低倍率用接眼レンズについて考える その2

今日は終日雨でした

雨でも昨日の続き

上の望遠鏡(ビクセンFL90S(D90mm/f810mm))に以下の接眼レンズ(右から)
・ビクセン NPL 40mm (40°) 20倍 (2.0°)
・ビクセン NPL 30mm (50°) 27倍(1.85°)
・笠井   EL 27mm (53°) 30倍(1.76°)
・笠井   WL 24mm (68°) 34倍(2.01°)
を装着して見え方比較です(上記再右端の括弧内度数は計算上の実視界です)

不思議なことに見かけ視界40°の40mmで20倍と68°の24mm34倍の実視界が計算上は同じです

コリメート撮影で視野内を撮影上と同じ順番で並べたのがこちら

雨が降っているし風が強く霧も出ているので写りがメタメタですが写っている範囲を比較していただければと思いますが、何だかんだ一番倍率の高いWL24mmが最も広視界であることが分かります

より広い範囲を一度に観察するために単純に倍率を下げれば良いと言う訳ではなく接眼レンズの見かけ視界の仕様も考慮に入れなければいけないことが理解できると思います

実は31.7mm径の接眼レンズの中では笠井トレーディングのWL24mmが最も広い実視界の得られると売られていたのですが絶版になってしまい、他のメーカーでもこの仕様のレンズが扱われなくなってしまいとても残念に思っています

最近は超広視界(90°以上)の異常に販売価格の高いものがもて囃されているのですが、それでも31.7mm縛りの中ではこのWL24mmが実視界では最大なだけによけいですね

今回比較に使用した接眼レンズは比較的安価でいずれもとても覗きやすいものです

覗きやすいというのは感覚的に分かりにくいのですが、超広視界タイプの多くは眼の位置がとてもシビアで、少しでも接眼レンズが要求する瞳の位置から眼が少しでもずれると
ブラックアウト(全く見えなくなる)したり
ビーンズエフェクト(豆のかたちに視野内にくらい部分)が出たり
アイレリーフが短い(メガネを掛けたまま覗けない)など
使う人を接眼レンズが選んでいるような印象のものが多いです(それを克服したものはとてもとてもお高かったりして・・)

さて話をもどして・・

スタパがお奨めする(常用する)低倍率用接眼レンズは何だかんだといっても笠井のWL24mmです

実視界が最大なうえに倍率が高く迫力があって、倍率が高いぶんバックが暗く締まり微光星が見やすくなるからです

現状入手可能な製品としてはビクセンのNPL30mmがお奨めです

NPL40mmよりもほんの少し実視界が狭くなってしまいますが、40mmの40°という見かけ視界はとても狭苦しく感じますし、40mmだと倍率が低すぎてバックが明るくて星が締まった感じがしないためです

どこかWL24mmのようなレンズを作ってくれないですかね・・・

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低倍率用接眼レンズについて考える

今日は日中少しだけ雲の切れ目に青空が見えていたのですが夜は雨でした

詳しくない方の多くは望遠鏡は倍率が高いほど偉いと勘違いしている人が多いのですが、実は星を見るときにはできるだけ低い倍率にしたほうが広い範囲を観察することができるので都合の良い場合が多いです

広い視界を得るためにはできるだけ低い倍率にすることと見かけ視界の広い接眼レンズを使用する必要があります
(見かけ視界とは接眼レンズを覗いた時に見える視野円の見張り角をいいます)

望遠鏡の倍率は
(望遠鏡本体の焦点距離)÷(接眼レンズの焦点距離)=(倍率)
で簡単に求めることができます

次に望遠鏡を覗いて実際に視野内に見える範囲のことを実視界といいますが、簡易的に
(接眼レンズの見かけ視界)÷(倍率)=(実視界)
という計算式で求めることができます

小型望遠鏡の多くは使用する接眼レンズがアメリカンサイズと呼ばれるさし込みスリーブの系が31.7mmのタイプになっています

スタパにある31.7mm規格の低倍率用接眼レンズを並べてみました

右から(メーカー、種別、焦点距離、()内度数は見かけ視界)
・ビクセン NPL 40mm (40°)
・ビクセン NPL 30mm (50°)
・笠井   EF   27mm (53°)  (絶版品)
・笠井   WV  24mm (68°) (絶版品)

不思議に思えるかも知れないのですが焦点距離が長くなるほど見かけ視界が小さくなります

少しややこしいのですが、望遠鏡の原理上接眼レンズのスリーブ径で最大実視界が決まってしまうという法則があります

原理上焦点距離40mmの接眼レンズでは見かけ視界が40°、24mmでは68°以上のものを作ることができないのです

それ以上の実視界を得たければ接眼レンズのスリーブ径を大きくする以外にないのです
(なので今日では2インチサイズと呼ばれるスリーブ径50.8mmの規格が採用される望遠鏡が増えてきましたが、どちらかと言うとマニア向けの望遠鏡になりますね・・)

