初めての望遠鏡はこれがお奨め その6

今日も良い天気が続きます。。

上弦の月が望遠鏡で見ると驚くほどきれいでした。

少し間か開きましたが「初めての望遠鏡」シリーズ、今日が最終回です。

「初めての望遠鏡はこれがお奨め」

3.お奨め望遠鏡紹介

前にも書きましたが10万円以上の予算になると、選べる機材の幅が広がり、どんな観測を重視するかによっても選択肢が多くなるのでいっそうお奨め機種の選定は難しくなります。

光学系も屈折系だけでなく反射系(純反射以外にシュミットカセグレイン(以下シュミカセ)やマクストフカセグレイン(以下マクカセ)など)の光学系も視野に入ってきますが、保守・運用を考えると個人的には反射系を奨めづらいと考えています。

ただしシュミカセやマクカセのように補正レンズにより筒先が閉じたタイプは保守作業が屈折系に近いので初心者でも使いやすいと思います。

昨日、一昨日とC5で撮影した写真を紹介しましたが、初心者向けの望遠鏡かどうかの見極めも兼ねて使用してみたわけです。

3-5.お奨め望遠鏡(その5)
テレスコープセンター アイベル扱い XLT127(C5)+AZ-GTi赤道儀ウェッジセット

これまで初心者向けとして運用上の手軽さや保守の容易さからあえて屈折系のみを紹介してきましたが、ここではシュミカセの鏡筒を推奨します。


画像:アイベル ウエブサイトより拝借しています。

こちらもテレスコープセンターアイベルさんのセット商品です。

セレストロンのシュミカセC5(XLT127)とスカイウォッチャー社の自動導入架台AZ-GTiと同赤道儀ウエッジがセットになった商品です。

シュミカセは反射系ですが保守の面では屈折系とそれほど違いがありません。

光学系として性格の似たマクカセの製品もありますが、口径比がF12とシュミカセのF10よりさらに長くなり低倍率が得られにくくなり、初心者には扱いづらく、天体写真などへの応用も幅が狭いのでシュミカセを選定しました。

架台は前回紹介したセレストロンCG-4赤道儀を組合わせても良いですが、こちらがセット品としてネットに紹介されていたのと、ベランダでの使用などを取り回しの良さを重視した組み合わせとして選定しました。

自動導入(しかも赤道儀仕様)の架台は正直なところ初心者が直感的に使えるものではないかも知れません。

真面目に取扱説明書を読んだり、ネット検索をして使い方のサーチをされるくらいのマメさがないと使いこなせない可能性が高いです。

「初めての」というカテゴリーでの紹介ですが、それなりの覚悟のない方にはお奨めしません。

でもこれが使いこなせたら、自動導入と127mmというそこそこの口径との組合わせで、月、惑星はもちろん、星雲、星団二重星など、かなりたくさんの天体を楽しむことができます。

天体写真を撮る場合屈折アポクロマート系に較べてF値が大きく、良像範囲が狭く、星像が甘いなどハンディキャップは大きいのですが、レデューサーレンズを用意すれば昨日の記事レベルの写真は撮れます。

またC5は惑星の写真もわりと良く撮れるようです。(スタパにもC5はあるのですが条件の良い時はつい大きな望遠鏡を使ってしまうので、C5で撮ったことがないのですm(_ _)m)
広く浅く楽しむという意味ではかなりお奨めのセットだと思います。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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初めての望遠鏡はこれがお奨め その6 への7件のフィードバック

  1. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、
    シュミカセが初心者にオススメ、これわかります。
    保守が屈折と同じく簡単、おっしゃる通りです。おまけに光軸調整も反射系の中では比較的容易なので初心者でも慣れれば短時間で可能です。
    見え味も惑星などでは屈折と比べれば劣りますが、値段を考えると納得の範囲です。小口径屈折に勝るのが光量で、星雲星団を見たときの迫力は明らかに優位です。これらを考えると十分初心者におおすすめの一台と言えますね。

