ETX-90(鏡筒)で遊ぶ その13

今日は一日雲の中。

夜もダメかとあきらめていたのですが、深夜になって少しだけ晴れ間ができました。

上はかなり雲が多いですがこの少し前までは快晴に近い状態でした。

ETX-90+Eos6Dで月の写真を撮ったり、火星を眺めたり、いくつかの二重星を見たりして、さあ40cm火星を撮ろうかと準備を始めたら曇りました。

ETX-90+Eos6Dの組み合わせは、やはりFC65と同レベルに写ります。(やはり相性の問題か・・・・?)

40cmの眼視で見た火星は予想外に良く見えていて、火星面の模様がブツブツした感じに見えて驚きましたが、雲に邪魔をされてしまいました。

半ばあきらめの天候でしたので、これで良しとします。

さてETX-90シリーズの続き、ETX-90の低倍率特性についてです。

昨日はETX-90の鏡筒は高倍率が得意なのでそれ向けの天体を見るお奨めをしました。

低倍率にどのくらい不得意かというと・・・・、

できるだけ低倍率にするためには、できるだけ焦点距離の長い接眼レンズと組合わせる必要があります。

一般的に31.7mm径の接眼レンズで手に入りやすい低倍率接眼レンズはプルーセル(PL)の40mmになるのですが、これを用いても倍率は31倍です。

でも困ったことに31.7mm径仕様のPL40mmは見かけ視界の狭いレンズで、倍率が42倍になるPL30mmと実視界がほとんど変わらないのです。(31.7mm径の接眼レンズでは構造上の制約です。)

そしてこの実視界では残念なことにプレアデス星団の6連星を一望することができませんし、光害のない場所ではオリオン大星雲もかなり窮屈な感じになります。

星雲星団を楽しむには少し狭すぎる視界なのです。

接眼部を改良して50.8mm径の接眼レンズを用いれば視界が広げられそうですが、ETX-90の副鏡や遮光筒の幾何学的関係から視野周辺にケラレが生じ、結局実視界が大きく広がることは見込めないです。

倍率をいくら下げても見える範囲が広がらないのは倍率を下げるメリットの半分を捨ててしまうようなものです。

倍率を下げると、視界が広がらないとしても射出瞳が大きくなるので、覗きやすいとか淡い天体のディティールを掴みやすいなどのメリットがあります。

同じ実視界でも星雲星団を見るならより倍率の低くなる40mmを用い、光量の大きな月を見るときには30mmを用いるのがお奨めということになります。

さらに付け加えると、ETX-90は反射望遠鏡の一種で有り、内部で2回反射をしているため光量の減衰が屈折式よりも大きいです。

同倍率の口径80mmの屈折望遠鏡と較べると確実に暗く見え、60mmよりは明るいといった感じの見え方になります。

そんなわけでETX-90は低倍率で星雲星団を見るのに向いているとは言いにくいという結論になるのです。

とは言えF10クラスの60mm屈折より高解像度で、コンパクトであることを考えれば、それほど捨てたものではないと思います。

お手軽に月や惑星を眺めたり、お出かけにお伴させたりと取り回しの良さや、フリップミラー内蔵のギミック性を考えると充分楽しめる望遠鏡だと思います。

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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ETX-90(鏡筒)で遊ぶ その13 への5件のフィードバック

  1. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、

    高倍率で木星や土星、火星などの模様を楽しむ事と、低倍率で星雲星団を流し見ること、これらは観望の楽しみの両輪ですね。
    一つの望遠鏡でその両者を楽しめれば一番良いのですが、それができないのが辛いところです。

    私も昔、ひたすら低倍率に憧れてAH40mmなど購入したものですが、極端に視野が狭く低倍率の醍醐味を楽しむには程遠かったことを覚えています。
    アイピースの見かけ視野、ここも重要ですね。