少し話がそれましたが、それでは上の写真接眼レンズを実際に望遠鏡に装着したらどうなるのか実際に比較して行きたいと思います

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100円ショップのくずかご

今日は日中少しだけ青空が見えましたが、夜は曇り・・・

ところで100円ショップに行くたびに感じるのですが、樹脂製のバケツやくずかごなどある程度の太さの筒状のものを見るたびに望遠鏡の部品に見えてしまう

特に光を通さないものや黒いものには強く反応しがち

家の整理をしていたら以前購入したまま使われずにいたこんなものが出てきた

普段使っていないし棄てようかとも思ったのですが、ほとんど光を通さない材質なのでちょっと工作を・・

黒いフェルトをそこの部分に張り込むと簡易的なダーク補正影用画像(CMOSカメラで撮影するときに必要になる)のカバーにすることにしました

そこの部分にフェルトを貼り付けます(結構いい加減ですが、いい加減くらいが却って迷光防止になります)

わざと黒フェルトが光るように写していますが実際はかなり暗いです

でもってこれを蓋をした状態の鏡筒の先端に被せます

口径12.5cm~7cmクラス(上が12.cmのシュミカセC5、下が8cm屈折) の鏡筒に対応可能です

望遠鏡純正の蓋だけだと完全に遮光できず正しいダーク画像が撮れない場合があるのですが、これをポンと被せるだけで(よほど周りが明るくない限りは)気軽にダーク補正用画像の撮影が始められます

最近は100円ショップに行ってもこの手の商品の売り場にできるだけ近づかないようにしているのですがね・・・

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寒くなってきた

今日も一日雨模様の天候

霧に包まれて幻想的でしたが・・・・

上は9月30日~10月1日にかけて撮影した比較明合成の星空軌跡です

グズついた天候のせいもあるのですが今夜は冷え込んで室内でも上着が欲しい気温になっています

スタパでは例年10月10日前後には暖房が欲しくなるので例年並みといえるのですが、今年は暖かかったので少し油断していました

寝具や洋服など少しずつ冬モードの防寒対策を始めたいと思います

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10月の星空観察会

今日は終日雨模様の一日

さて10月に入り季節も星空もすっかり秋の雰囲気になってきました

スタパは西側に森が迫っているのでわりと早い時刻に夏の大三角が観察できなくなってしまいます

次に目立つのが今年限定「秋の大三角」になる土星・フォーマルハウト・ディフダの3星です

もちろん土星は一番の見物ですが、この近くにはM15とM2という2つの球状星団があります

北側のカシオペヤ方向にはET星団とも呼ばれるNGC457やペルセウス座の二重星団などの散開星団がたくさんあります

この時期はプレアデス星団M45やアンドロメダ銀河M31も見頃になってきました

眼視では厳しいのですが惑星状星雲の中で最大のNGC7293(通称「神の眼」ととも呼ばれています)やアンドロメダ座のエッジオン銀河NGC891も電視観望なら見ることができます

眼視では目を引く星が少ない秋の夜空ですが、望遠鏡での観察会では様々な天体を観察できて楽しいです

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秋から冬のクルクル

今日は曇りのち雨

スタパ周辺はすっかり秋で、夜になって長時間外で星を見るのにはダウンジャケットが欲しくなる季節になりました

星座のほうも宵の口は秋の星座がメインですが、深夜を過ぎると冬の星座が顔を揃えるようになります

上の2枚はスタパから見た北天の星空ですが天の川の傾きが大きく変わっているのがわかると思います

この変化の様子を動画にしたのがこちら

北極星を中心に星たちの巡りが分かります

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豪華な冬の大六角形

今日は曇りときどき晴れ、夜は深夜近くまでまあまあの天候でした

さて一昨晩から3日続きの好天、とてもありがたいです

ここのところおかみが星が玉ボケする写真を撮りたいといっていたので、私も少し練習してみました

ウーン・・・なかなか難しいですね

話は全く変わります、先日も少し触れたのですが、今年の冬の星座たちの中には木星と火星があってとてもにぎやかです

その話は9月のはじめ頃にしたのにその後全然天候に恵まれずようやく一昨日写真を撮ることができました

ベテルギウス・シリウス・プロキオン・ポルックス・カペラ・アルデバラン・リゲルという7個の1等星と、(ベテルギウス以外で作られる)冬のダイヤモンドと呼ばれる大きな六角形の中にひときわ明るい木星と、ベテルギウスやアルデバランと赤さを競うような火星がいます