    一方でシュミカセの1番の難点は、順応時間です。小口径屈折では可能な、パッと出してすぐ観望できる、これが難しいですね。C5くらいの口径でも、室内外の温度差が小さい夏場でも最低30分、冬場では1時間〜1時間半は順応させたい所ですが、問題は順応中の天気の状態です。最近では晴れていると思っても突然の豪雨になることもあり、これが厄介です。私も以前、アポ屈折とシュミカセで受難したことがあります。霧雨のようなものならばまだ許せますが、豪雨だといきなり大粒の雨に襲われて、肝を冷やしました。私は通常、天井のないベランダに望遠鏡を出して、順応中は部屋の中で待機しています。順応中は基本、対物キャップを外し接眼部も筒抜けにしておくので、最悪鏡筒内まで雨が侵入してしまえば、補正板を外し、主、副鏡を外し乾かすというなんとも大変なことになります。かといってカバーをかけると余計に順応時間がかかるのでこれもやりにくい。

    その点では特に最近は小口径屈折のありがたさを噛み締めております。

  2. スタパオーナー のコメント:

    小澤さま
    いつもありがとうございます。
    初心者の方がシュミカセのじゃじゃ馬さ加減を理解できるまでにはそれなりに時間が掛かるかも知れませんが、本気の入門を目指す方向けの選択として優れたコストパフォーマンスが得られるシュミカセのチョイスもありと考えました。
    温度順応のことを考えると厳密には「ポン・パッ・サッ」ができないですが、観測対象によってはできない訳でもないので一応セーフと考えました。
    当館の立地は急激な気象変化が普通に起こるので、望遠鏡から30分以上離れることが確定している場合には必ず雨仕舞いをするようにしています。
    (過去に何度もこれを怠り観測機材が雨や雪を被っていますので・・・)
    長時間温度順応をしなければいけない機材はそれだけそういった危険にさらされやすいというリスクを管理する手間が増えますね。

  3. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、
    考えてみれば時代の変遷に驚かされます。
    私がこの趣味を始めたのが半世紀前、この頃の初心者は皆6cm屈折経緯台と相場が決まっていたものです。まさかシュミカセが候補の一つになりうる時代が来るとは夢にも思わなかったです。

    シュミカセが日本の市場に現れたのが、40年くらい前でしたか。その当時のシュミカセは確か、口径も20cm超級で、値段は一級品でも性能の評判はあまりよろしくなかったです。
    それが今や市場を席巻するほどの人気ぶりです。性能も非常に素晴らしく口径のバリエーションも多彩です。

    半世紀前の口径のイメージは、反射では、10cm未満が小口径、10cm以上15cm未満が中口径、15cm以上が大口径、屈折では6cm未満小口径、6cm以上8cm未満中口径、8cm以上大口径でした。
    あの当時、15cm反射(ニュートン以外ありませんでした)や、8cm屈折をアマチュアで持っている人がいたら雑誌が取材に来ること間違いなしでした。25cm反射や、15cm屈折などは間違いなく公共天文台に収められているものしかなかったはずです。

    それが最近ではどうかと言えば、それら公共天文台クラスのものを一般のアマチュアが普通に所有する時代です。この原動力の一つにシュミカセとドブソニアンの高性能化と価格下落、屈折ではアポの出現による短焦点化などが大いに寄与しているのではないかと思うこの頃です。

  4. スタパオーナー のコメント:

    小澤さま
    本当に時代の移り変わりには驚きですね。
    かつては夢のような口径の望遠鏡が少し無理すればアマチュアでも入手することができますし、国家レベルの天文台でないと撮影できなかったような天体写真がそれほど苦労せずに撮れてしまうようになりました。
    技術の進歩とそれによるコストダウンの恩恵、さらには日本が豊になったことも「少し無理すれば」くらいでできるようになった要因かと思います。
    この先の進歩は想像ができませんが、個人的には急激な進歩をリアルタイムに体験できたありがたい世代だと感謝しています。

