組立天体望遠鏡で遊ぶ5 -35倍と正立15倍タイプ編ー

これまでほとんどの話が15倍タイプをベースにすすめてきたのですが、
「35倍はどうよ」、「正立15倍タイプも発売されているよね・・」という
質問も出そうなので少しだけ紹介をしておきたいと思います。
まずは35倍タイプ。

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作り方は15倍とほとんど同じです。

唯一違うのが、接眼レンズの違いによる接眼筒の組立の部分です。

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15倍はバラバラなレンズ3枚(これを3群3枚といいます)を組み合わせて
接眼筒に組み込みますが、35倍では2枚のレンズが貼り合わされたものが
2個と、1枚のレンズ(この場合は3群5枚)の構成です。

レンズの向き、視野絞りの向きに注意して組み立てれば、あとは15倍と同じ。

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簡単に組み上がります。

さてこの35倍、形はほとんど変わりませんが、望遠鏡としては15倍より
かなりグレードが上です。

15倍が接眼レンズに全てプラスチックレンズを使っているのに、35倍は
全てガラスレンズを使っています。

倍率が低いときにはプラレンズでもそれほど見えかたに違いは出ないのですが、
倍率がちょっと高くなるととたんに差が出はじめます。

そこをガラスにするだけで2倍近い売値になっています。(¥1882→¥3078)

単純に倍率を上げるだけなら、もっと安価にできると思うのですが、安価な
レンズ構成だと、アイポイントの短い(=のぞきにくい)ものになったり、
見かけ視界の狭いものになったりします。

子供や初心者が使うことを前提とした製品なので、この辺を改善して使いやすい
ものにするため、いろいろ検討した結果こうなったのだと思います。

このため、15倍よりも倍率が高いのに色にじみが少なく、見かけ視界がかなり
広いので、実視界が15倍とそれほど変わらないのでは?と思えるほどです。

ただ、そうは言ってもこの倍率になると星をピタリと導入できるようになるには
かなり修業が必要です。

月なら何とかなるかも知れませんが、それ以外はそれなりに練習をする必要が
あると思いますので、あまり小さいお子さん向けでないことは確かです。

でも、使いこなすことができれば15倍に比べ月の見え方はかなり迫力が
ありますし、土星の輪も確実にあるのがわかるようになります。

星雲星団は15倍のほうがお奨めですので、用途によって使い分ける必要が
あるかも知れません。
お次は組立正立像望遠鏡(15倍)。

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価格が正立式でない(通常の倒立像となる)15倍の組立望遠鏡(1882円)の
約2倍の2980円になること。

天体望遠鏡の基礎として最初に使うなら、基本である倒立像のものを選んだ
ほうが良いのではないか?

プリズムを2個組み付けるのは、小学校低学年のお子さんには難しそう。

などがデメリットもあるのですが・・・・・

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でも実際に使ってみると・・

正立式だと想像以上に使いやすく、星が導入しやすいので、小さなお子さん
でも練習なしに使えるようになりやすい。

昼間も(バードウォッチングなどに)使えるので、出番は2倍以上になり、
値段の高さは回収しやすい。

など、メリットも大きいことが分かりました。

少し高いような気もしますが、2980円で15倍のフィールドスコープが
手に入ると考えると、すごく安いと考えることもできます。

お子さんが初めて手にする望遠鏡としてふさわしいかどうかは意見が分かれる
かも知れませんが、へたな粗悪望遠鏡を買うよりは遙かによいと思います。
(正立15倍タイプはモデルチェンジされ現状価格になっていますが上の写真は
モデルチェンジ前のものです。)

低価格・高品質の組望シリーズ、始めての望遠鏡としてどれを購入しても
使いこなすことができれば、天体観測の楽しさを知る足がかりになると
思います。

望遠鏡ってどんなものかと興味を持ったら、まず始めに買ってみて下さい。

これが楽しいと思ったら次の望遠鏡に進めば良いと思います。

時分が子供の頃にこんな製品があったら、凄い回り道をしなくても済んだのに
なぁ・・と思うことしきりです。
本記事は2010/4/27~8/27の間に不定期でスタパオーナーの八ヶ岳日記に
掲載したものをリメイクしたものです。

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