月光浴の科学(サイエンス) -その12-

スタパの前の畑ではいよいよ白菜の収穫が始まりました。

 

途中、台風や日照りであまり出来が良くないような気もしますが、清々と
箱詰めして運ばれて行きます。

さて、少し間があきましたが「月光科学」続きです。

今日のテーマは「月光写真を撮ろう!」です。

満月の灯りだけで写真を撮るということはどういうことか?というところを
「月光科学」的に掘り下げてみたいと思います。

 

満月の明るさというのは、以前にも書きましたが、直射日光の約40万分の1
の明るさです。

つまり単純に考えて、昼間写真を撮るときの設定の40万倍の光を受光素子や
フィルム(以下受光素子)に与えてやればよいことになります。

最近では何でもカメラ任せで、ただシャッターを押すだけできれいに撮れて
しまうのですが、受光素子に適切な光を与えるためにカメラ側で3つの設定
要素を自動的に調整しています。

3つの設定要素とは次のとおりです。

1.シャッタースピード
受光素子に光をあてる時間です。昼間の屋外では1/250秒とか
1/125秒が使われ、室内では1/30秒以下になることが多いです。
ちなみに1秒の露光時間は当然ですが1/1000秒の1000倍の露光量になります。

2.絞り値
レンズの面積(口径)を変えて露光量を調節する方法です。
口径が半分になれば面積が1/4になるので、露光量も1/4になります。
例えばF値2が4になれば、露光量が1/4になるわけです。
いきなり1/4になると露光量を調整しにくいので1/2ずつ変化するように
F値の段階が決められています。

F=1 , 1.4 , 2 , 2.8 , 4 , 5.6 , 8 , 11 , 16 , 22 , 32

通常は16か22までの調節ができるようになっています。

3.ISO(アイソ)感度
フィルム時代はフィルムで感度が決まりましたが、デジカメではカメラの
設定でISO感度が調整できます。
基本はISO100ですが、最近では高感度が売り物のカメラも多くISO6400以上が
選べるカメラも出ています。
ただ、感度を高く設定すると得られた画像がざらついたものになりがちです。
カメラ個々の性能にも差がありますがISO400~800くらいで使うのが無難です。

前置きが長くなりましたが、昼間の40万倍の露光量にするには、
この3つの設定値を大きくして受光素子にたくさんの光が当たるように
してやればよいことになります。

昼間の適正露光量は1/250秒、F16、ISO100というのが標準的です。
(真夏の浜辺などの設定値)

仮にシャッタースピードを1秒、絞りをF2.8、ISO800にすると、

250倍×16倍×8倍=32000倍

となり40万倍にはまだ足りませんが、シャッタースピードを12秒くらい
まで延ばせば適正露光になります。

ただ、この適正露光というのがちょっとクセ者。

 

適正露光で月光写真を撮ると昼間の写真と見分けが付かなくなって、
臨場感も何もなくなってしまいます。(バックに星は写りますが・・・)

具体的にどのように撮るか、次回に続きます。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
カテゴリー: 天体写真, 天文関係, 月・惑星 パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください