春の星雲星団 -その1-

新緑が美しい季節です。

 

毎日同じ景色を見ているのに、ちょっとした光線の加減で見とれてしまう
ほどの景色に出会える季節でもあります・・・

さて「春の星雲星団」といっても初夏に近づいていて、少し時機を失した感が
ありますが、今を逃すと来年まで塩漬けにしなければならない話題ですので、
数回ですがお付き合い下さい。(汗!)

春の時期というのは私たちの銀河系そのものである「天の川」が地平線上に
横たわっていて、ほとんど見ることができません。

天の川が見えないということは、私たちの銀河系の外側の天体を観察するには
良い季節であるあるとポジティブに考えることもできます。

私たちの銀河系は太陽のような恒星が2000億個集まった星の大集団だと
考えられているのですが、銀河系の外には銀河系のような星の集団が、
これまた星の数ほどあるのです。

こういった私たちの天の川銀河の外にある銀河系を「系外銀河」と呼んで、
私たちの銀河系と区別をしています。

春に見える系外銀河は私たちにわりと近いものでも1千万光年レベルのもので
たいへん暗いものが多いです。

スタパの40cm望遠鏡で見ても、空のコンディションがとても良いときでさえ、
まともに見えない事が多いです。

 

上は北斗七星のひしゃくの柄の先にあるM51(子持ち銀河)です。

2100万光年のところにあり、わりと近くてハッキリ見えるほうですが、慣れて
いないと渦を巻いている様子がわからない人が多いです。

派手に渦を巻いている銀河もたくさんあるのですが、40cm望遠鏡で見ても
ほとんど中心部分だけしか見えず面白くないことが多いです。

 

上はしし座の鼻先にあるかなりマイナーな天体NGC2903という銀河です。

棒渦巻き形銀河に分類される銀河ですが、肉眼では棒の部分までしか見ることが
できません。

最近の研究では私たちの銀河系は外から見ると、この棒渦巻き銀河に近い形を
しているらしいということがわかってきました。

そういう眼で見るとちょっと興味深いです。

系外銀河を望遠鏡で見るとき、渦巻きを上から見る形のものより、真横から
見るような形のもののほうが、写真に近い形に見えてガッカリすることが
少ないです。

 

上はかみのけ座にあるNGC4565という銀河です。

40cm望遠鏡では肉眼でも銀河の上下を分ける暗黒帯の存在がわかります。

肉眼ではどう頑張っても写真よりよく見えるということはないのですが、
何千万光年を旅してきた光が、リアルタイムに自分の眼に飛び込んできて
いるのだということに感動できるかどうかが、人により意見の分かれる
ところですネ・・

今回紹介する一連の天体写真は原則としてスタパ40cm望遠鏡に、
F3.3レデューサを介してEos KissX2を装着。
ISO1600にて60秒露光×4カットをコンポジットしてあります。
(呪文のようですみませんが、分かるかたが見れば分かる写真データです。)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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春の星雲星団 -その1- への2件のフィードバック

  1. すずき のコメント:

    これらの銀河をスタパの40cmでじっくり見たいと思っているのですが、自分の休みと天気と月齢、スタパの予約状況 などの要素がすべて上手く合う日がなかなか見つかりません。
    一番のネックは最近の天気ですが、このブログを見ると、やはりそちらは晴天率が高いようですね。

  2. スタパオーナー のコメント:

    すずき さま
    いつもありがとうございます。
    会社勤めをしていると、なかなか思うように星が見られなくて、ストレス発散のつもりが却ってストレスになってしまってりしますよね・・・
    まあ、星雲星団というのは逃げません(ほとんど変化がない)ので、気長に取り組んでも良いと思いますが・・・
    今年の5月は異常と言えるほど晴天率が高いです。
    その分(?)気温が低く透明度が高い日も多いです。GWを過ぎても暖房を止めることができない日が続くのも珍しいですネ・・・

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