ラプトル60をチューンする その2

今日は台風の影響で荒れ模様の天候。

午後に麓の韮崎市に降りたら虹が・・・

でもその後曇り、夜になってもそのままでした。

さて先日架台周りのチューンをしたラプトル60、昼間見え味チェックをしている時に何となくコントラストが悪いような気がしていました。

レンズに少しホコリが付いているものの、屈折の場合そこまでコントラストが悪いのはなぜだろうかと考えて接眼レンズや天頂ミラーの清掃をしたのですが、いっこうに改善されません。

見た目よりも対物レンズが曇っているのかも?と疑って、視野に近くに強い光源を置いて覗くと・・・

やはり対物レンズが曇っていました。

早速フードを外し、前面リングも外します。(フードは前前面から差し込んであるだけなのですが、非常に堅く嵌まっているので、気長に左右にコキコキ振るように動かしていると抜けます。無理に回転させたり、抉らないように)

前前面リングが外れたら、もう一度被せるように抑えながら鏡筒を逆さまにして対物レンズを取り出します。

取り出したとき後からレンズ同士の位置関係が分かるように上のようにマークを付けておきます。(芯出しといってレンズ同士の回転方向の位置が重要になる場合もありますのでマーキングを忘れないようにします。)

ブロアーでホコリを飛ばした後、無水アルコールと不織布でレンズを拭き、曇りがなくなるよう拭き上げます。

ムラが残るなど一度でキレイにならないときはもう一度アルコールで拭いてから、拭き上げます。

せっかくレンズを分解したので、レンズのコバ(縁)を油性のマジックインキで塗りつぶします。(本当は墨汁や専用の黒色塗料を使うのが正しいですが、マジックインキでも塗ると塗らないでは大違いなのとすぐ乾いてお手軽なので私はこの手法を使います。)

キレイに塗れました。

次に対物レンズのすぐ内側の鏡筒内面からの迷光を軽減するため黒色植毛紙を貼ります。

そして対物レンズを組み込みます。

曇り具合を確認すると

劇的に改善されています。(ラプトル60の対物レンズは第4面にのみモノコートがされているので近くにある光源のゴーストは見えますが、冒頭の写真のように曇った感じはなくなりました。)

せっかく全体のチューンが完了したので、使う接眼レンズも純正のモノよりすこし奢ったモノを常時使えるようにしました。

下段右から純正のK20mm、F8mmで上段右からOr25mm、Or9mm、SR5mmです。

より低倍率(35倍→28倍)とより高倍率(87倍→140倍)が出せるような組み合わせです。

SR5mmは発売されていた頃は粗悪品のオマケ扱いをされていたのですが、最近になって実は凄く見え味の良いものがあるとネットで話題になっていて、手元にいくつかあったものを調べたら、当たりがあったので一軍入りしました。

Or9mmは純正のF8mmより切れが良くアイポイントが長く覗きやすいです。

接眼レンズが増え、アクセサリートレイに載せたままだとホコリなるし落としやすいので、カメラポーチをぶら下げて保管することにしました。

次の晴れが待ち遠しくなってきました。

(前回も書きましたが分解清掃・改造などはドンドン真似してくださって構いませんが、あくまでも自己責任でお願いしますね。)

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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ラプトル60をチューンする その2 への3件のフィードバック

  1. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、こんばんは。これはすごい!です。

    屈折望遠鏡のレンズの分解清掃は私も試みてみようかと、何回かトライしようとしましたが頓挫しました。外す際にレンズに傷をつけないように細心の注意が必要、芯出しが狂わないようにする、一旦取り出したレンズを再度組み込む時の軸出し、などなどハードルが非常に高いです。
    最近の多くの光軸修正装置が省かれている屈折望遠鏡では、特に最後のレンズ組み込みの過程が難しく、どうにも自信が持てないのです。ニュートンの主、斜鏡の清掃とは全く次元が違うように感じます。オーナー様はどのような方法で組み込んでいらっしゃるのでしょうか。よろしければそのノウハウをお教えいただければ幸いです。

    ところで、レンズの曇りですが、重症になると膜が形成されたようになりますね。原因はカビでも汚れでもない、とすると鏡筒内の湿気ですかね。いずれにしろ、これはゴミやカビ以上に厄介です。でも、きちんと清掃すればここまで曇りが取れる、というお手本のような事例ですね。

  2. スタパオーナー のコメント:

    小澤さま
    屈折望遠鏡のレンズの清掃自体は反射望遠鏡のミラーを清掃するより遙かに簡単だと思います。
    レンズが2枚ですしアクロマートならそれほど柔らかい素材でもないです。
    2面と3面の間にホコリが残らないように何度もチェックが必要ですが、それ以外は取り外したときのマーキングの位置を合わせて置くくらいでしょうか。
    光軸確認用アイピースを用い組立前後(特に後)で光軸の状態があまり変わらないようであれば、それで良しとしています。
    まあいずれにしても、反射望遠鏡のミラー、屈折望遠鏡のレンズ、シュミカセの補正レンズ(内側)などを分解清掃するときは、復元できない場合は自己責任であきらめるという決死の(大げさですがもしも取り返しの付かないことになっても後悔しない、授業料だと思う)覚悟で望むことにしています。
    やらないで悩んだり、ダメにして後悔しないのが精神衛生上も良いですので・・・

  3. 小澤利晴 のコメント:

    オーナー様、
    ご返信、ありがとうございます。
    レンズやミラーの清掃に関してはそれぞれに哲学がありますね。オーナー様のご意見、たいへん参考になりました。

    その上で私自身はと言うと、ニュートンのミラー清掃はさほど難しく感じないのです。簡単に言えばミラーをセルから外してバシャバシャ水洗いし、乾かしたらセルに戻して通法通り光軸調整すれば良いと考えています。ニュートンの主、斜鏡セルにはほぼ例外なく光軸調整装置が装備されていますので、メンテはむしろしやすいと感じています。

    屈折のレンズもセルから外して水洗いという方法がもっとも良いのかなと思います。それ以外の方法でレンズに傷を付けずに外側から拭くのは、怖くて自分ではとてもできません。
    そしてやはり最後の組みつけですね、ポイントは。光軸修正装置が無い屈折で、光軸修正アイピースを覗きながら光軸の状態がほぼ合っているところまで持ってゆくのがどうしても難しい、と言うか私には出来ない様に感じてしまいます。合うところで止めて固定しようとすると、カクッと動いてしまうのです。まあこれは私自身の不器用さと、根気のなさに起因するのだと思っておりますが。

    全てが自己責任として割り切るというご意見には全く賛成です。趣味の世界、すべてに通じる哲学ですね。

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