この先本格的な冬が来る頃には火星がふたご座からどんどん移動してかに座移動して六角形から出てしまうのですが、それでも1月には2年2ヶ月ぶりに衝を迎えシリウス並みの明るさになるのでにぎやかな感じは変わらないと思います

今回は小接近なのであまり大きくならず木星の3分の1くらいまでしか大きくなりませんが南中高度が高くわりとシーイングが良いので以外に楽しめるのではないかと思っています

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久々に満天の星

今日、日中はやや雲の多い天候でしたが、夜は昨日に続きほぼ快晴となりました

昨晩は22時過ぎから快晴となったため久々にたっぷり星空を楽しみました

夏の大三角を見送ったあとわりとシーイングが良かったので惑星を撮影しました

来年3月の輪の消失に向け薄ーい輪の土星です

そしてこれからシーズンを迎える木星

火星は来年1月の小接近に向けて少しずつ大きくはなっていますが、木星や土星に比べると驚くほど小さいです

しかも一番模様がハッキリしない側(シレーンの海あたり)が見えていて、北極冠(画像下側)もかなり小さいので何だかよく分からない画像です(見る人が見れば納得の写りなのだとは思いますが・・・)

というわけで昨晩は久々に星空を堪能できました

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期待外れな紫金山アトラス彗星

今日もスタパ周辺は曇り空でしたが22時過ぎて晴れてくれました

この秋は世紀の大彗星が見られるかもと話題だった「紫金山・アトラス彗星」

どうも当初の予想より5等級くらい暗い(=1/100の明るさの)ようです

公開天文台協会の年次大会の講演会で国立天文台の渡辺先生があまり明るくならなそうだと予想されていたのですが「やっぱり~」といった感じです

ネットなどで「世紀の大彗星を捉えた」などの見出で彗星らしい写真を見かけるのですが、明け方の東天低空に見えたのをかなりしっかりした機材で撮影して、それなりの画像処理をしたものがアップされているようで、肉眼でみつけることさえ難しかったようです

10月10日前後には日没後、西の地平線近くに見える位置関係になりますが、明け方のときよりも少し暗くなるので望遠鏡などを使っても肉眼で見つけるのはかなり苦しいのではないかと思います

今のところ夕空にある頃の明るさ予測は4等星前後ですが、彗星の明るさは尻尾の部分を含めた面積をギュッと一点に集めたときの明るさで表現されるので、眼で見たときは表示される等級より1~2等級暗く感じます

ちなみに星雲星団も同様の明るさ表示がされます

天体により集光のしかたが異なるのであまり参考にならないのですが、アンドロメダ銀河が3.5等級、オリオン大星雲が4.0等級です

下は今年の春に見えたポンブルック彗星、4.8等級の予想光度でした
(薄明が終わりかけだったので強力な双眼鏡で何とか存在は見えましたが・・)

このクラスの天体が薄明ある低空にいると考えるとかなり絶望的な見え方になることが予想できます

というわけでこの先マスコミやネットで騒いでも「世紀の大彗星」をあまり期待しない方が良さそうです

曇り続きのスタパでぜんぜん観測ができなかったからって拗ねているわけじゃあないんだからね!

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LEDポインターを改造する

今日もすっきりしない天候の一日

実天での星見が全然できないのでいい加減ネタ切れ気味です・・・

というわけで(?)今日は商売道具であるLEDポインターの改造ばなし

実際の空で星座の解説をするときに「あの星が・・」と指さしてもなかなか分かってもらえません

上級の星空案内人の中には手尺(手を伸ばしたときのゲンコツの巾や手のひらの大きさ)で星の離角を説明しながら星座を解説できる方がいるのですが、ゲストの数が多かったり集中力が続かない状況では指向性の強いライトで指し示した方が手っ取り早いことが多いです

一時は高出力のレーザーポインターが使われることが多かったのですが昨今では規制が厳しくなっているので使用が推奨されません

スタパでは以前から指向性の強いLEDライト(こちらのフレネルレンズタイプのような)を使用したり、乗用車のプロジェクター式ヘッドライト用レンズを用いて改造品(下)を作って対応しています

通常のレンズ式のLEDライトでもわりと明るいものがあって何とかポインターとして使えるもののあるのですが、今ひとつ照射角が細くない傾向が強いです(こちら)

この辺を弄くり回しているうちに、これに上の改造品のレンズを付け替えたら良いかも・・と思い付きました

と言うことで早速レンズを取り外し

ヘッドライト用レンズの移植

少しスペーサーを追加してシンデレラフィット!

フレネルレンズタイプよりもさらに狭角になり、明るさも遜色ないです

分厚いレンズと金属製のレンズセルを使用しているのでズッシリ重いのが難点ですが
長時間の星座解説であればそれほど負担ではなさそうです

手持ちの星座解説解説用LEDポインターとしては最高性能と言えます

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