恒星の寿命について思うこと

今日も曇りときどき雨の一日でした。

「今日も」と書いたのですが実は昨晩はほんの少しの時間だけ雲の切れ目が広がり、観察会をすることができました。

上は観察会のときに撮影したこぎつね座のあれい状星雲M27です。(下がクローズアップ)

さて最近、星空案内や解説をするときに悩んでいることがあります。

従来は上のあれい状星雲などの惑星状星雲や、かに星雲(下)などの超新星爆発残骸の説明をするときに「一生を終えた星のなごり」などと言う表現をしていました。

でも、冷静に考えてみると惑星状星雲が見えるのは核融合を終えた後に残った白色矮星が超高温になって紫外線を発して周囲に放出したガスを発光させているわけです。

約1千年前に超新星爆発を起こしたかに星雲の母星は中性子星となってパルサーとして宇宙に電波を放出しつつ、かに星雲全体を光らせているわけです。

そう考えると「核融合を終了した恒星」=「寿命を終えた星」という表現は何だかとても不適切な気がしてきたのです。

星雲を光らせている白色矮星や中性子星は想像を絶するほどの高密度で高い比熱を持っており、これまた想像を絶するほどの高温なので、真空の宇宙空間の中ではそう簡単には冷えず、冷えるまでには少なくとも数億年は掛かるそうです。

オリオン座のベテルギウスがもうじき超新星爆発を起こして一生を終える・・なんて解説されることが多いのですが、そもそも超新星爆発を起こすような質量の恒星は核融合して輝いている期間は1億年もないことが多いです。

超新星爆発の後、中性子星となって輝いている時間のほうがズーッと長いのですね。

さてそう考えると「核融合を終了した恒星」は一生を終えた星ではなく「働くのをやめて余生を送っている星=ご隠居星」なんて表現したら良いのではないかと悩んでいるのです・・・

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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恒星の寿命について思うこと への2件のフィードバック

  1. T-Studio のコメント:

    オーナー様
    興味深く拝見しました。

    私はこのような星は人間に例えるとまさに”スター”なのかと感じました。(星だけに)
    中性子星になり爆発後も輝くのはごく一部の星のみです。

    爆発後も存在を示す星もあれば、宇宙の塵となる星もあります。
    どちらも尊い存在だと思います。

  2. スタパオーナー のコメント:

    T-Studioさま
    いつもありがとうございます。
    核融合を終えた恒星は死んでいると言えるのだろうか・・、たとえブラックホールになったとしても存在が消えてしまうわけでなく死んだと言えるのか・・・
    などなど考えていると、そもそも人間の尺度で擬人化して考えることがナンセンスなのかも知れないと思えてきます。

    たくさんの天文学者や物理学者により少しずつ解き明かされる宇宙の神秘。
    新しいことが分かるたびに増える謎・・・
    何だかとても面白い時代に生きている気がします。

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