでも十分に惑星の模様を見ることができますが、そのシャープさを一番体感できるのが6mmではないかと思います。私はレンズ構成が単純で、枚数の少ないアイピース、具体的にはアッベタイプやプルーセルタイプが惑星用には合うように思います。しかし人によって好みは様々ですので断定はできません。

    ラプトル60で、プルーセル6mm117倍で衝の時期の木星を見ると、一番太いベルトの凹凸が非常にはっきりと見えます。

    惑星、特に木星がよく見えると言った表現をする場合、ベルトの本数が多く見えるとか、大赤斑の中の構造が見えるとか、フェストーンがコントラストよく見えるとか色々言われますが、私個人では、この太いベルトの凹凸感がよく見えると一番感動します。

    この、ベルトの凹凸感に関しては、私的には出来の良い小口径のアクロマート屈折と、小遮蔽のニュートンがベストのように思います。

    ただやはり、オリジナルの経緯台に載せている状態ではなかなかここまでの体験をするのは難しく思います。1番の問題点は、高倍率観望の際の合焦時のブレですね。どこでピントが合ってるのかがなかなか分かりません。
    私は以前はスコープテックで販売されていたアリガタレール付きの鏡筒バンドを巻いて、非常に大型で強度の高い経緯台(ユーハンのTマウント経緯台)に載せて使っておりましたが、さすがにシステム全体が大きくなりすぎて6cmの機動力が全く生かせないので、最近はアトラスの経緯台にそのまま載せておりますが、やはり高倍率時の強度不足は否めません
    オーナー様の別記事のご意見は非常に参考になります。ありがとうございます。

  11. スタパオーナー のコメント:

    小澤さま
    いつもありがとうございます
    長い経造詣の深い造詣の深いコメントに感謝です
    有効最大倍率以上を出してもそれほど見え味に変わりが無いとわかっていても、自分の機材がどのくらいの倍率に耐えられるのか試さずにはいられないと言うのが天文オタクのアルアルですね
    結局常用するのは有効最大倍率あたりまでというのが日常になるのかも知れません

    架台の選択は、使うときの安定度は重視したいけど、気楽に持ち出せないと利用頻度が低下する傾向があり、機動性を取るか安定性を取るか悩ましい選択ですね

  12. 佐藤一郎 のコメント:

    オーナー様 小澤様
    親切に対応いただきまして本当に感謝です。
    何か内容のレベル素晴らしいです。
    オーナー様も小澤様も豪華な沢山の天体望遠鏡やアクセサリーを持っていてすごくお金がかかってると思います。
    あと的確なアドバイスと知識は素晴らしい。
    やはり初心者の私としては尊敬します。
    経緯台は参考にしながら購入します。
    本当にありがとうございました。

  13. スタパオーナー のコメント:

    佐藤さま
    拙ブログの記事や小澤様とのやり取りを参考にしていただけましたようで嬉しい限りです
    ともすると大口径の望遠鏡を使いたい、入手したいという方向に流されがちなのですが、小口径の望遠鏡には小口径なりの楽しさやメリットも多いです
    ぜひいろいろ工夫しながら楽しんでいただければと思います
    当館には天文ドームに設置された40cm望遠鏡がありいつでも使える環境にあるのですが、個人的楽しみとして最近はなぜか小口径ばかり使っています
    初心者の方向けという意図もありますが、私自身の原点回帰や、なにより気軽に持ち出してサクッと観察できるお気楽スタイルが気に入っています

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