星に名前を

星に自分の好きな名前を付ける権利を買うことができるのをご存知でしょうか?
といっても学術的に認められた彗星や小惑星などの命名とは全く別で、ある程度しっかりした団体が、その団体として、その団体が存続する限り星の名前を登録して保証するというものです。
学術的に、また国際的に認められるわけではないので、冷たい目で見られることも多く、天文ファンの間では今ひとつ反応が鈍いようです。
私も立身出世や末代まで名を残したいという気持ちとは遠くはなれたところにいるので、あまり興味が無いくちです。でも昨晩泊まられたIさん親子(母娘)にお会いして少し考えが変わりました。
Iさんのお母様がご主人を亡くされて傷心しているとき、娘さんがこの星に名前を付けることができることを知り、お父さんの名前を付けた星をお母様にプレゼントされたということです。
昔から人は死ぬと星になるとも言われています。もちろんそんなこと迷信だと知っていても、愛する人の名前が付いた星が本当にあったら、それはとても素敵なことだと思います。愛する人を偲ぶ気持ちを星に託すことができるのなら、学術的に認められていようがいまいが「この星はあなたの愛する人の星です。」とだれかが約束してくれるのなら、とても素晴らしい事だと思います。
名前の付けられる星は11等級というかなり暗い星で、少なくとも口径10cmくらいの望遠鏡がないと見えないレベルの星です。でも、どうせ無味乾燥なナンバーしか付いていない星なのですから誰かが名前を付けても害はないのではないかとも思います。
たとえ暗くても「確かにその星がそこにある」というのが何より重要なことではないでしょうか。

 実はこのIさん母娘、昨年の4月末にも「かに座」を見たいとスタパに来られたのですが、そのときはスタパから「かに座」を見るのには少し時期が悪く、昨日再チャレンジをいただいたわけです。はじめは「かに座が見たい」なんて変なお客様だなと思っていたのですが、事情を聞いて、そういうことならと今回は予行練習や事前に写真を撮影したりして万全の準備をして当日を迎えたわけです。
幸いに天候も最高の条件で、周囲の星の並びから「間違いなくこの星がIさんの星です」と自信を持って言える状態でご覧いただくことができました。星になったご主人(お父様)との対面と、名前を付けた星が本当に実在したことで、とても喜んでいただくことができました。
私自身とても嬉しくて、撮影した写真は全くプレゼントのつもりで差し上げたつもりだったのですが、お礼と言って過分なお金を頂戴してしまって却って恐縮してしまいました。この辺がさらりとご辞退できるような修行を積まないといけませんね・・・
ちなみにもうお解かりと思いますが、今日の写真はこのIさんに差し上げた写真です。

星に名前をつけることに興味のある方はニュージーランドのスタードーム天文台、日本ではしょさんべつ天文台でもやっているようですので調べてみてはいかがでしょうか?

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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