買ってはいけない望遠鏡の見本として、そのままにしておこうかとも思ったのですが、長年の習性で、見え具合の悪い望遠鏡は何とか見えるように直さないと気持ちが悪くてしようがありません。
対物レンズの仕様が口径50mm、焦点距離420mmとスタパで扱っている35倍手作り望遠鏡と同じであることに思い当たり、対物レンズを入換えてしまうことにしました。
純正のレンズにはレンズと抱き合わせるように絞り環が入っていて、口径50mmと表示しているにもかかわらず、有効径は35mmといったところです。(はっきり言ってこの時点で詐欺です。少しでも光学の知識のある人なら、シングルレンズで絞りを入れているのにレンズの直径をそのまま書いたり恥ずかしくてできません。)
抱き合わせた絞りとレンズの厚みが手作り望遠鏡のアクロマートレンズとほぼ同じなため、そのまま入換えることが出来ました。
そのままですと鏡筒内にあるもう一つの(遮光)絞り環でレンズ径が無駄になるため絞り環を作り直してはめ込みました。
また、ドロチューブ(合焦筒)の長さが長く、口径がけられるため少し切り詰めました。
さらに、白く霞んだ見え方をしていた最大の原因であると考えられたドロチューブ内の内面反射を抑えるため、ドロチューブ内に黒い植毛紙を貼り付けました。
直接張るとうまく貼れないことが多いので、こしのある紙(絵葉書)に植毛紙を貼ってから筒状に丸めてドロチューブ内に固定してあります。
結果はご覧のとおり。(写真左半分が改善前、右が改善後です)
明るい方向に向けると強烈に光り輝いていた鏡筒内の内面反射がほとんどなくなっているのがお分かりと思います。また、有効径が1.5倍程度に大きくなっているのがお分かりいただけると思います。
これまでこの望遠鏡の悪口ばかり言っていたのですが、良いところもありました。ここまでして光学系を改善したのは、光学系の酷さのわりに架台や三脚のできがこのクラスの物としては良く、使えない望遠鏡のままではもったいないと思からです。
望遠鏡の場合、機械系(架台や三脚)と光学系は車の両輪のようなものだと良くいわれます。このバランスが良くないと使えない望遠鏡になってしまうからです。
ナSiカM100はこの改造によってお手軽望遠鏡として100倍くらいまでの倍率で充分に使えるものに生まれ変わりました。