今日はやや雲多めの天候、夜になって一時吹雪・・、その後深夜になって月と星が煌々・・・
何とも困った天気です
気温は低めで日中でも氷点下を上回らない日が続きます
さて、以前にも素朴な疑問として「反射望遠鏡には必ず筒外に焦点を出すための副鏡が着いているのだが、これは観測の時邪魔にならないの?」という質問に答える記事を書いたのですが、もう少し深掘りした話を書きたいと思います
まずは以前の記事のリメイクから
望遠鏡の先端にこんな邪魔なものがあて大丈夫かという疑問はもっともなのですが、冷静に考えると望遠鏡が「像」を作る上では望遠鏡のすぐ前にある遮蔽物というのはそれほど問題にならないことが判ります
望遠鏡のレンズが像をつくる原理を説明するものですが、この図で例えば対物レンズの下半分を塞いだらどうなるかを想像していただきたいのです
もしも遮蔽物が邪魔になるのなら、ろうそくの下半分が見えなくなるはずですが、実際にはレンズのどこを通った光も焦点面の同じところに焦点を結ぶので、ろうそくの先端の部分の光はろうそくの先端の像をつくり、根本の部分は根本の像をつくるのです
明るさは半分になりますが、像の形には影響がないのです
鏡筒の先端中央に副鏡の丸い遮蔽があるシュミットカセグレイン式望遠鏡で星を見たときの像の見え方を実例として紹介します。
像を作るうえで遮蔽物はそれほど影響しないと書いたのですが、実はピントが大きくボケているときにはこの遮蔽物が見えます
しかしピントが合って行くに従いだんだん中央の影は小さくなってゆきます
さらにピントが合うとほとんど影が見えなくなり
完全にピントが合えば、星は点像になり影は完全に見えなくなります
お子さんがいたずらをして望遠鏡の前に手を出したりして、鏡筒の一部を塞ぐことがあります
この場合も(口径にもよりますが)少し暗くなるくらいで覗いている人が気付かずにガッカリしているお子さんがいたりしますがこれも上と同じ理由です
例えば望遠鏡の前に下のように穴の空いたマスクを被せたらどう見えるのか試してみます
ピントが大きくずれているときにはハッキリ○と△が見えます
ピントが合うに従って○と△はだんだん小さくなりながら近づいて行きます
ピントが合う直前ではごく小さな○と△が接近して、ピントが合えば1点に収束します
光路上に副鏡があるので光が遮蔽されますが、遮蔽される量は主鏡と斜鏡の面積比で決まりますので、例えば主鏡の口径の3分の1の副鏡であれば11%が遮光され、4分の1であればわずか6%の遮光ですみ、予想外に光量の損失が少ないことが判ります
光路上に副鏡やそれを支持する金具などがあれば、その縁で光が回折を起こし像を劣化させるので、そういったものが全く必要ない屈折に較べて不利であることは事実です
ただし、反射望遠鏡は屈折望遠鏡較べ安価に大きな口径を得られるのでその不利を補うことが可能になります
そういう特性のものだとある程度割り切って受け入れられているようです
ここまでがリメイクなのですが、それでは副鏡の存在が回折による劣化以外の悪さはしないのかというところが今回の記事のテーマとなります(続く)