月光浴の科学(サイエンス) -その13-

紅葉が進むスタパ周辺ですが、白菜の収穫が急ピッチです。

 

さて、今日は「月光写真」の続きです。

満月の夜に昼間のような写真を撮るためには・・・

シャッタースピード12秒、絞りF2.8、感度ISO800という設定で
写せばよいというお話をしました。

ちなみにこれは一つの目安で、露光量が同じであれば良いので、
シャッタースピードを倍の24秒にして、絞りを一段絞りF4にするとか
感度設定を高くして、他の設定を下げるとかは使う機材の制約とか、
その場の判断でどう変えてもかまいません。

とりあえず満月の夜に昼間のような写真を撮るための設定だということです。

ただ、この「昼間のような」というのがクセ者で、夜なのに昼間のような
写真というのは実はかえって少し不自然なものになったしまいます。

むしろ少し露出アンダー気味のほうが、雰囲気のある写真になります。

 

デジカメであれば写しながら自分のイメージに合う露光量を見つけてゆけば
良いのでだれでもわりと簡単にこのような写真が撮れてしまいます。

月の明るさというのは(以前にも書きましたが)、満月の前後2日くらいは
たいへん明るいのですが、それ以上離れると急速に暗くなってゆきます。

きれいな月光写真が撮りたければ満月をはさんだ前後2日が狙い目です。

上記で「誰でも簡単に」と書きましたが、それなりにコツというか最低限
必要なテクニックがいくつかありますので、紹介しておきます。

 

まず、絶対に必要なのが三脚です。

これがないとブレブレの写真になって、あとから「UFOが写った!」とか
「霊が現れた!」などと騒ぎになりかねませんので、10秒とか20秒の間
シャッターを開いたままでもカメラがぶれないようなしっかりした三脚を
準備して下さい。

次に必須ではないですが、リモコンまたはレリーズスイッチがあると
ベターです。

いくら三脚に載せても普通にシャッターを押すとどうしてもブレます。

ブレないようにセルフタイマーを使う手もありますが、思った瞬間に
シャッターが切れるリモコンやレリーズがGoodです。

あとはカメラ側の要件ですが・・・

月灯りでは、一眼レフタイプならファインダーでかろうじて写る範囲を
見ることができますが、液晶ファインダーは何もファインダーに映らず
全く役に立たないことが多いです。

また、一眼レフでもオートフォーカスが効かなくなります。

マニュアルフォーカスで無限に合わせるか、遠景モードにしてだいたい
ピントが合うようにします。

それでもなぜか露光量だけはカメラ側が自動で決めたがります。

ここでカメラ任せにすると、昼間のように写ってしまうので、露光も
マニュアルにするか、試し撮りをしてアンダーに補正するなどの調整が
必要になります。

 

ここまでわかれば、あとは月夜の晩にデジカメを持って外に出るだけ。
素敵な月光写真を撮って頂ければと思います。

本当のところ月光写真というのはもの凄く奥の深い写真のジャンルだと
思っています。

月齢による月の明るさ、高さ、雲の動きなど、昼間の写真以上にシャッター
チャンスが限られていて、ちょうど良い月齢の時に紅葉や桜の時期とずれて
いたりなど、本当に同じ情景の写真は二度と撮れないかも知れないと
思うことが多いです。

そういった意味で高い機材さえあれば、わりと誰にでも写せてしまう
(誰が写してもそれほど差のない)星雲星団などの天体写真よりも遙かに
スリリングで、感性や粘り強さの有無が写真のできに差が出る分野です。

たくさんのかたが月明かりをうまく使った写真に挑戦してくれると嬉しいです。

永らく「月光科学」シリーズを連載してきましたが、ほぼネタ切れ、今回が最後です。

また、ネタが出た来たときには特別編として書くかも知れませんが、
その時はよろしくお願いします。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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月光浴の科学(サイエンス) -その13- への2件のフィードバック

  1. 初心者 のコメント:

    こんにちわ。いつも楽しく読ませて頂いております。
    一昨日、ついにラプトル50で月と木星を観ることが出来ました!
    8月の宿泊の際に望遠鏡を購入後、子供達が風邪やら喘息やらで落ち着かず、箱のままがリビングに鎮座する状態が続いておりました。申し訳ありません。
    夕方、ちょこっと外出したら薄暗い空に月が…その少し下にもかなり光る星が…。夕食もそこそこに、興味津々の子供達を尻目にラプトルを組み立て、窓の外へ向けると雲の間にしっかり目標を発見。月の表面のでこぼこに「おおーっ!」、木星の脇に並ぶ衛星が「4個ー!」。ご近所迷惑も顧みず、大騒ぎでした。
    我が家は甲州街道や首都高が近くて、空気が思い切り悪い場所です。台風の後で雲も早く動く中、月も木星も強く輝き、とても存在感がありました。この日が偶然にも両者が並ぶ日だったと後で知り、観ることができて良かったと素直に喜びました。普段は図鑑の写真でしか知らない子供達も、実際に観る星に感動したようです。オーナーの望遠鏡はもっとすごいよーと話したら、またそちらへ行きたくなりました。
    機械好きな息子は今のところ、望遠鏡本体に関心があるようです。こんなものでしょうか。主人はカメラで撮りたいらしく、こっそり部品をさがしているようです。オーナーの解説を読ませ、勉強してもらいます。
    そういえば、娘がペンションの食事がおいしかったと思い出して話してくれました。奥様によろしくお伝え下さい。
    昨夜(快晴でした)も活躍したラプトルは、今日も子供部屋で南を向いて立ってます。

  2. スタパオーナー のコメント:

    初心者さま
    ラプトル50のファーストライトが無事完了しましたようでおめでとうございます。[E:scissors]
    初めからしっかり使いこなしていただけたようで何よりです。
    いくら初心者向け望遠鏡といっても、基本的な使い方は上級向けのものと変わりません。
    とにかくいろいろな状況で使いたおしてみてください。
    自在に使いこなせる頃には上級者向け望遠鏡を買っても充分使えるようになっているはずです。
    あっ、その前にラプトルで飽き足らなくなったら、またこちらにもお出かけくださいね![E:happy02]

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