望遠鏡テイスティングで遊ぶ

今日は曇りのち晴れ、薄明終了後にまた曇ってしまいました

さて断捨離は度声やらで増えた鏡筒2本

右から114mmニュートン反射(D114/f500mm)、中央JSO Space10(D100/f1000mmシュミカセ)です

114mmニュートン反射の光軸調整がある程度のところまで追い込みできたので、従来からある左端のETX-90(D90/f1250mmマクカセ)と見えかた比較をして見ることにしました

それぞれ性格の異なる鏡筒ではあるのですが、見えかたの特徴などを把握するためサイドバイサイドで倍率を変えながら比較して行きます

Space10は全体に像が甘く、コントラストも低いです(このまま実戦投入は厳しいかも・・・)

光軸が完璧でない可能性もあるので、今後の調整や改造により改善ができるかどうか検討したいです

114mmニュートンは3種の鏡筒の中で口径が一番大きいせいか同倍率では予想外に像が像が明るく、Space10よりはコントラストも良いですが、光軸調整が完璧でないので高倍率では像が甘くなります

気楽に低倍率(50倍くらいまで)を楽しむのには良いと思います

ETX-90はコントラストは高く高倍率でも像が乱れないのですが、全体に像が暗めです

明るい天体を高倍率で楽しむのに向いた鏡筒ですね

この3機種はトラバースに同架可能な2.5kg未満なのですが、どうせなら他の鏡筒も試そうと比較してみました

右が114mmニュートン反射、中央SVBONY SA401(D85mm20-60倍フィールドスコープ)、左D80mmF10アポクロマート屈折です

同倍率では80mmアポが解像度がダントツで、SA401はやや色収差が見られ、114mmニュートンは明るさではわずかに勝るのですが、コントラストや像のキレが劣ります

ただし80mmアポは鏡筒のみで約4kg、114mmニュートン反射の倍近い質量です

気軽さという意味ではSA401や114mmニュートン反射に劣ります

さらに114mmニュートン反射に口径の近いセレストロンのC5(D127/f1250mmシュミカセ)との比較

質量はC5のほうが少しだけ重いのですが、長さが短いので取り回しという意味ではC5が勝ります

C5の迷光防止処理はSpace10より優れていて、コントラストが高く解像度が高いです

低倍率以外で114mmニュートン反射に勝ち目はない感じです

120mm短焦点F5アクロ屈折(D120/f600mmアクロマート)と114mmニュートン反射でも比較してみました

明るさやコントラストでは120mmアクロが優れますが昼間の風景では60倍くらいでも色収差か強烈に出て気分が良くないです

今回のテイスティングでは114mmニュートン反射は鏡面の清掃をしない状態で行ったので、清掃をすればもう少しコントラストが向上したかも知れません

初めは3機種だけで比較のつもりだったのですが、80mm~120mmクラスの手持ちの鏡筒の比較になってしまいました

おかげでニューカマーの位置づけや問題点など確認することができました

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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望遠鏡テイスティングで遊ぶ への3件のフィードバック

  1. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、今回も面白い比較をありがとうございます。
    最後の120cmF5のアクロですが、おっしゃる通り色収差はやや気になりますね。私が使ったものでもそうでした。まあ、スペックからすれば致し方がないところでしょうか。同じシリーズの10cmのタイプの方が色収差が少ない感じがします。

    あと、このシリーズのものは新品の納品時に光軸がきっちり合っていない個体があります。私のものもそうでしたので、コリメーションアイピースを使って接眼部の固定ネジを緩めて合わせ、あったところでネジをしめると言うやり方で調整をしたところ、10cmのタイプでは木星が高倍率でもかなり解像力豊かに見えるようになりました。レンズの研磨自体はかなり精度良く磨けているなと思います。

    私自身、今まで多くの光学系を経験して来ましたが、その全てが眼視観望でした。ポータビリティを無視すれば、やはり評価ポイントとして惑星の高倍率性能というところにいつも帰着します。そしてその最上位に位置する光学系は、小遮蔽のニュートン式という結論になります。
    しかしジプシー観測家にとっては、望遠鏡のポータビリティは欠かせない要素ですので、それらを含めた総合的な評価は非常に難しいですね。

  2. スタパオーナー のコメント:

    小澤さま
    いつもありがとうございます

    望遠鏡では同じF値でも口径が大きくなるほど絶対的な収差が大きくなるので、口径が小さい方が収差が少なくなるのだと思います
    12cmF5アクロは低倍率の星雲星団専用として割り切ってるので、色収差はオマケだと思っています(笑)
    色収差のわりには惑星も意外なほど良く見え、コントラストが高いこともあり素性の良くない(ここで紹介している114mmニュートン反射など)同口径のニュートン反射より良く見えます
    さらに電視観望の世界ではクワッドバンドフィルターを用いることによりアポクロマート並みの性能を引き出すことができることがわかっているため人気の衰えない機種になっているのだと思います

    光軸ズレについて、私も20年ほど前に10cmF5を所有したことがあったのですがこれが光軸ズレでした
    初期の製品には製作不良というか管理不十分な製品が多かったのかも知れません
    手元の12cmF5は当りなのか全く問題ありませんし、過去に当館のゲストが持参された本シリーズの鏡筒もハズレを見たことがありませんので、最近は改善されているのかも知れませんね

    私自身、元々は惑星屋なので惑星が気持ち良く観察できるかどうかが望遠鏡選びの基準だったのですが、星の綺麗な当地に暮らすようになり低倍率・広角視野による星空散歩の楽しみを知るようになり、判断基準の多様化が起こりその結果やたらと鏡筒が増えるという結果に陥っています・・・

  3. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、
    電子観望では、アクトマートの色収差を軽減するアイテムがあるのですね。それならば人気が持続するのもわかります。

    前述した10cm、12cmの他、昔、笠井トレーディングから出ていた15cmF5のアクロマート屈折を使った経験がありますが、惑星が驚くほどよく見えました。このスペックでここまで見えるとは信じられない見え方で、それまでの常識が覆されたのを覚えています。この鏡筒はおそらく今回オーナー様が挙げられた12cmF5と同じSYNTA社製だと思われますが、当たり鏡筒であれば本当によく見えると思います。

    オーナー様の星がよく見える環境、実に羨ましい限りです。私もそのような環境のもと、星三昧ができる生活を夢見ましたが、叶いませんでした。ですのでオーナー様の発信される星情報を読ませていただくのがとても楽しくかつ新鮮で、いつも勉強になっております。

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