今日も超入門シリーズ、昨日・一昨日の「赤道儀について」の続きです。
さて前回は赤道儀を使うデメリットとして、
・重い
・構造が複雑
・設置が難しい
という3点について解説しました。
このうち「重い」件に関しては流通する製品からベターな製品を選ぶ(可能なら
自作もあり)しか選択肢がありませんが、他の2点については使う人のやる気の
部分でかなり違ってくると思います。
このやる気の部分については、なぜこのような構造で、このように設置し
なければいけないのかを理解している(or理解できるか)かどうかで、かなり
違いが出るように思います。
意味が分からず「ああしろ、こうしろ」と言われても、納得のできないものは
身につきません。
赤道儀を理解しやすくするためには、宇宙の中にある地球と、その地球の
動きをマクロ的に考えることができるかどうかが重要になります・・・
地球は宇宙に対して23時間56分で一回転します。
(太陽に対しては24時間で1回転です。この4分の差は地球が365日で
太陽の周りを一回転(一公転)しているため24時間のあいだに進む角度が
時間にすると 24h÷365日≒4分 となるためです。)
この回転は地軸と呼ばれる常に同じ方向を向いた回転軸を中心に回転しています。
さてここで宇宙のスケールについて少しお話をしておきます。
地球を照らしている太陽の大きさ(地球の109倍の直径)を仮に直径14cm
(ソフトボールくらい)の大きさにしたとすると、地球の大きさは1.3mm(米粒
よりも小さい!)で、14cmの太陽から15m離れたところを公転するように
なります。
このとき太陽系に一番近い恒星(ケンタウルス座のα星)は約400km離れた
場所にあることになります。
一番近い星でさえこの距離ですから、地球の大きさはもちろん公転軌道の直径
でさえ宇宙のスケールからすれば点みたいな小さなものといえます。
遠くに見える山が、少し走り回ったくらいでは、ほとんど同じ方向に見える
のと同じで、地球の自転や公転では星の絶対的な位置はほとんど変わらない
といって良いほどです。
(自転軸の話に戻ります)
宇宙から見て地球が非常に小さな存在とということは、地球の自転軸と平行に
合わせた回転軸を地球の自転とは逆の方向に、自転と同じスピードで回して
あげれば、この軸上に置かれた物(=望遠鏡)は宇宙に対して常に同じ方向を
向いていることになり、望遠鏡で捉えた星は常に視野内に置くことが可能に
なります。
地球上で自転軸に平行に極軸を設置するということは・・・
写真のように地球上の緯度によって、地面との角度が変わってきます。
極軸の向きは(北半球では)真北の地平線から、その土地の緯度と同じ角度だけ
上に振った方向に向ければよいということになります。
さあいかがでしょう?
こんなふうに理屈が分かれば一見複雑そうに傾いた赤道儀の軸の意味や、
セットのしかたの基本的なルールの意味が分かってくるのではないかと
思います。
続く・・・