今日は良い天気、夜も何とか観察会ができる天候でした。
相変わらず暑さは厳しいですが、朝は爽やかな涼風が吹いています。
さてニュートニー君シリーズ、今日は倍率を変える話です。
ニュートニー君の光学系は反射望遠鏡の中でもっともシンプルな構成のニュートン式と呼
ニュートン式反射望遠鏡の場合、主鏡は本来は放物面鏡と呼ばれる非球面を用いることになっています。
安価な球面の鏡だと焦点が一点に集まらないという欠点(球面収差といいます)が出ます。
口径に対して充分にF値を大きく取れば無視できるようになるのですがニュートニー君の口径50mm、F4という仕様では球面収差がかなり大きく出るようです。
ニュートニー君に付属の接眼レンズの焦点距離10mmで20倍というのが、そのままではほぼ限界に近い倍率(それ以上倍率を高くしてもボケるばかりで新しいものは見えないという意味です)といえます。
このためわりと安価に販売されているプルーセル、オルソなどで焦点距離の短い接眼レンズを用いてもあまりよく見えないということになります。
でも実はここには裏技があって、バローレンズと呼ばれる焦点距離を延ばすための部品を組み込むことによって、相対的に球面収差を軽減することができるようになります。
また接眼レンズの中にはスマイスレンズと呼ばれるバローレンズと同じは働きをするレンズを組み込んだタイプもあります。
「その7」で土星を見たときに使用した接眼レンズはビクセンのSLVというスマイスレンズが組み込まれたものだったので、40倍で土星の輪を見ることができました。
ただしビクセンのSLVシリーズはかなり高価で、ニュートニー君が何台か買えるほどのものをお奨めするのは気が引けます。
上はUW6mmと9mmという接眼レンズです。(こちらはスコープテック扱いでしたが現在はAMAZONなどでSVBONYというブランドで同等品が入手可能です。)
UW6mm/9mmはアイポイント(眼の位置)の許容範囲が少なく出番の少ない接眼レンズだったのですが、なぜかニュートニー君との組み合わせでは覗きにくさを感じませんでした。
(6mmでも33倍と倍率が低めなのが良いのかも知れません。)
SVBONYのこのシリーズは6mm/9mm以外に20mmと15mmがあるのですが、こちらはスマイスレンズを使用していません。
ただし倍率が10倍/13倍と低いのでそれほど問題は無いのですが、20mmを使用すると斜鏡の黒い影が見えて気分良く見ることができないのであまりお奨めできません。
斜鏡の陰が気にならなくなる15mm13倍が事実上の最低倍率だと思います。
価格的にもお奨めしやすいのと、レンズの外径が(見口のゴムを外すと)純正のスマホアダプターを取り付けられる太さなので都合が良いです。
純正10mm、UW9mm、UW6mmで撮影した写真をご覧頂きます。
まずは純正10mm
次にUW9mm
解像度がかなり上がっているのと、歪曲収差が軽減され、周辺像も改善されているのが分かります。
さらにUW6mm
1.5倍に倍率は上がっていますが解像度は保たれています。
UW6mmで土星を見ると(とても小さいですが)しっかり輪の存在が分かりました。
同じくUW6mmで撮影した月です。
センタリングが上手くなかったのか端のほうで色にじみが出ていますが、中心付近はなかなかの解像度になっています。
5千円ほどのニュートニー君にプラスアルファどこまでお金を掛けるか悩ましくて、それならはじめからある程度しっかりした望遠鏡を買った方が良いかも・・・などと思ってしまします。
ただ一方では少しずつ勉強したり、情報を集めたりしながら、部品も少しずつ追加してステップアップし行くのも楽しみ方の一つだと思うのです。