買ってもOKな望遠鏡「RAPTOR50」 -その5-

ラプトル50のインプレの続きです。今日は架台とファインダー編です。

 ラプトル50の組立てた状態での総重量わずか1.5kgです。1.5kgの望遠鏡というのは、大きくて、長くて、重いのに慣れた者にとっては恐ろしく快適です。先日「ギックリ腰」をやってしまった私にとっても何の心配も無く持ち運ぶことのできるものです。

小学校の低学年のお子さん1人でも容易に持ち運ぶことが出来ます。
その分、風の影響やピント調整時や位置調整時に触った時のブレなどが小さいとはいえませんが、わりと短時間でブレはおさまります。

上下、水平のクランプを適度に締め、軽く動いてピタリと止まるよう調整して使うフリーストップ式の架台は、たいへん使い良いものに仕上がっています。
動き出しもスムーズだし、キックバック(止めたところから跳ね返る)のような動きも小さく抑えられています。安物のカメラ三脚には動き出しが硬くて、動き出すとスッと動いてしまう「キシキシ」した感じのものがあるのですが、この架台は見たいところにスーッと向けることが可能ですし、付属アイピースの最大倍率(=75倍)くらいまでの倍率では星の動きに合わせて少しずつ追従させる作業もそれほど難しくありません。
「スコープタウン」では謙遜して簡易経緯台という表現をしていますが、これを簡易型というなら世の中の微動のついていない経緯台はすべて簡易型になるのかしら?と思ってしまいます。

欲を言うと切りがないのですが、ラプトル50の場合、鏡筒の光学性能が飛びぬけて良く、つい100倍以上の倍率が出したくなります。
回転軸以外オール樹脂の架台ですので良く出来ているとは言っても、100倍を超えると架台のキックバックやブレの影響が急速に気になってきて、天体を追尾したり、じっくり見たりするのが難しくなってしまいます。
150倍では視野角の半分くらいのキックバックがありますので天体の動きを追尾するだけでも(コツをつかまないと)すぐに見失ってしまいます。
三脚、架台などの全体的な強度不足で100倍以上ではそよ風でもブレが出てしまいます。
もちろん過剰倍率で商品としての想定外の問題ですので、良い子はまねをしてはいけないのですが、光学性能が良過ぎるための贅沢な弊害といえます。
ちょっとたとえが悪いのですが、軽自動車にスポーツカーのエンジンを載せてしまったようなもので、エンジンの性能に足回りやボディ剛性がついて行かないといった感じがします。
でもそのぶんマニアックな人間から見ると、いじりがいがあって楽しめるともいえます。実は私もどういう改造をしようかワクワクしています。ただ、入門向け望遠鏡の良い例ということで純正のままの形を残さなければいけないので、チューンナップようにもう一台買おうかしらなどと考えています・・・・

 架台周りで不満な点はアクセサリーを置くトレイが無いことです。

通常、望遠鏡の三脚は開き止めと補強の意味から三脚の中間に三角板と呼ばれるアクセサリートレイを持っているものが多いのですが、ラプトルの場合デザイン上の配慮かコスト削減のためかは不明ですがこの三角板が省略されています。
油断をすると三脚の開きが充分でなく、不安定になっていたりすることもあるので注意が必要ですが、それよりも使っていないアイピースや天頂ミラーやレンズキャップを手に持ったり、ポケットに入れたりしないといけないというのはどうも気に入りません。
ポケットの中に入れるとアイピースなどが埃だらけになりそうな気がして嫌ですし、ずっと手に持っていなければならないというのも疲れます。
私の場合、100円ショップの樹脂ケースを紐でぶら下げてアクセサリートレイとして使うことにしました。これですと使わないアクセサリーはフタをして埃も防げます。

 星の導入にはこの望遠鏡の特徴でもある天体導入用の簡易式照準を使います。

ちょっと慣れが必要ですが、慣れてしまえば30倍でも一発で視野に導入することが可能です。
先日も紹介しましたが、望遠鏡初心者のスタパおかみでさえすぐに月や火星を導入することができるようになりましたのでそれほど難しいものでないことはお判りと思います。
コツは手前側の照準の穴にできるだけ眼を近づけることです。この状態で筒先側の照準の穴に対象の天体を入れれば、ほぼ間違いなく30倍の視野に天体を捉えることが出来ます。
どこかのメーカーの1等星もろくに見えないスポットファインダーより遥かにましですし、粗悪望遠鏡についている調整の難しいファインダーよりずっと直感的で使いやすいです。
何より調整が不要なのは初心者には特にありがたいのではないでしょうか?
望遠鏡を組立てるごとに、ファインダーの調整しなおしが必要であったり、簡単にファインダーがずれてしまうようなものだったりすると、ファインダーそのものをうまく使いこなせずに、天体の導入がすごく難しく感じたり、億劫になったりします。
多くの初心者がファインダーをうまく使いこなせないために、(天体の導入がうまく出来ないために)望遠鏡そのものを使いこなせずに押入れ行きになっていることを考えると、非常に賢い機能なのではないかと思います。
拍子抜けするほど簡単な装置(装置といって良いのか?)で、格好が良いとは言いにくいのですが、フィールドスコープなどはデザイン的な処理で格好良く作っている例もありますので、他の高価な望遠鏡も見習うべきだと思います。
何万円もする鏡筒なのに「ファインダーはオプションです。はいッ!あとプラス1万円ね!」って、「高いんだからとりあえずオプションなしで使えるようにしてよ~」と思うのは私だけなのでしょうか?
それにファインダーの調整にしたって対象を先に主鏡の中心に持ってこなければ調整できないのですが、ファインダーが大きくずれている場合には初めに対象を導入するのも意外に苦労することが多いです。鏡筒側にラフな照準があればこの苦労はなくなると思うのですが・・・

話がそれてしまいました・・・
今日のところはこれまで!

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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