月光浴の科学(サイエンス) -その5-

秋色が深まる話を毎日のようにしていますが、この時期、森の中では「ハッ!」と
するほどの原色に出会うことがあります。

 

これはマムシ草の実です。
真っ赤の色がデジカメに写し取れないのがもどかしく感じるほどの赤でした・・・

さて、「月光科学」の続きです。

太陽は夏に高く昇り、冬には低い位置までしか昇りませんが、
満月は夏と冬、どちらが高く昇るのでしょうか?

という昨日の宿題、わかりましたか?

今日はこれについて詳しく説明します。

答えを先に言ってしまいますが、

満月は太陽と逆で、冬に高く昇り、夏は低くしか昇りません。

下の図を見て下さい。(この図はステラナビゲータV8を用いて作成しました。
月の地上高度を示すためのもので星の位置はデタラメになっている部分があります。)

 

今年の夏至に最も近い満月(6/9)と、冬至に最も近い満月(12/31)の南中時の
高さ(地平線からの角度)を示しています。
図中赤い線は「天の赤道」、黄色い線は「黄道(こうどう)」(天球上の太陽の通り道)を示します。

6/9の南中高度は27°で天頂離隔(天頂からの角度)は63°、
12/31の南中高度は78°で天頂離隔(天頂からの角度)は12°
くらいになっています。

じっくり考えれば分かると思いますが、満月というのは地球を挟んで太陽と
月が180°の角度になったときですから、季節も180°離れたものになるという
わけなのですが・・・

もう少し詳しく図で説明します。

 

この図は概念図です。各天体の大きさや距離のスケールはまちまちです。

ご存じのように地球の地軸は太陽を公転する軌道面に対し23.5°ほど
傾いています。

このおかげで太陽を一周する間に、太陽の南中高度が高くなったり、
低くなったりするため四季があるというのは、おわかりと思います。

それでは月はといいますと・・・

月は地球をまわりながら、太陽から一番離れたところでほぼ満月になります。

図には夏至の頃と冬至の頃の地球と満月を位置関係を表示しています。

図を見れば明らかなように日本から見ると、冬至の頃の満月は天頂に近く、
夏至の頃の満月は天頂から遠く、地上高度が低いというわけです。

満月の高さのからくり、ご理解頂けたでしょうか?

それではなぜ月光浴が冬に向いているのか・・・

この続きは次回をお楽しみに・・・

補足説明
厳密には月の公転軌道は地球の公転軌道面に対し約5
°ほど傾いています。
さらにややこしいことに、この5°の傾きは変わらないのですが、傾きの
ピークの位置が18年周期で移動して行きます。
このため、年によっては夏至の太陽の高さよりも、さらに高い高度になったり
低い高度の年があったりします。
(同じ理由で、冬至の太陽より低い満月の年もあります。)
ここでは話を簡略化するため地球と月の軌道面を同一平面上にあるとして
説明しました。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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月光浴の科学(サイエンス) -その5- への2件のフィードバック

  1. すずき のコメント:

    月の高度の話、今まで全く知りませんでした。もともと理系で、多少なりとも星を見ることを趣味としているのに、目からうろこです。確かに、説明を聞けば当たり前なのですが、今まで気がつかなかったし、知識としても知らなかったです。このようなネタ、すごく楽しいです。

  2. スタパオーナー のコメント:

    すずき さま
    いつもながら応援コメントありがとうございます。m(_ _)m
    あまり難解すぎて引いているかたが多いのではないかと心配しておりましたが
    嬉しい限りのコメントです。
    「な~るほど、そういやそうだよね!」みたいに軽く読んでいただければ
    ありがたいですね~[E:happy02]

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