超々入門 天体望遠鏡光学 倍率について考えるパート2の2

雨が降りそうで降らない天候が続きます・・・

森の中は木漏れ日がとてもよい雰囲気です。

さて、「超々」シリーズ、倍率についてです。

今日は倍率は視力によって変わるという話です。

望遠鏡を使い慣れると、人によってピントの位置が微妙に違うことに気付きます。

同じ自分でも、その日の眼のコンディションによっても微妙に変化することが
あるほどです。

なぜこのようなことか起こるのかというと・・・

前回の解説の中で、倍率の計算は

「無限遠の対象を、無限遠を見るように調整された眼で見たとき、
対物レンズの焦点距離 ÷ 接眼レンズの焦点距離 で倍率が計算できる」

という条件がついていました。

このなかで実は「無限遠を見るように調整された眼」というのがかなりの
クセ者で、健常眼(けんじょうがん:ここでは裸眼で無限遠から30cm以下の
近点まで正常にピント調整ができる眼と考えます。)の人でも望遠鏡をのぞく
ときは、少し緊張してもっと近くを見るように眼を調整してしまうことが
分かっていて、これを器械近視と呼んでいます。

さて、今さらという感もありますが、健常眼と近視眼の違いについて
簡単に説明をしておきます。

上図で左は健常眼で、無限遠からの光(平行光線)が網膜上に焦点を結びます。

図の中央は近視眼で、無限遠からの光が、眼球の変形、水晶体(レンズ)の
調整不良などの原因により網膜の手前で焦点を結び、網膜上ではピンぼけの
状態になります。

これを補正するためには、凹レンズ(近視用メガネ)を目の前に置いて、少し
遠いところ(網膜上)に焦点を結ぶようにすればよいわけです。

ここで少し見かたを変えて・・・

近視眼というのは、健常眼の前に凸レンズを置いたのと同じと考えることが
できます。

健常眼の人でも、目の前に凸レンズを置くと、遠くの景色がぼやけ、近くが
やたらとよく見えるようになり、近視の人と同じ見え方を体験できるという
わけです。

少し説明が回りくどくて済みませんが・・・

ここで、健常眼の人と、近視眼(=健常眼+凸レンズ)の人が同じ望遠鏡を
のぞいたときにどのようなことが起こるか・・・

この図で分かるように、眼と望遠鏡全体で光学系を考えると、近視眼では
健常眼に凸レンズの1枚加わった接眼レンズを使っているのと同じことが
起こます。

接眼レンズに別の凸レンズが1枚加われば、接眼レンズの焦点距離は、より
短くなって、ピントは対物レンズよりにズレて、倍率も上がるという現象が
起こるというわけです。

続く・・

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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