組立天体望遠鏡で遊ぶ4 -観察編ー

本節ではいよいよ「組望でどんな星が見えるか」を紹介します。

前節ではあまり見えないよ・・・ 的なお話をしたのですが、それでも肉眼で
見るよりははるかにたくさんの天体を見ることができます。

今から400年前にガリレオさんが当時発明されたばかりの望遠鏡で、
めざましいばかりの様々な新発見をしたのですが、その時の望遠鏡よりも
組望のほうが性能が良いくらいなのです。

ですから「ガリレオさんの発見した追体験が組望で楽しめる」といっても
よい訳です。

発見の主のものとしては
・月のクレーターと海の発見
・木星のガリレオ衛星の発見とその公転の観察
・土星の輪(耳?)(35倍で耳があるような感じに見えます。)

・金星の満ち欠け
・スバル(M45)やプレセペ(M44)が星の集団であること

などなどです。

またこれ以外にもガリレオさんの発見ではありませんが、離角の大きな
(双眼鏡で楽しめるレベルの)二重星もたくさん楽しめます。
例えば、おおぐま座のミザールとアルコルや、こと座のイプシロン星、
はくちょう座ベータ星のアルビレオも(色を楽しめるほどではないですが)
分離して見ることができます。

都会で楽しむことのできる天体はこの辺までで、月以外については一度見たら
すぐに飽きてしまいそうな気もしますが・・・

月だけは特別で(天体の中では特別に地球に近いので)予想以上に見えると言って
良いです。

100508moonDSC453

上は口径5cmのラプトル50で撮影した写真ですが、15倍の組望でも
この写真に写っているくらいのものは全て確実に見えます。

月の満ち欠けによってクレーターや様々な地形の見え方が変わってゆく様を
充分に楽しむことができますので、お月見用超お手軽望遠鏡と割り切って、
お月見用望遠鏡にするのも良いかも知れません。

また、スタパのような星のきれいに見える場所では、星雲星団がたくさん
見えるようになりますので格段に楽しめる天体の数は増えます。

もちろん天体写真のように見ることはできませんが、球状星団のM13などは
明らかに恒星ではないにじんだ光の固まりに見えますし、系外銀河M81・82
は、かなりかすかですがハの字に並んだ淡い雲のように見えます。

空のきれいな場所で注意深く探せばたくさんの星雲星団を見つけることが
できると思います。

夜空の星座の中には星雲星団や二重星などたくさんの見所が隠れています。

隠れた見所を一つひとつ望遠鏡で探し出して見るというのは、少し難しい
感じもしますが、これができるようになると星を見ると言う趣味が格段に
深く、そして広がりのあるものになります。

大きな望遠鏡ほどたくさんの見所を見ることができますが、天体によっては
倍率の低い小さな望遠鏡のほうが楽しめる場合もあります。

まずはこの組立天体望遠鏡で宇宙の扉を気楽にたたいてみるというのは
いかがでしょうか・・・
さて、組望で見て楽しむことのできる天体をもう少し詳しく紹介しておいた
方がよいと思いますので列記しておきます。

探し方などは入門向けの参考書やネットで調べてみてください。

まずは系外銀河から・・

M31(アンドロメダ銀河) かなり視野いっぱいに見える
M33(さんかく座)
M51(おおぐま座子持ち銀河)
M65・66(しし座銀河)   など

M31をのぞいては、いずれもかすかに存在がわかる程度ですが、確実に
存在が分かります。

千万光年からの光をリアルタイムに自分の眼で見ることができる感動を
味わうことができます。

100509M31_091116I008

散開星団

h-χ(エイチ-カイ、ペルセウス座二重星団)
M46・47(とも座) 15倍では2つが同視野に46は星雲状に、47星団に見えます
M36・37・38(ぎょしゃ座) 同一視野には入りませんが、すぐ近くで比較ができる
M6・7(さそり座) いずれも星の集団であることがわかります
その他、いて座付近の天の川沿いにM11、M23など

h-χ以外は星に分離しないで星雲状にモヤッとしか見えないものも多いですが、
明らかに恒星ではない少しだけざらついた感じが味わえます。

散光星雲

M42(オリオン座大星雲) 四重星(トラペジウム)は分離しないがまわりに
にじんだようにみえる
M8(いて座干潟星雲) 散開星団と一緒に見える
M20(いて座三裂星雲) かなり淡い
M17(いて座オメガ星雲) ωの形には見えないが存在はわかります

空の条件によりますが、星のまわりが少しにじんだ感じにしか見えない事も
多いですのでが、星の製造工場なのだと思ってみると楽しいです。

その他、月の無い夜に空のきれいな場所で、天の川沿いに望遠鏡をゆっくり
動かして行くと、雲のように見える天の川自体が星の集合体である事がわかり
ますし(これもガリレオさんの発見でした)、ところどことに星の集まりや、
恒星とは違うにじんだ見え方をする天体が次々に見つかって、見飽きる事が
ないほどです。

100509ginga

たった1882円の望遠鏡でここまで楽しむ事ができますし、ここまで楽しめる
ことがわかってしまうと、もっと大きな望遠鏡が欲しくなってしまうかも
知れませんね・・・

 

次に組望で天体写真を撮る方法などを紹介しておきます。

「天体写真」などと言うと身構えてしまうかたがいるかも知れません。

「再現性」だの「性能の限界に挑戦」などと考えて撮ろうと思えば、撮り方は
いくらでも難しくなります。

でも、とりあえず気楽にとって見ようと思えば、案外簡単に超望遠写真が
撮れます。

やり方はとにかく簡単。

100511deji

デジカメを組望にのぞかせてシャッターを押すだけです。

まあ、組望の接眼レンズとデジカメのレンズをできるだけ近づけて、一直線
に並ぶようにのぞかせるというコツは少しあるのですが、とにかく撮ってみる
のがよいです。

100511deji2

上はデジカメの3倍ズーム、組望をデジカメの広角側でのぞくと・・・

100511deji3

かなりの望遠になることがわかります。

これで月を撮ると・・・

100511deji4

眼で見て見えるギリギリの細かいところまでは写りませんが、
へたな望遠デジカメよりよほど良く写ります。

他の天体はちょっと難しいですが、月だけはとても良く写ります。

ぜひ一度試してみてください。

それから携帯やスマホのカメラでも、うまく写せることが多いです。

100511keitai2

携帯の場合、レンズが変なところに付いていたり、補助光が勝手に点灯して
しまうものがあったりして、相性が悪い場合もあるのと、位置合わせにデジカメ
以上にコツがいる場合があるので修業が必要かもしれませんが・・・

100511keitai

うまく撮れれば意外にうまく行くかも知れません。

デジカメでも携帯でも露出をカメラ任せにするとうまく写らない場合があります。

液晶で確認して、露出補正をプラス・マイナスで調整してみた感じに近い明るさ
になるよう調整してみてください。

あまり身構えずに、とにかく写してみると面白いです。

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