超々入門 天体望遠鏡光学 倍率について考える - その1 -

スタパの庭のジャーマンアイリスが咲き始めました。

 

スタパの庭に咲く花の中で、一番派手できれいな花なのですが、一番お客様の
少ない時期に咲くので、少し残念ではあります・・・

さて、「超々」シリーズ・・ 今日は倍率について考えるです。

望遠鏡を選ぶときの基準として、いまだに「倍率」を重視する人が圧倒的に
多いのは困ったものです。

高倍率 = 高性能 という素人だましの限りなく詐欺に近い商品を平気で
流通させるというモラルのない業者がいつまでたっても無くならないという
不思議な業界です。

そんなわけで、倍率について正しい認識を持って頂こうというのが、今回の
テーマのひとつでもあります。

まずは倍率の求め方(計算のしかた)です。

 

まともな望遠鏡であれば、鏡筒のどこかに必ず上のような、その望遠鏡の
スペックを示す記載があります。

ここでD=50mm は望遠鏡の有効口径(レンズ自体の大きさではなく実際に光が
通過できる部分の直径)。

F=600mm は対物レンズの焦点距離を表します。

倍率を計算するときに重要なのは、この焦点距離です。

望遠鏡の場合、対物レンズだけでは拡大像を見ることができず、必ず接眼レンズ
(アイピースともいう)と組み合わせて使うのですが、

 

アイピース側にも必ず焦点距離のミリ数表示があります。

で、倍率はというと

倍率 = 望遠鏡の焦点距離 ÷ アイピースの焦点距離

という計算で簡単に求めることができます。

上の2枚の写真は、いつも登場するラプトル50と、その付属アイピース
(一部他の望遠鏡の付属品もありますが)を使っていますが、望遠鏡である限り
上の計算式はラプトル50だろうとすばる望遠鏡だろうと成り立ちます。

(どうしてそんな単純な式で計算できてしまうのかなどは、別の機会に
紹介したいと思っています。)

この計算式がある限り、例えば・・・

 

こんなアイピース(焦点距離2mm)があれば、ラプトル50でも300倍
という高倍率が理論的に(実際にも)出せてしまうということになります。

でも、ここで勘違いしないで頂きたいのは、計算上で高倍率が出せたとしても
ちゃんと見えるかどうかは別問題だということです。

高倍率にすると、どのような弊害が出るのか、次回に詳しく説明したいと
思います。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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