超々!入門 望遠鏡光学 ドロチューブについて - その2 -

雨が降ったかと思えば、晴れて日が射したりと天候が不安定です。

 

夜も同じで、どの天気予報を見ても雨なのに、昨日今日とポッカリ30分
くらい晴れてお客様に星(といっても月くらいですが)を見ていただくことが
できたりしています。

さて、ドロチューブの話の続きです。

対物レンズの焦点距離(F値)にもよりますが、ドロチューブがあまり長いと
口径食が生じやすくなり、対物レンズの性能を活かせなくなると言うのが
昨日の結論でした。

今日は実際の望遠鏡の実例をいくつか紹介します。

下の写真は先日レポートしたラプトル60(スコープタウン製、口径60mm、
F11.7)の接眼部です。

 

操出ストロークは130mmと充分な長さがあるため、天頂ミラーを付けても
付けなくても、ほとんどの接眼レンズでピントを合わせることができます。

これだけ長いドロチューブでも、どの位置でも口径食が生じないように
設計されています。

下の写真は口径10cmF5アクロマート(国際光器扱いマゼラン)の接眼部です。

 

50.8mm径の接眼レンズが取り付けられる太いドロチューブですが、操出の
ストロークは60mmほどしかありません。

F値の小さな望遠鏡では操出量を多くすると、とたんに口径食が出やすく
なりますので、この望遠鏡ではストロークを小さくしています。

天頂ミラー(orプリズム)と組み合わせるとピントが合いますが、ミラーなし
ではピントが出ない設計です。

このような設計の望遠鏡でミラーなしで使いたい場合には、下の写真のように

 

望遠鏡と接眼レンズの間に延長チューブという部品を入れる必要があります。

延長チューブ分の長さのドロチューブが鏡筒内に入り込んで口径食を起こす
より、使うときに多少不便でも性能を確保するという設計思想です。

ドロチューブも鏡筒の設計と同様、できるだけ太いものがベターで、必要に
応じてドロチューブ内にも遮光環を設置する必要があります。

また、(特に短焦点の対物レンズでは)できるだけ操出量を小さくして、筒の
長さが不足する分は延長チューブでしのぐというのが正しい考え方のようです。

続く

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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超々!入門 望遠鏡光学 ドロチューブについて - その2 - への2件のフィードバック

  1. EMI のコメント:

    なるほど~~!
    以前GP80SFLを使用していたのですが、それが天頂ミラーか、でなければわざわざ延長チューブを付けるような仕様だったのは、この理由だったのかと納得です!!
    だからホームセンターなどで販売されているF値の短いタイプの望遠鏡では注意が必要になるのですね。
    今レイメイRXA251で星を楽しんでいるのですが、この講座を見て改良の参考にさせていただいています。
    安価なホームセンター望遠鏡でも、手を加えればもっと見えるようになるという情報がきちんと広まれば、星の趣味ももっと一般に広まるのではないでしょうか。
    御多忙な中、大変かとは思いますが、次回も楽しみにしています。

  2. スタパオーナー のコメント:

    EMIさま
    いや~、あまりにもグッドタイミングで次に書こうと思っていた事に突っ込みが入ってビックリです。
    ただ、私としては改造をしなければまともに使えないものを製品として売るのはメーカーとしてどうなの?
    という立場をとりたいと思っています。
    もちろんマニアックな世界に一歩踏み込んで見えない望遠鏡を、よく見えるように改造するのを楽しめるようになる方がたくさんいればよいのですが、現実にはほとんどの方が「よく見えない」と泣き寝入りすると思うからです。
    個人的には見えない望遠鏡があると無意識のうちに改造してしまうという質ですが・・・

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