  5. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、こんばんは。

    ずいぶん前のオーナー様とのやりとりに今更コメントを加えるのをお許しください。

    半年近く前の事です。清水の舞台から飛び降りる気持ちで、数十万円と言う金額を支払い、某メーカーのシュミカセ鏡筒を購入しました。
    購入後1ヶ月にも満たない頃、筒先のキャップをはめたまま鏡筒を台の上に置いて、架台のセットを行い、いざ、鏡筒を架台に乗せるべく台から持ち上げようとした瞬間に、自然にキャップが外れて補正板に当たり、補正板の一部4cm四方に傷ができてしまいました。

    これには本当に参りました。いまだに精神的な落ち込みから脱却しておりません。
    星像に影響していなければいいだろうと言う考え方もあるかと思いますが、これだけの値段のものを購入した直後に補正板にそれなりの大きさの傷ができてしまうと言うアクシデントは、全く予想ができない事であり、そのショックは相当なものです。キャップの着脱時に自分で補正板に当ててしまったのであれば諦めもつきますが、台から鏡筒を持ち上げるべく動かしただけで外れてしまう等という事をあらかじめ予想できる人はいらっしゃるでしょうか。

    解決策として、メーカーには、バヨネットタイプのキャップは廃止して外側から被せるタイプに変更する、または鏡筒の先端をもう少し長くしてキャップが自然に外れても補正板が当たらない様に改良していただく、あるいは、タカハシのミューロンなどのキャップのように布製を用いる、などの対策が必須と思います。

    これはかなり大きな問題だと私自身は思いますが、現状のバヨネットタイプのシュミカセキャップの危険性に言及した話というのは天文雑誌やネットなど公の場ではほとんど語られたことは無いのでは、と思います。非常に珍しいアクシデントなのでしょうか。いずれにしろ、非常に高価な買い物ですので、シュミカセメーカーには今後、改良される事を強く望みます。

    今回、他のシュミカセユーザーの方々に厳重な注意を促させていただくと言う気持ちで、この場をお借りして私が被った事実をお話しさせていただきました。

    現在進行中の話題をよそに、このようなコメントをいきなり挟み込む非礼をお詫びいたします。

  6. スタパオーナー のコメント:

    小澤さま
    ア~・・・、何ともご愁傷様と申し上げるしかないですね
    望遠鏡の場合、車や家電品のように不特定多数の人が使用することを想定したイジワルテストをしていない(あるいはそこまでのノウハウがない)場合が多いように感じます
    とはいえ高額な製品も多いので、フェイルセイフの徹底をして頂きたいものですね
    私も常々シュミカセの補正レンズはなぜむき出しに近い状態なのにだれも文句を言わないのだろうと思いながらかれこれ40年つかっているのですが・・・

  7. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、お忙しい中、ご返信ありがとうございました。

    私も昔から疑問でした。屈折望遠鏡はレンズが筒先に剥き出しということはなく、必ずフードが付いているのに、何故シュミカセは先端に補正板が剥き出しになっているのか。
    考えてみればシュミカセは口径に比して筒が短いのがメリットですから、フードを標準装備してしまうとその利点が少し薄まってしまうという観点から、メーカーは敢えて標準装備にせず、短さを最大限に活かすため補正板を先端ギリギリに設置しているのかなと想像します。
    だとすると、例えば作業時にはキャップをしない、保管時には鏡筒を垂直に上に向けてキャップをして鏡筒を動かさないなどユーザーが最大限の注意を払って使うしか無いのかなとも、思います。

    改めて最近のシュミカセは光学性能は本当に良くなりました。ほぼどの機種も当たり外れなくよく見えます。厳密に言えば焦点内外像に多少のアスがあるものが多いですが、惑星像を高倍率で見ても影響はほぼ無いレベルで収まっていて、非常によく見えます。

    あー、それだけに今回のアクシデントは残念ですね。もし時間を遡ることができれば、台に乗せる前にキャップを外しておけばよかったと、嘆く毎日がいまだに続いております。

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