天体望遠鏡入門講座 第二章 2-1

今日は終日雨。

スタパ周辺の秋は一段と深まりマムシグサの実がきれいな朱色い輝いています。

さて少し間が開いたのです「望遠鏡入門講座」を再開したいと思います。

第1章では望遠鏡全般について用語解説も含めてサラリと紹介しました。

普通の方はこのくらいの知識があれば十分だと思うのですが、この章以降は実際に望遠鏡を使っていろいろな天体観測をしたいとか、望遠鏡でをたくさんの人に天体を見せたいといったことを目指す方むけにもう少し詳しい解説をします。

天体望遠鏡入門講座
第二章 望遠鏡の光学系

望遠鏡は光を集めて「実像」を作るための主鏡(対物レンズ・対物鏡)と、その「実像」を拡大して覗くための接眼レンズという二つの光学系から構成されていることをすでに解説しましたが、この章では主に主鏡の違いについて説明します。

2-1.ガリレオ式とケプラー式

望遠鏡の光学系として基本的方式としてガリレオ式とケプラー式があります。

二つの違いは接眼レンズの違いで、

接眼レンズに凹レンズを使うのがガリレオ式です。

凸レンズを使うのがケプラー式です。

望遠鏡は1600年代のはじめ頃イタリアで発明されたと言われていますが、わりと早い時期にこの噂を聞いたガリレオ・ガリレイさんが自ら研究して望遠鏡を作り、天体を観測して人類史上革命的な様々な発見しました。

このためガリレイさんが使った望遠鏡のレンズの組合わせ方式をガリレオ式と呼んでいます。

ガリレオ式は正立像で見ることができるのですが、倍率が高くなると極端に視界が狭くなってしまうので高倍率が必要な天体望遠鏡には実用的でありません。

現状で3倍くらいまでの双眼鏡に使われる程度で、通常の天体望遠鏡としてガリレオ式の光学系が使われることはありません。

実際にガリレオ式の望遠鏡の視界がどのくらい狭いかというと、30倍くらいになると1メートル先の5円玉の穴の範囲くらいしか見ることができません。

一方ケプラー式はガリレオさんよりやや遅れてと接眼レンズを凸レンズにしても倒立像(逆さまに見える)になるものの望遠鏡として成り立つことを発表しました。

ケプラー式だと同じ倍率でも1メートル先の500円玉くらいの範囲を見ることができ、ガリレオ式よりも遙かに広い範囲を観察できることや、焦点面に十字線や目盛を入れて位置観測に使うことができます。

このため現代の望遠鏡のほとんどがケプラー式光学系を採用するようになったのです。

なぜ望遠鏡の創世記にガリレオ式が主流だったのかをいろいろ研究したのですが、当時はレンズの製作技術が低くて性能の良いレンズを作ることが難しく、対物・接眼ともに単レンズを使わざるを得ない状況でした。(現代では対物・接眼とも2枚以上のレンズを使用しています。)

単レンズを使う前提だと、あまり高倍率(30倍以上)にすると像のボケがひどくなるのですが、同じ倍率ならガリレオ式のほうがハッキリ見えて、良像範囲も広く取れます。

いかに早く的を発見するかという兵器としての需要もあったので(プリズムなどを使用せず)正立像を手軽に使えるガリレオ式が当時は主流になったと考えられます。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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