超々入門 望遠鏡光学 - 正立光学系について(その2) -

超々入門 望遠鏡光学 - 正立光学系について(その2) -

いろいろ用事があってスタパおかみの実家にいます。

暑い時期に都会に降りることが少ないので油断していたのですが、あまりの
蒸し暑さにげっそり・・・

都会ってこんなに暑かったですかね・・・

さて、正立光学系の続きです。

少し話は違うのですが、スタパでは従来から星の手帖社の組立天体望遠鏡を
販売してきました。

意外に多くの方が望遠鏡が逆さまに見えることを知らず、少しがっかり
されるのですが、その都度「望遠鏡というのはこういうものです。」と説明して
います。(詳しく説明している時間もないので・・・)

初心者向けに正立像式のものがあったら良いな~ と思っていたら、
星の手帖社から「正立像望遠鏡15倍」が発売されました。

ただ、販売価格が3470円と従来の15倍の組望(1580円)の倍以上の価格なので、
スタパで販売するかどうか少し悩んでいました。

まあ、物を見も触りもしないで判断するのは正しいオタクとしては慎むべき
ことなので、とりあえず1台入手して作ってみることにしました。

詳しい製作記やインプレは後日紹介したいと思いますが、今日は(今日の
テーマの本題でもある)この望遠鏡の正立像を得るための機構について説明
します。

「正立像望遠鏡15倍」の部品の中には2個の直角プリズムが入っています。

この2個のプリズムを下のように組み合わせて、対物レンズと接眼レンズの
間に組み込みます。

このプリズムのなかで4回反射を繰り返すことにより、倒立像を正立像に変換します。

実はこの組合せはポロタイプと呼ばれる一番オーソドックスな双眼鏡の
正立システムと同じです。

正立システムの中ではもっとも安価で、安定したものですが、「組望」という
望遠鏡の中ではもっとも安価で全ての無駄が省かれた製品に、このシステムを
組み込むと価格が倍以上になってしまうという、高価なものになってしまいます。
(もう少し高級な望遠鏡になると正立にすること自体でここまで比率として
高価になることはありません。)

前回も書きましたが、望遠鏡として困るのは、望遠鏡の中で4回の反射が行われ、
プリズムの中を出たり入ったりするわけで、相当精度の高いプリズムを使って
も、像がボケたり暗くなる傾向があることです。

まあ、15倍くらいの倍率ですとその辺のアラはほとんど気にならないレベルで、
望遠鏡に詳しい人が、通常の「組望」と並べて見比べてようやく判るレベルなので
それほど目くじらを立てることはありません。

100倍くらいの高倍率になると、像のボケや暗さが大きく影響するので無理に
正立させるのはお勧めではありませんが、低倍率では積極的に正立を使って
良いと思います。

特に地上の風景、鳥の観察などにはやはり正立が必須ですが、天体を見るの
にも上下左右の関係がストレートなので、直感的に望遠鏡を振り向けることが
できます。

倒立像ですと視野の端にある星を中央に移動しようと思っても直感的には中央
に移動するのはかなり慣れが必要ですが、正立像ですと誰でも簡単に中央への
移動が可能になりますので、子供でも簡単に使いこなせるようになるという
メリットもありますので初心者向けとしてはベターな選択かも知れません。

続く・・

スタパオーナー について

たくさんのかたに星空の美しさ、楽しさを知って頂きたくて、天体観測のできるペンションを開業しました。
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超々入門 望遠鏡光学 - 正立光学系について(その2) - への2件のフィードバック

  1. EMI のコメント:

    我が家でも、35倍の組み立てでは、覗いた息子が「さかさまだ~」とがっかりしてました。
    それで正立を購入したのですが、作るのを楽しんだだけでその後はあまり興味を示さない(TT)
    でも、同じ口径の双眼鏡よりは遥かに安価ですし、軽いので倍率のわりに手ぶれも気にならず手持ち使いができますし。
    息子の運動会では重宝しましたよ~~~
    今では母のお気に入りのおもちゃとの一つになってます。(^^)

  2. スタパオーナー のコメント:

    EMIさま
    コメントありがとうございます。
    早速、正立望遠鏡を購入されたのですね・・・
    そー、これヘタな粗悪双眼鏡よりよく見えますね。
    これまで「天体望遠鏡ってのは逆さまに見えるもんだ!」などと頑固親父をしていたのですが、
    後々の使い道を考えると少し高いようでもスタパとして販売する価値はあると思うように
    なってきました。

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