    低倍率の醍醐味、個人的には12〜13cmくらいでFの明るい屈折望遠鏡に、30mm前後の程々に広角のアイピースを噛ませて天の川を流す、これですね。
    ただ空が暗くないと楽しめないので、うーん、困ったものです。

  2. RAGS のコメント:

    スタパオーナー様
    モードラ追尾しつつ手動微動が使えるのは最高ですね。旧型ETXの赤道儀は、手動微動を使うにはクランプを緩める必要があるのですが、一度クランプを緩めるとバックラッシュのため30秒位は追尾してくれません。(笑)

    ETXは低倍率を得にくいのですが、PL32mmとの組み合わせで倍率39倍、実視野1.3度、射出瞳径2.3mmなので、街中ではむしろこの位の方がバックグラウンドが締まり星雲星団が見易いかなと思います。
    実視野は広い方が良いですが、銀河や散光星雲であれば、最大級のM31やM42であっても(目で見える部分には)足りています。足りないのはプレアデスや二重星団等の大型の散開星団ですね。

    そもそもETXで星雲星団を導入するのはファインダーの問題もあり至難の業なので、あまり導入する気にならないのが問題ですが。(笑)

    ETXのフォトポート側は36.4mmネジが使えるので、36.4 > 42T > 50.8 と変換して2インチアイピースを使るのではないでしょうか?そこまでやっても実視野は1.6度止まりだと思うのでわざわざ買って試す気にはなりませんが。スタパオーナー様は全ての変換アダプターを持っていらっしゃるのでは?

  3. スタパオーナー のコメント:

    小澤さま
    12~13cmでオールマイティーな望遠鏡があれば良いのでしょうが、価格や取り回しのしやすさを考えるとあまり現実的ではないかも知れませんね。
    実際には高倍率、低倍率用など用途に応じて何本かの鏡筒を使い分けるのが現実的ですね。
    まあこれが結局のところ「望遠鏡沼」の原因なのでしょうが・・・ 

  4. スタパオーナー のコメント:

    RAGSさま
    ETX-90とPL32mm、射出瞳径を考えると市街地では事実上の最低倍率かも知れませんね。
    2インチ接眼レンズを取り付けるアダプターを用意することは可能ですがイメージサークルの大きさを考えると無理をして使う気にもならないです。
    フォトポート側に接眼レンズを付けるとしても有効に使おうと思えば天頂ミーラーが必要ですが、バランスの問題やバックフォーカスの引き出し量が大きくなりすぎて常用する気にはなりそうもないです。
    ETX-90が星雲星団向きでないのは確かにファインダーにもあると思います。
    覗きにく過ぎて天頂近くの天体を導入するのはかなり苦しいですね。
    パッケージングの観点からすればこのファインダーが妥当な仕様なのだと思います。
    やはり自動導入架台との組み合わせがベターなのかも知れません。

  5. RAGS のコメント:

    スタパオーナー様
    自動導入架台が欲しいのはやまやまですが、導入時のモーター音を考えると深夜ベランダで使うのはためらわれます。セッティングにもそれなりに手間がかかるので、ますます稼働率が落ちそうです。(笑)

    やはり最初のコメントで書いたように、架台とファインダーの強化を行いたいと思います。
    架台については、カメラ雲台のクイックシューを、ベルボンのレバー式からマンフロット互換のネジ締め式に交換したところ、振動がかなり減りました。

    ファインダーも色々考えたのですが、純正ファインダーの脚部を活かし、ファインダー本体のみをアイレリーフの長い単眼鏡に変えるのが良い気がします。更に鏡筒が長い物であれば、本体接眼部とファインダー接眼部の距離が離れて覗きやすそうです。このアイデアどうでしょうか?

    ETXの始祖とも言うべきQUESTAR 3.5は、鏡筒にファインダーがビルトインされていて、アイピースは主光学系と切り替えて共用するようになっていますが、あれは最高ですね。真似るならそこまで真似して欲しかった。

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